第58話

文字数 2,760文字


源三郎江戸日記(弟三部)58

3日以内に返却しろと言うと、そんなムチャなと言うので、預けただけなので蔵にあるのじあろうというと、ありませんと言うので、どうしてだと聞くと、総て売りさばいております、
これは何処の札差もやっている事ですと言うので、そんな事知るか、朝廷はそなたに預けたので、預かり品は返さないと、盗人になる評定所に訴えでれば、財産没収のうえそなたは、
遠島になると言うと、

わかりました、金寸でお返ししますと言うので、ならば預けている蔵米分、今の相場で1万5千両、にお助け米5000両、さらに5年過ぎたものは半値として500両しか禁裏に納めていない、
じあろう、もともと無いのじあから、半値になるはずはない、その半金500両を長年着服したわけだ、その500両の年数分といいたいが、40年分2万両で勘弁してやる、総計4万両を弁済、
しろと言うと、

そんなと言うので、何か間違っているか、今払うか、3日以内に返さないとと、本当に訴えるぞと言うと、ハイ、わかりましたと言って蔵から2万両出して、返却されたのと合わせて4万、
両を渡したので受け取り、証文を持ち御所に行き、勘定頭にこの4万両を蔵にいれろといって、いれさせたのです、これで摂津屋の借財はなしだが、玄海屋と5分の利息で約定せよ、さす、
れば蔵には4万両がそのまま残り、

年間の利息も1000両で済むと言うと、ハイ、早速にと証文に判を押したのです、どうしたのですかと聞くので、摂津屋を差し止めにした、去年の蔵米は全部売り切ったので、今年から、
淀屋が札差を勤める、勘定方への賂はそのまま払うようにする、微禄なれば、今まで通り皆で分けよ、これは目こぼししてやろうと言うと、ハイ、有難う御座いますと言ったのです、

才蔵が傍に来て、これが賂の書付です、関白に毎年摂津屋から2000両、弟の鞍馬屋から1000両渡っています、これは横流しした吉野杉の書きつけてです、年間2000両になっており折半、
しています、摂津屋は6万両、鞍馬屋は3万両の蓄財があります、又摂津屋は朝廷、淀藩、芸州藩、郡山藩、を始め商人に6万両の貸付がありますと言ったのです、その利息だけでも年間、
8千両あったわけだ、

朝廷から締め出したので蓄財は4万両になり利ざやも4千両に減ったな、領内から買い叩いて米を売り1万両からの利を上げているのじあろう、悪どい奴じあな、もっと懲らしめてやらね、
ばならん、それは後にして、鞍馬屋にいくぞと言うと、船子と七衛門をつれて鞍馬屋に行き主人はおるかと言うと、ハイ、鞍馬屋で御座いますと出て来たので、ミカドの委任状を見せて、
吉野杉の横流しについて詮議しに来た、

この約定書と賂の書付はなんじあ、長年にわたっての不正許しがたし、そなたの財産は総て没収して、町奉行所に引渡し遠島を申し付けると言うと、申し訳ござりません、なにとぞ勘弁、
して下さりませというと、横ながした2000両分は半分関白に差し出しているのじあなと聞くと、ハイ、その通りに御座いますと言うので、総てを返せとは言わん、1000両の20年分2万両、
を即刻返却せい、

しないなら厳罰じあぞと言うと、ハイ、只今蔵から出しますと言うので、今後は横流しはならんと言って、金寸を荷車に載せて御所に行き勘定頭に引き渡すと、これで6万両になりますが、
と言うので、その内1万両を寺社方に渡し、神社仏閣の修復に当てよ、但し小さな神社仏閣を優先するのじあ大きな神社仏閣は寄進も多いであろう、後の1万両は微禄の公家の屋敷の修復、
に当てろ、

京の町を歩くと、小さな神社仏閣はみすぼらしく、微禄の公家の屋敷は、雨漏りでもしそうに荒れておる、優雅な京の町を取り戻すのじあ、但し不正を働けばことごとく、壱岐の島へ遠島、
にすると申し渡せというと、ハハッと返事したのです、鞍馬屋が攝津屋に駆け込み事の経緯をはなすと、わしも4万両払わされたわ、関白様の処へいくぞと連れ立って屋敷に行くと、九条、
が、

ミカドが総てを任されたので、手出しは出来ぬ、まだ、屋台骨が傾くわれではないじあろう、奴が出ていけば又元に戻せるであろう、暫く我慢する事じあと言うと、これ以上やられますと、
屋台骨が傾きますというので、やるようなら、刺客を送り込むしかないが、奴は凄腕だそうじあと言うので、大阪より腕の立つ浪人を集めますと言うと、奴は鞍馬山に杉の視察に行くはず、
じあ、

そこで襲えば目立たないじあろう、人数は7人だそうじあ、但し失敗してもまろは知らぬぞと言うので、承知しております、20人集めれば相手は7人ですと言うので、しかし、恐ろしい奴、
よのう、禁裏では賂の事は一言も言わなかったが、いかに奴といえどまろには手は出せんのじあ、わしを罰すれば朝廷の威厳は地に落ちるからのうと笑ったのです、そのころ源三郎は家、
に戻り、

お玉に一応は懲らしめたが、関白は手つかずじあ、わしと言えど手出しが出来ぬと高を喰っているのじあろう、才蔵関白はいくら蓄財しているのじあと聞くと、およそ3万両を屋敷の土蔵、
に入れていますと言うので、衛士は何人じあと聞くと、10人に小者に女子が8人いますと言うので、何処かに泊まりで出掛ける事はないのかと聞くと、外に女子が3人おり、2日おきに順番、
に泊まっているようです、

護衛は衛士5人がついていますというので、よしその日に屋敷に侵入して5人は眠らせ、女共は一箇所に集めて、金を総て頂こう、みんなで覆面をするのじあ、屋敷の前は堀川じあ、船を、
用意して、御所まで運び金蔵に入れるぞ、七衛門できるかと言うと、ハイ、まかしておいて下さいと言うので、不正に手にいれた金じあ、どこにも届けられず腰を抜かすじあろう、山形、
御所に行き、

勘定頭にきょうは御所に待機しているように言ってくれと言うと承知と家を出て行ったのです、蔵には鞍馬天狗参上と言う張り紙をおいてやろうと言うと、お玉が悪には悪で対抗するの、
ですねというので、これで貧乏公家に成り下がるわけじあよと笑ったのです、二日置きと言う事は今日でかけるのかと聞くと、才蔵がそうですと言うので、七衛門用意を頼むと言うと、
承知と言うと家を出て行ったのです、

さて、夜まではおのおの巡察に出掛けてくれと言うと、承知と言って出掛けたのです、お玉に祇園でも行ってみるかと言うと、ハイ、私が案内しますと言うので、家を出て祇園に向かっ、
たのです、祇園の町を見て回ると、大勢の舞妓が歩いています、ここを見れば華やかじあが、一歩裏に入れば貧乏人が大勢いるのじあろうと言って、鴨の川原に行くと、家の無い者が、
あちこちに小屋を作り住んでいます、

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