第13話

文字数 2,593文字


源三郎江戸日記(弟三部)13

お玉がひょとして旦那様の指南ですかと聞くので、ここの殿様は土屋様のご次男坊なのじあ、殿と同じ婿養子なのでと頼まれたので、指南したのじあ、魚はエラで水から空気を取りだして、
生きているのじあよ、空気がなくなると死んでしまうので、竹で作った水鉄砲で空気を海水に送り込めば水に空気が混ざり魚は生き続けられるわけじあよ、水鉄砲に弁をつけて引いた時に、
は筒に空気が溜まり、

押すと空気が出ていくようにして、船の場合は風車、馬車なら車輪の処につけて回転運動を上下にする工夫をするのじあ、水車の餅つきと同じじあな、と絵にかいて説明するとなる程回る、
ものも上下運動に変えられるわけですねと言うので、水鉄砲の先には竹の節に穴を開けて、火であぶれば曲げる事が出来る、これは釣り竿を作るとき曲がった竹を火であぶり真っ直ぐする、
が、

逆に極端に曲げる事も出来る、少しづつやるのじあが、釣竿つくりの名人は手間暇かけて作るのじあよ、江戸の名人が作ったのは一本20両もする物があるそうじあ、あぶると折れにくくて、
弾力がでるそうじあと言うので、水鉄砲と釣竿から工夫したのですねと言うので、この方法で紀州からくえと言う幻の魚を江戸に持って来て大名にあきなっているのじあよ、紀州藩の財政、
の助けにもなっておる、

これは上杉藩への借財2万両を吉宗公が返済しなくても良いと言われたお礼じあ、紀州藩は、みかんとくえで冥加金が沢山入り、財政は立ち直ったとの事なのじあよと言うと、そうですか、
色んな策で借財を減らしたのですねと言うと、若狭屋がみんな返されるとわしは困るので、手心にて利息をもろうているのですよと言うので、商人との付き合いは大事なんだよ、いざと言、
う時に借りねばならんだろうと言うと、

お律が兄上はめんどくさがり屋なので、自分は考えるだけで人にやらせるのですよと言うので、それで色んな事を思いつくのかとお玉が笑ったのです、源三郎が湯に入って来ると部屋を出、
ると、お玉があの性格は若狭屋殿からの受け継ぎですかと聞くと、小さい頃から自由奔放にさせたのが良かったのでしょうと言うと、お律がそれは甘やかしたと言う事でしょうと笑うと、
お律殿は段々お鶴の方に似てきましたなと言って、

わしも湯に入ってご家老に背中でも擦ってもらいますと、部屋を出て行ったのです、お玉が良いお爺様ですねと言うと、兄上ばかり可愛がるので小さい頃は悔しくて、何回も泣いたのです、
よ、その度に母上から抱きしめてもらいましたと言うので、その分旦那様は母上や本家の母上から小言を言われたのでしょう、お相子ですよ、私も父上は二人の兄ばかり可愛がるので悔し、
くて小太刀と長刀を修練したのですよと笑ったのです、

それでは私たちも湯にはいりましょうと言うと部屋を出て行ったのです、源三郎が湯に入っていると若狭屋が入って来たので、背中を流しましょうとと言うと、頼みますと言うのでゴシ、
ゴシと擦り、まだまだ良い体つきをしていますなと言うと、今でも時々荷を運んだりするんですよと言って、こんどはわたしがと言うので座るとゴシ、ゴシとこするのでお爺様手心をと、
言うと、

いつもそう言うていましたなと笑い、ハイ、出来ましたと言うので湯を被り、一緒に湯に入ると、こうやって湯に入るのは何年ぶりですかねと言うと、たしか元服前じあから、もう13年、
になりますなあと言うので、長生きしてくだされと言うと、ハイ、まだまだ大丈夫にございますぞと言つたのです、さっぱりして湯から上がるといい匂いがしています、七輪ではまぐり、
を焼いており

これはうまそうじあと言うと、女将がそれぞれに酌をしたので、杯を重ねると、さあ焼けましたよと言うので、食べて、美味いと言うと、みなも酒のつまみに、ぴったりと喜んだのです、
翌日は少し強行軍になるが夕方までには米沢にはいるぞと言うと、早足にして街道を進むと、お律がところどころ屋根がありますがと言うので、雪防止の為じあよ、ああしておけば屋根、
は急角度なので、

脇に落ちるわけじあ、空いているのは光取り入れ口じあよ、あそこから雪ははいるが少しだけじあ、冬はそりを使うので少し雪があった方が良いわむじあよと言うと、なる程これならば、
冬でも通れるわけですねと言うので、峠は大分削って低くしてあるので楽に上り下りできるのじあよ、お陰でこの冬は米沢は雪に閉ざされなかったわけじあと言ったのです、これは方様、
が言われたのじあよ、

米沢の百姓屋はみんなこうゆう風に屋根は急角度になっているそうじあよ、先人の知恵と言うわけじあなと言うと、なる程、昔の人は色々工夫して生きてきたのですねとお律が頷いたの、
です、後半分だな、飯でも食べようと言って峠の下の谷川の傍で握り飯を開いたのです、谷川の水を竹筒に汲んで回すと、美味い水ですと喜んだのです、馬にも水と藁をやって、さて急、
ぐかと馬に乗り進んで行ったのです、

あの峠を越えれば米沢だよ、間に合ったようじあな、後はゆつくりで大丈夫じあと言うと、ゆつくりと峠を登ると目の前に米沢の盆地が見えてきたのです、米所だけあって沢山の川が、
流れています、大きな盆地ですねと言うので、四方を山に囲まれているのじあよ、あそこが越後にいく峠じあが難所なんじあよと言ったのです、峠を降りて暫く行くと城下のはずれに、
でたのです、

もうじき日が暮れるなと言って急いで城に向かい、御座所に行くと、治憲がよう戻ったと言うので、殿並びにお方様もお元気そうで何よりです、ここに控えていますのは、妻のお玉と妹、
のお律に若狭屋に御座いますと言うと、おう玉か良く来たなと言うので、兄上様には暫くでした、又お方様には初めておめもじ致します、玉に御座いますと挨拶すると、よく来て下され、
たと言ったのです、

若狭屋も妹子もこんな遠いとこに良く来てくれた、ゆっくり米沢を見て行ってくれと言うので、ハイ、新緑がまぶしい季節ですねとお律が言ったのです、今日はいつもの料理屋でお待ち、
しています、お方様とお出ましくだされというと、わかった、印西の話も聞かせてくれと言うので、ハイと返事して御座所を下がり、千坂の御用部屋に行き、只今戻りましたと言って、
みなを紹介すると、

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