第20話

文字数 2,795文字


源三郎江戸日記(弟三部)20

お玉が保科の肩をピシ~と打つと、ぐわ~と言って前に倒れたのです、ばかめ、われわれは戦支度をしているのじあ、かなうはずはないわと言うと、会津公がわしがはっきりしないお陰で、
こうなってしもうたと言うので、もう決断せねばなりませぬぞ、砒素は混入されなければ徐々に体力は元に戻ります、町医者の玄庵に治療させましょうと言って、道庵にこの策を言うたの、
は間部詮房であろう、お前は何故引きうけたのじあと言うと、

綱豊様が将軍におなりの際は幕府の御殿医師に取り立てるとの事でございますと言うので、なんぞ書きつけは貰ったのかと言うので、ハイ屋敷の手文庫の中に事成就のおりは御殿医に推挙、
すると書いた約定書がありますと言うので、会津公が何と言う事じあ、お照と綱豊様の奥方は親しいとは聞いていたが、お照が泣き言を言うたのであろうと言って、目付けの柴山はおるか、
と言うと、

ハッここに控えおりますと言うので、そなたも保科に組しているのかと聞くと、いや、それがしはどちらにも組していませぬと言うので、わかったと言って、保科そなたの所業は万死に値、
するが、そなたを処分すれば事は公にになる、国家老は罷免する、隠居願いを出して家督を嫡子に譲るのじあ、又江戸家老も隠居させる、跡継ぎは綱道として幕府に届ける、綱春は会津、
38万石より5万石を遣わし分家とする、

綱春を推している者共は綱春の家臣になれば良い、なお、江戸家老、国家老は一門からは選ばぬとするが、源三郎どうじあなと言うので、それで宜しゅう御座います、今回の事は上様には、
会津にお咎めがないように報告いたしますと言うと、かたじけない宜しゅうたのむぞ、逆ろうた物は分家が決まるまで謹慎いたせ、屋敷を一歩もでてはならぬ、柴山厳重に監視せよという、
って、

江戸に急使を遣して江戸家老にその胸を下知し、逆らう者は上意打ちにすると伝えよ、幕府に届けよと手文庫から、綱道の嫡子届けを渡したのです、玄庵が来たので後の治療を頼むと言う、
とわかりました、と脈と体を見て、心の臓がお強いので持ちこたえられたのでしょう、これなら半年もあれば快癒できますと言ったのです、道庵素直に白状したので命は助けてやるそなた、
は永代追放じあ、会津城下に立ちいってはならぬ、

屋敷に戻り金品のみ持ち会津城下を出るのじあ、間部に江戸に帰ったら忠罰致すと申し伝えよと言うと、ハイ、と返事して出て行ったのです、飛猿が間部の約定書にございますと渡すので、
会津公に見せて、これは綱豊様に文と一緒に送りますが、恐らく間部は処断されないでしょう、処断すれば綱豊様の落ち度となり幕閣は大騒動となりますと言うと、間部は何を考えている、
のじあと言うので、

綱豊様の奥方様に媚を売り自分の身を守ろうとしたのです、綱豊様は奥方様が絡んでいるとなれば、叱責するくらいしか出来ませぬと言うと、間部は狡猾な奴じあのうと言うので、権力の、
亡者に取り付かれているのですよ、目を覚ませば良いのですが、中々懲りる玉ではありませぬ、ところで城下を巡察しましたが、ことのほか町人立ちの節度が良いので、訳を聞きましたら、
殆どの者が読み書きできるそうです、

城下には寺子屋が沢山あり子供の頃から通うものが多いのだそうです、藩から助成金を出しておられるそうで、それが功を奏しているのでしょう、しかし、藩士の行状は芳しくありませぬ、
学問所を作り、藩士の子供はすべからくそこに入るようにして、礼儀作法に読み書き、剣、ソロバン、賄い方を教えなされ、ソロバンは身分の低い者しか藩士は出来ませぬ、藩の財政を、
担う、

高禄の者が手で計算しては莫大な時間がかかります、恐らく何も見ていないで決済しているのでしょう、それでは本当の財政等わかるはずはありませぬ、賄い方も同じで、接待をする、
者が料理を知らずして良い接待が出来るはずは御座いませぬ、一通りの知識がなければならんのですと言うとと、そうじあな、家訓を作り家風を改めねばならぬわけじあな、さつそく、
検討させよう、

今回は大変世話になった、上杉家になにかあらば助力するゆえ、遠慮なく言うてくれ、又諸国の巡察ご苦労な事じあなそなたを上様が選ばれた訳がよくわかったぞと言うので、藩主なれ、
ば色々悩まれる事でしょうが、決断は早い内にしないと、更にひどい事になりますと言うと、そうじな、今回でよくわかった、今後は早い時期に、決断する事にしょうと言って、町奉行、
はおるかと聞くと、

ここに控え降りますと言うので、山城褒められたぞそちの手柄じあなと言うと、町方は藩士には手は出せませぬ、申し訳ありませぬというと、目付けの柴山がそれがしの落ち度で御座い、
ますと言うので、そうでは無いそなとと言えど一門には手出しできなかったのであろう、今後は一門も含めて町中で狼藉を働く物はわしに報告せよと言いつけたのです、大きな町ゆえ、
目が届かない事もあるのでしょう、

ヤシの元締め常吉は中々の人物と見ました、十手をあずけて手伝わせるのが良いでしょうと言うと、山城が承知しました同心の配下ではなく、私の直属としますと言ったので、それは、
良い方法じあ、奉行の目と耳としてお使いなされと言ったのです、会津藩も財政は大変でしょう、ここには良い蝋の木、桐の木、漆の木が沢山あると聞きます、又会津小鉄と言う名刀、
作りもおります、

くわ、すき、はさみ等の製品等、物産の育成に力をいれなされ、腕の達ものを士分に登用してやらせるのです、さすれば5万石くらいの増収になります、米沢に人をやり物産会所を見学、
なされと言うと、あい、わかった、それも検討してすぐにやらせよう、わしも早く元気になり、推進せねばならんのうと言うので、そうです、藩主が元気なら、領民も頑張るでしょう、
それでは総て終りましたので、

これにて失礼いたしますと言うと、気をつけて行くが良いと言うので、ハイ、殿の一日も早いご快癒をお祈りしますと言うと、城を出て城下に戻り居酒屋に入り、祝杯を上げたのです、
音吉が常吉を連れてきたので、聞いたかと言うと、ハイ、お奉行に呼ばれて、この十手を預かりました、たいした力にはなれない、かも知れませぬが、悪人は見逃しませんと言うので、
頼んだぞ、

ここに200両ある何かの役にたてよと渡すと、お預かりしますと言うので、大した手当てもでないじあろう、配下の慰労に使っても良いぞと言うと、ヤシの元締めとしての上がりも結構、
あります、配下には不自由はかけちやおりません、困った者の手助けに使わさせてもらいますと言うので、そうかまあ飲めというと音吉が酌をして杯を重ねたのです、それでは又立ち、
寄ることもあろうと言うと席を立ち旅籠に戻ったのです、

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み