第40話

文字数 2,770文字


源三郎江戸日記(弟三部)40

暫く歓談するとおのうが今日は新一郎様のお家に泊めていただきます、明日は親族に敵討ちの報告をして、この遺髪を竹田家のお墓に入れて供養して、沓掛に戻りますと言うので、息災、
に過ごしなされと送り出したのです、改めて皆で杯をかたむけて、今回はお玉だけが戦に参陣したなと言うと、山形がお方様の、あの抜く手もみせない早業にはいっも驚きますと言うと、
お玉があの者達がまったく腕がないのですよと笑ったのです、

お玉がしかし街道筋には悪人が一杯いるのですねと言うので、これでも氷山の一角なんじあから参るなと言うと、旦那様はそろそろ悪人退治もあきが来たのでしょうと言うので、実は、
そうなんじあよと言うと、順調にいけば明日は落合宿まで行けるじあろう、ここまでで江戸からは70里じあな、後50里で京都と言うわけじあと言うと、ほんに、陸路は遠いのですねと、
言うので、

特に中山道は山の中ばかりじあからなと言うと、お玉がたまには海の魚が食べたいですねと言うので、大阪までは無理じあよと言ったのです、旅籠に戻ると有難う御座いました、名主、
から聞きました、冥加金も1割りに戻してくださるそうで保証金として10両いただきました、弥太郎もいなくなったと言う事で、これで以前の賑わいを取り戻しますと言うので、これ、
からは綱道様が善政を行われるであろうと言ったのです、

翌日出立して馬籠峠を超えて馬籠宿がもう少しと言うところで、街道の畑の木に1人の男が縛りつけられています、馬を降りてどうしたのだと聞くと、ハイ、あの畑の大根を盗んで食べ、
ていましたら、百姓に見つかり大勢で追いかけられ捕まつたのですと言うので、大根は美味かったかと聞くと、ハイ、2日も飯を喰っていませんでしたと言ったのです、大勢の百姓が、
現れて、

お武家様こいつは畑泥棒ですと言うので、この者をどうするのじあと聞くと、村に連れて帰って縛り首にしますと言うので、ここは天領じあろう、勝手に仕置きしてはいかん、それに、
大根を盗んだくらいで、縛り首とはと言うと、村の掟ですだと言うので、上様からむやみに人を殺めてはならんと言うお触れがあったはずじあがと言うと、それはお犬様の事ですと言、
うので、

何を言うか、生類哀れみの令は人も入っているのじあと言うと、そんな事は聞いてはおりませんがと言うので、この男を連れて代官所に行くぞと言うと、縄を解き逃げれば切るぞと言、
って、その大根を一つ売ってくれと言うと、百姓が引き抜いて渡すので2朱銀を渡すと、差し上げますと言うので、いや、とっておけと渡すと、これでは多すぎますというので、いいの、
じあよと言って、

土を落として半分に割り、その男に渡して食えというと、ハイと受取ったのです、源三郎が食うと、これは甘いではないか、なる程良い大根じあな、良い漬物が出来るであろうと言うと、
ハイ、と百姓が答えたのです、代官所に連れて行き代官にわしは諸国巡察視の村上源三郎じあと言うと、ハハッと頭を下げるので、ここでは、勝手に百姓が仕置きしているのかと聞くと、
畑泥棒はそうゆう慣例に御座いますと言うので、

生類哀れみの令は犬を助けろと言う意味ではないわ、人を慈しめという事じあ、何人も法に照らし合わせて仕置きするのが当たり前じあ、大根泥棒は寄場送りが妥当であろうが、寄場、
がないので、百姓仕事を一日させるのが妥当じあなと言うと、ハハッと言うので、名主はおるかと聞くと、ハイ、名主の松蔵に御座いますと言うので、今後泥棒を捕まえたら代官所に、
差し出すのだ、

勝手に仕置きしてはならぬ、但し刃物を持ち歯向かうものはこの儀にあらず、近隣の村にも幕府の申しつけだと触れてまいれ、勝手に仕置きすると、仕置きした者全員に罰を与えると、
言って、作物の弁済をすれば勘弁してやれと言うと、ハイ、承知しました、触れて回りますと言うので、代官わかったなと言うと、ハイ、管轄内に高札をたてますと言ったのです、

それでは、こいつに泥棒された畑の持ち主はと言うと、先程の百姓がヘイわたしで御座いますと言うので、何本盗まれたのじあと聞くと、1本にございますと言うので、それでは先程、
の2朱で足りるなと言うと、十分に御座いますと言うので、このものは解放しても良いなと言うと、ハイと言うので、それでは代官も良い治世をなそなたの名前はと聞くと、島田八郎、
に御座いますと言うので、

名主にこの島田の治世はどうじあと聞くと、よく、やっておいでですと言うので、そうか、島田、上様に良くやっていると報告しておくぞ、いずれは、江戸に呼びもどされるであろう、
それまで頼むぞと言うと、勿体無いお言葉で御座ります、これからも、幕府の名前を汚さないように勤めますと言うので、200両を渡してこれは褒美じあ、代官所の者どもと百姓衆に、
何か美味いみのでも食わしてやれと言うと、

これでは多すぎますというので、余ればそなたが貰ろうておけ、江戸へいる家族に、何か送ると良いと言うと、ご配慮かたじけのう御座りますと受取ったのです、そこの泥棒名前はと、
聞くと、ヘイ、三平といいやすと言うので、お前はわし達に、ついて参れというと、代官所を出て街道に戻ったのです、馬籠宿に着き、居酒屋で一休みしょうと、中に入り酒と肴と、
飯と味噌汁に漬物を頼み、

三平食えというと、ヘイ、と言うとがぶりついたのです、おかわりしても良いぞと言うと、ハイ、と言ってどんぶり飯2杯を食べて、もう入りませんと言うので、おまえはゴマのハイ、
じあろうというと、わかりましたかと手を出すので、なぜゴマのハイになったのじあと聞くと、あっしは、江戸で板前をやっていましたが、博打が好きで身を持ち崩し、捕まって、
所払いになったのです、

それで中山道を上方まで行こうと旅に出たのですが、路銀がなくなり、つい出来ごころで旅籠で財布をくすねようとして見つかり、慌てて逃げたのですが、一文なしでしてと言うので、
素人にゴマのハイが出来る分けない、仕方ないお前に10両やろう、これで大阪に行き店に奉公して悪さはするなと言うと、こんなに沢山いただいてよろしいのですかと言うので、但し、
良い板前の修業をして、

こんどはお前が、その腕で困っている者を助けるのだと言うと、ハイ、この恩は一生忘れません、この金はお預かりして、きっと稼いで返しますというので、わしではなくて困った人、
に返すのじあと言うと、ハイ、と言って受取ったのです、さてそろそろ行くぞと言うと店を出て、馬にのり落合宿に向かったのです、お玉があの男は後ろをついてきますよと言うので、
どこかで使い道があるじあろう、ほうて置けばよいと言うと、

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