第101話

文字数 2,759文字


源三郎江戸日記(弟三部)101

この前幕府に献上した書物ですな、読んでおられる人がいるとは愕きましたと笑い、方位磁針計は、どこの国の物を装備しているのか聞くので、我が国で作ったものだ、宋から昔到来し、
た事を話すと、それを船用に改良したのかと愕いていたのです、大砲も南蛮船は相手の船を壊す為なので鉄の弾だが、我が国の大砲の弾は炸裂弾になっている、さらに発射角度を細かく、
調整できるので、

遠くからでも相手の船に当てる事が、出来るように工夫されていると言うと、鎖国していても西洋と同じに進化しているわけですな、ジパンの勤勉さには愕きましたとカピタンが笑った、
のです、お玉とお鶴は珍しい料理に目を丸くしています、最後に肉が出て来たので食べると、すこし硬いですが中々美味しいのです、何の肉なのとお玉が聞くので牛だよと言うと、え~、
と言うので、

西洋では食べても良い事になっているんだよと教えると、ここは大和の国でしょうと言うので、この出島は西洋と同じで、我が国の掟は通用しないのじあよと笑うと、二人は牛の肉も中々、
美味しいのですねと言うので、お釈迦様は牛は稲作に必要だから大事にせよと言ったら、いつの間にか食してはいかん事になってしもうたんじあが、150年前は何でも食していたんじあよ、
と言ったのです、

カピタンが今回はオランダの船を助けてくれたそうで感謝する、この国からジパン人は連れ出さないように厳重に監視するといって、今回のお礼ですと銀貨50枚を渡すので受取りこれは、
次期将軍の刻印入りの金貨ですと5枚渡すと、それは珍しいとカピタンが喜んで受取ったのです、カピタンが村上さんは西洋に興味があるみたいなのでこの本を贈呈するこれは最新造船、
技術書だと言うので、

中を見ると南蛮船の構造などが図解入りで説明してあります、これは何にも勝る贈り物です、有難う御座ると受取ったのです、色々歓談して今日は馳走になりましたとお礼を言って出島、
を出て料理屋にもどったのです、今回の助力のお礼じあとカピタンから貰った銀貨20枚と20枚の葵の刻印入りの小判を肝いりに渡してみんなで分けてくれと言うと、これは貴重な小判を、
有難う御座いますと受取ったのです、

それではそろそろお開きにしょうと言ってお開きにして旅籠に戻り、皆に銀貨を1枚づつ渡すと、これが南蛮の銀貨ですかと言うので、南蛮人との取引は銀と言う事になっている、南蛮で、
も一般に流通しているのは銀だと言うことじあと言ったのです、さあ後は博多に戻り下関を通り大阪から江戸にもどるぞ、江戸に戻ったら今回の没収金のうち5千両をお鶴殿に進呈いたし、
ます、

ご自由にお使いなされと言うと、有難う御座います、まずは金山の開発を手がけますと喜んだのです、翌日は博多に寄り上陸して旅籠に入り湯に入り一服して巡察に出掛けたのです、博多、
は昔からの海運の町で大変賑わっています、黒田藩も重要な藩の財政を賄っているので、博多だけは、ある程度博多商人の自治に任せていたのです、黒田藩主は黒田光之殿で藩財政を立て、
直すのに苦労したと聞くがもう高齢じあな、

後は綱之殿が嫡子だが粗暴なお方で幕閣から嫌われていると聞く、お家騒動が起こらねば良いがと言うと、先代の時にもお家騒動があり家光公が裁定なされてお咎めはなかったそうですね、
とお玉が言うので、対立していた家老2人が配流になっただけで、減封にはならなかったそうじあと話したのです、町外れまで来ると助けてくれと声がして提灯が道に転がり燃えている、
ので走り寄ると、

町人が武士から切りつけられており道に倒れているので、源三郎が辻きりだなと刀を抜くと傍にいた二人も刀を抜き、切りつけて来たので刀で受けとてめて町人を切りつけた男の右手を、
切り下げるとぐわ~と言つて刀を落としたのです、あとの2人はお玉とお鶴が切り下げるとこれも刀を落として右手から血が流れたのです、三人は慌てて刀を拾うと走って逃げさったの、
です、

倒れている町人を抱き起こすと、右肩から切り裂かれています、まだ息があると言って胸を開けるとキズは深くありません、手ぬぐいで押さえて、誰か呼んで来てくれと言うと騒ぎを、
聞きつけた町人が集まって来たので、戸板を持って来てくれと言うと、ヘイと言うと近くの居酒屋の戸板を持ってきたので、それに載せて、医師はいないかと聞くと、町中にいますと、
言うので、

担いでもらい運び込んだのです、医師に浅手だが止血は出来るかと聞くと、ハイと言って酒を拭きかけて消毒して、傷口を見ると5寸程肉が切り裂かれています、手術しますと言うと、
針で縫い合わせて、消毒して軟膏を塗りさらしで縛ったのです、熱が出てきましたなと言って頭を冷やし、血も止まったみたいですので命には別状ありませぬと言うので、だれかこの、
男を知らないかと言うと、

医師がこの者は廻船問屋寿屋の主人平左衛門に御座いますと言うので、襲ったのはみなりからして藩士のようであったがと言って、番頭を呼びに行かせると、番頭の吉次でございますと、
妻女と娘を連れて来たので、医師が命には別状ないと言うと、妻女と娘が有難う御座いますと言ったのです、武家に襲われる心当たりがあるのかと聞くと、分からないとの事である、

番頭の吉次を居酒屋に連れて行き、お前は心当たりが、あるのじあろうと聞くと、ハイ、対馬へ送った積荷の事で襲われたのだと思いますと言うので、何故だと聞くと、昨日の嵐で船が、
難破しそうになり、途中の小島の入り江に退避したのですが、積荷の一部が流失したのです、それで荷主の立花屋にお詫びに行った帰りに襲われたのだと思いますと言うので、積荷は何、
だったのだと聞くと、

米と鉄製品の鍋、釜、くわ、すき等と聞いています、流失したのは2個の木箱で甲板においてあったそうで、くわ、すき等の農機具だと言う事ですと言うので、その場合はどうするのだと、
聞くと、廻船問屋が金寸で弁償する事になっています、その話し合いに行かれたのですがと言うので、話がつかずに襲われたとは思えぬがと言うと、船頭の話ではどうやら積荷は農機具、
ではないのではないかと言うていましたがと言うので、

なぜそう思ったのだと聞くと、積み込む時に箱が凄く重たかったのだそうで、船倉にはいれずに甲板に縛り付けていたそうなのです、まるで鉄の塊が入っているようだと言うていました、
がと言ったのです、なる程中身が分からねば弁済障のしょうがないわけじあな、それで問いただしたところ、禁制品とわかり、発覚を恐れて襲われたということか、それを隠す為に辻斬り、
に見せかけたのかも知れぬと言ったのです、

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