第72話

文字数 2,742文字


源三郎江戸日記(弟三部)72

誰か若狭屋を呼んで来てくれと言うと、ハイと言うと弟子が店を出て走って若狭屋に向かったのです、程なく若狭屋が部屋に入って来て、ご家老と傍によるので、動かしてはいかん、
深手だが急所は外れています、命には別状はありませぬ、二三日は目が覚めませんが、熱が下がれば目を覚ましますと言うので、番頭に根岸のお峰殿は身重じあ、そなたは桜田門の、
上杉屋敷の奥方様に、

知らせておい出で願え、命には別状ないが深手じあとなと言うのだと言うと、ハイ、船で行きますと店を出て行ったのです、誰の仕業ですかと聞くと、この娘を助けられてよけそこな、
われたそうじあが、誰の仕業かわからぬそうです、ご家老ははっきりと見られたでしょう、目がさめればはっきりしますと言ったのです、娘にそなたの名はと聞くと、本所の蝋燭問屋、
三笠屋の娘でゆうと言いますというので、

ここは大丈夫じあ、誰かに家まで送らせようと言って、新之助に知らせると、新之助と三蔵が入って来て、なんと言う事をと言うので、下手人はご家老が目を覚ますまでわからんそう、
ですと経過を話し、この娘を本所りの家まで送っていって下されというと、三蔵がまかしておいてください、さあ、娘さん日も暮れた、あっしが送りやすと、立たせて籠を呼び送って、
いったのです、

程なくお玉が駆けつけ何と言う事をと言うと、深手だが命に別状ない二三日は目がさめんじあろうというと、若狭屋が根岸のお峰殿は身重ゆえ、知らせておらぬがと言うと、命は助か、
のですから、知らせましょう誰か使いを出して、お峰殿は身重ゆえ、お滝に来るように言うてくだされ、私と、お滝で寝ずの看病をしますと言うと、ついて来たお咲が私もお手伝いし、
ますと言うので、

頼みますと言ったのです、新之助がわしが根岸に知らせに行こうと言うと店を出て行ったのです、程なくお滝とお律が現れ旦那様と言うので、お玉が大丈夫じあ、それでは交代で看病、
しましょう、まずは私が4時看病します、後はお咲、お滝殿、お律殿の順番にしましょう、別室で少し寝るといいと言って、お峰殿は身重じあが大丈夫かと聞くと、お滝が命に別状な、
いと聞いて、

安堵なさっていましたので、大丈夫ですと言ったのです、源三郎は自分の体から抜けて天井の下に浮いていたのです、声をかけますが誰も気づかないようです、わしは、死んだのかと、
思っていると、横に1人の女子が来て、源三郎様迎えにきましたと言うので、わしは死んだのかと聞くと、いいえ生きていますよ、お釈迦様が矢が骨に当たるように向きを変えられた、
のです、

危ない所でした、と言うので、ならば何処に行くのじあと聞くと、天国ですと言うので、ヤッパリ死んだのじあなと言うと、いいえ、3日は目がさめませぬので、この機会に天国を見せ、
てくださるそうです、さあいきましょうと手を握ると屋根を通過して外に出て西の方に三途の川の渡し場があります、そこから黄泉の国にいけるのですと言って、凄い速さで飛んだの、
です、

赤ちゃけた台地が広がり、多くの人が先の川に向かって歩いています、あれが死んだ人かと聞くと、そうです、人は死ぬと魂がここに来るようになっています、源三郎様は死んでいない、
ので案内人が必要なのですと言って、下に降りて三途の川に行くと、1人の男がおまえは現世で悪い事をしたかと尋ねています、ハイと答えると左にいいえと答えると右に行くように分、
けています、

その先には2人の婆さんがその者に手を当てて赤く光ると、あんたはあっちじあと送り返しているので、何をしているのじあと聞くと、右にいるのが天婆で左が地婆です、男は右手女子、
は左手に手を合わせると、嘘をつくか間違った事を言ってもわかるので、違う方へ行かされるのです、大体人は悪い事の一つや二つはしているのです、大きな悪事でなければ天国に行く、
ことが出来ます、

人を殺せば地獄ですが、やもうえない場合、敵討ちとか殺されそうになったので、殺したとかの場合も天国へいけます、ようするに、極悪非道な人は地獄と言うわけです、人に頼んで、
殺させた者も地獄ですと言うので、それでは果し合いの場合もいいのじあなと言うと、ハイ、お互い承知の上ですから問題ないのですと言うので、あの婆さんが何かを渡している者が、
いるがと聞くと、

あれは6文銭を持たずにここに来ると、三途の川の渡し賃がないので貸しているのですと言うので、いつ返すのじあと聞くと、現世に帰ったとき、神社か寺に6文以上のさい銭を入れれば、
あの婆さんのところへ渡る事になっています、入れないと次には地獄に行かされます、善人はかならず一回は神社かお寺に行きさい銭は6文以上は入れるでしょうと言うと、記憶は消し、
て現世に戻されるのじあろうというと、

そうです、赤ん坊に乗り移るのですよ、両親が赤ん坊の為に入れても良いのですと言ったのです、中には一生行かない人もいるじあろうと言って、まあいいかと言うと、ハイ、なぜ、なぜ、
に付き合っていると、先に進めませぬというので、そう怒るなこうゆう性格なんじあよと言って、何故と言って悪いが、あの後ろの岩山に沢山人がいるが、何故じあと聞くと、あの人達は、
現世に未練があって、

三途の川を渡れない者なのです、大体49日ここにいれば諦めがついて三途の川を渡ります、供養されていないとず~とここにいる事になるのですと言うので、それは可愛そうじあな、あの、
前にある井戸はなんじあと聞くと、現世を見る事が出来る井戸ですと言うので、みせて貰おうと言うと、番人に見るのに金がいるのかと聞くと、いいや、誰でも見れるよと言って、覗き込、
見たい者を思い浮かべるのだと言うので、

今わしはどうなっているのじあと思うと、水が動き自分が寝ているところにお玉が座っており、頭に当てた手ぬぐいを桶の水につけて絞り頭に当てています、なる程不思議な井戸じあな、
たとえば誰かに殺されてそのままになっているとしたら、いつまでも供養されないじあろう、この紙に自分が遺棄されている場所を書きそれをこの井戸で見えた自分の家の神棚へ張りつ、
ければ、

家族が気づいてその場所へ行き骨を拾って供養してくれるじあろう、さすれば三途の川を渡り天国へいけるじあないかと言うと、番人がなる程やってみよう、だけか打ち捨てられて三途の、
川を渡れない者はいないかときくと、何人かが手を上げるので、こつちに来て、この紙に遺棄されている場所を書なさい、その者の家にわかるように置いてやるぞと言うと、最初の娘が、
家から東へ半里の川原に打ち捨てられていると書いて、

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