第21話

文字数 2,899文字


源三郎江戸日記(弟三部)21

旅籠に戻ると文を書き間部の約定書を添えて柳沢様へ送る事にしたのです、中には今回の顛末と、会津公へのお咎めがないようにと頼み、綱豊様に約定書は渡してくれるように文にしたた、
めたのです、才蔵に渡し城下の飛脚問屋に米沢の玄海屋の番頭に早飛脚で渡して、江戸に送るよう頼むように言うと、承知と言って部屋を出て行ったのです、翌日は会津を後にして一行は、
日光西街道を日光に向け旅立ったのです、

日光までは30里あり、馬で3日の道のりです、その頃間部の忍びが、会津での失敗を見届けて一路江戸に向かったのです、米沢へ行き相馬に出て船で江戸に向かい、4日で江戸に着き間部に、
ことの経緯を報告すると、くそ~又も失敗したのか、道庵を江戸にいれてはならん、密かに始末しろ、奴さえいなければ証拠は無い、又源三郎の行く先々で罠を仕掛けろそなた達は直接手、
はだすなと言うと、

ハッと言って部屋を出て行ったのです、柳沢は源三郎の文を見て、やはり間部の仕業かと言って、何とか源三郎が治めたみたいじあな、上様には間部の事は伏せるしかあるまいと言うと、
登城して、綱吉に会津は源三郎が国家老一派の悪巧みを潰して綱道殿の嫡子届けを出す事になったそうです、じきに届けがくるでしょう、これで会津公に何かあっても改易はせずに済み、
ます、

尚会津公は半年で快癒される、との事ですと言うと、何と医師が砒素を盛っていたのか、本来ならお家騒動として改易せねばならんが、家光公の弟の血筋じあからそれも出来ぬじあろう、
内々で済ませよと言うので、承知いたしましたと言って、御座所を下がり西の丸に行き綱豊に面談すると、柳沢がわしに面談とはどうしたのじあと言うので、源三郎からの文と間部の、
約定書を渡すと、

綱豊はそれを見て何と言う事を間部め直ちに切腹させると言うので、それをなされると公にになり、奥方様の陰謀として、綱豊様も無事には済みませぬ、源三郎は内々にと言うています、
上様には間部の事は伏せてあります、それは処分なされ私は見なかった事にしますと言うと部屋を出て行ったのです、綱豊は間部を呼び約定書を投げつけて、そなたは何と言う事をする、
のじあと言うと、

奥方様のお頼みでは断れませぬ、またしても源三郎に邪魔をされてしまいましたと言うと、おまえ如きが源三郎に適うわけないわと言うと、奴は綱豊様が将軍におなりになった時には必、
ず政のさわりになります、今の内に排除しなければなりませぬ、私は綱豊様の忠臣ですが、奴はそうではありませぬ、確かにそれがしより知恵、剣の腕も比べ物にならない程有能ですが、
それが災いの種になりますと言うので、

綱豊が源三郎がわしの邪魔等するはずがないわ、謹慎を解いてやったのに何と言う事をするのじあと言うと、綱豊様を支えるのはそれがしと新井白石しかおりませぬ、この二人を排除な、
されれば殿は何も出来ませぬ、それでも良いなら切腹をおおせ付け下さりませ、直ちに腹を切りますというので、うるさい、お前の顔等見たくない、照子がかかわっているそうなので、
今回も目をつぶるが、

余の前に顔を見せるなと言うと席を立ち奥に行ったのです、照子の処に行き何と言う事をするのじあと言うと、綱春殿は会津公の実子で御座います、綱道殿は血は繋がっておりませぬ、
幕府は血の繋がりで将軍を選んでおります、綱春殿こそ会津の藩主になるべきだと思うたので御座いますと言うと、女子が政に口を挟めば世の乱れとなる、今後は口ばしは入れては、
ならぬ、

世継は藩主が決める事であり余人が口出ししてはならぬのじあと言うと、申し訳御座りませぬ、間部はわたしの事を思うて、した事なればどうぞ許してくだされと言うので、わかって、
おるわ、上様の耳には入っておらん、わしが将軍になるまではおとなしくせよ、暫くは夜伽はならんと言うと部屋を出て行ったのです、間部はわしを処断等できるものかなんとしても、
源三郎は江戸には入れてはならん、

必ず殺してやると言うと、用人に目付けの浜崎を呼べといって、浜崎がくるとそなたはこれより直ちに腕の立つ者を連れて中山道を行き、忍びの者と合流して源三郎を待ちうけ抹殺す、
るのじあ、金を使い浪人、野党を使い待ち伏せろ、奴を仕留めるまでは帰るに及ばずと言って、これは代変わりになったら取りたてると言う文じあ、道筋の各藩の国家老に見せて助力、
させよ、

助力しないなら代変わりになった時には、あらゆる普請を押し付けるぞと脅かせば、必ず助力するはずじあと言って渡して、奴に捕まって恥をさらすなと言うと、承知いたしました、
必ずや仕留めてみせますと言うと部屋を出て行ったのです、源三郎達はそれより1日前に日光に着いたのです、西街道筋には特段悪者はいなかったのです、日光は参拝客で賑わって、
おり、

旅籠に宿を取り、先に入っていた飛猿に様子を聞くと、ここで材木問屋を商っている上州屋と言う者がいるのですが、日光は東照宮を始めに多くの神社仏閣があります、幕府は維持の、
為に毎年5000両の金寸を使い、痛んだ神社仏閣の補修をしているそうです、それを受け元が入れ札で請け負うのだそうですが、大きな補修は総て上州屋が落札しているのだそうです、

上州屋は地元の大工の棟梁に仕事を依頼するのだそうですが、補修の手抜きを要求して利益を出しているとの事です、日光奉行所の役人が検査するそうですが目こぼししているとの事、
です、逆らえば仕事をもらえないので、受けた大工の棟梁はしかたなく言う事を聞いているそうです、上州屋は賂を奉行に贈り、入れ札に細工しているのだと思いますが、手口は分か、
りません、

又ヤシの元締め文三と言う者を使い、奉行所に訴えでようものなら痛めつけられているので、名主も手がだせないとの事です、文三は女郎屋と博打場もやっています、用心棒の浪人を、
10人程雇い、博打場と女郎屋に配置しています、町屋にもしょば代と言って金を巻き上げている悪い奴ですと言うので、ヤツパリ黒いネズミが沢山いると言う事かと言うと、大掃除が、
必要なようですねとお玉が言ったのです、

飛猿に必ず対抗するまっとうな商人と大工の棟梁、ヤシの元締めがいるはずじあ、誰なのか調べてくれと言うとと、飛脚問屋をやっている常陸屋はいつも入れ札で競り合っているそう、
です、大工の棟梁松吉は腕の良い宮大工だそうで、上州屋に手抜きを断ったら仕事は回さないと言われているそうで、仕方ないので仕事は受けているそうですが、自前で補修している、
そうで、

いつも赤字スレスレとの事でこのままでは痛みが激しくなり、莫大な補修費用がかかると嘆いているそうです、ヤシの元締めの時三郎はいつも文三と縄張りでもめているそうですと言、
うので、短期間でよく調べたなと言うと、ハイ才蔵の腕が役に立ちました、これは、上州屋が奉行に渡している賂の書付です、月に200両を渡しています、ほかの者もいくばしかは渡、
していますと差し出したのです、

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み