第18話

文字数 2,720文字


源三郎江戸日記(弟三部)18

まいったなさっき茶をこのお湯でのんだぞと言うと、お玉が本当ですか私も飲みました、何か気持が悪くなってきましたがと言うので、みんな飲んだので顔色を変えたのです、源三郎、
がと言えば信用するじあろう、冗談だよと笑うと、まったくとお玉が言うので、これを使うんじあよ、塗ったのと塗らないのを持って、これは砒素を調べる特殊な紙じあと言ってこの、
紙をその薬につけて炙れば必ず黄色くなるんじあよ、

ほら乾いていると真っ白じあろうと言うと、なるほどと言うので、でも本当に入っていなかったらと言うので、その日には入れてなくても、砒素は髪の毛に残るから、会津公の髪の毛、
を少し貰いお湯にいれれば出てくると言えばギョットするじあろう、多分屋敷に砒素があるはずじあからあれば、入れているのに間違いないので、目の前で白い粉を入れてその者に飲、
ませるのさ、

それは砒素ではなく、入れ代えた風邪薬じあがな、絶対尻尾を出すじあろう、さすればネズミが出てくると、言う寸法じあよと言うと、まったく脅かしの天才ですねと笑うので、さて、
準備は出来たぞ、みなは御座所まで入れぬので、別な部屋で待つのだ、騒ぎが起きれば飛猿が知らせる、すぐにかけつけてくれと言うと、承知と言つたのです、それではいつもの通り、
巡察にでかけようと言うと、

旅籠を出て町に出たのです、居酒屋に入り杯を傾けると、何故砒素とわかったのですか聞くので、一年も病気していればもう死んでいるよ、死なないとすれば元気な体にすこしづつ、
毒を飲ませるしかないが、砒素は無色、無臭なので混入し易いし、他の毒役は早効性があるので直ぐに死んでしまうので、毒殺とわかってしまうのじあと言うと、しかし、世継問題、
はまいりますねと言うので、

まあお照の方は殿の血が入っている子供を世継にしたいし、大勢の藩士もそうであろう、江戸家老は一門の意地で息子を藩主にしたいわけじあよ、どっちも、どっちと言うわけじあな、
喧嘩両成敗で両方とも隠居してもらい、暴挙におよんだ一派が担ぐ者は分家してもらい、その者達は分家の家臣にすれば良い、会津公はこれに懲りて決断されるじあろうと言ったの、
です、

才蔵が入って来て、ありましたと紙袋を開けるのでみると、赤い紙に包んだ白い粉が耳かきほど入れてあり30個はあります、大きな壷に沢山入っていますと言うので、わかったそのま、
まにして置いてくれ、後で焼いて処分してもらおう、もうよいぞご苦労であったと言うと、ハイと言って傍を離れたのです、別段悪さをする者はいないようです、さすがは徳川の親戚、
の大名の城下町じあなと言うと、

領民は世継等どうでも良い事なんでしょうかと言うので、悪政をしいている領主なら代わって貰った方が良いが、善政をしいているなら代わらない方が良いわけじあな、どう思ってい、
のかなと言って、隣でのんでいた町人に聞くと、誰が来てもかわりませんよ、飯と酒を飲むのが精一杯でそんな事考えている暇ありませんと言うので、そうか、お前は読み書きは出来、
るのかと聞くと、

ヘイ、ひらがななら出来やす、ここら辺の者は大体できやすよ、城下町には沢山寺子屋があります、あっしは大工ですが寸法が読めないと家はたてられません、もう少し立つと図面を、
引かせてもらえやすので、漢字も必要になりやすと言ったのです、なる程飯を食うのに必要なんじあなと言うと、ヘイ、手紙も読み書きできやすと言ったのです、そうか、それは感心、
じあな、

褒美にお銚子二本を驕るぞと言うと、本当ですか、これは徳しましただと言うので、女中にこの者にお銚子二本つけてくれと言うと、は~い、お銚子二本と頼んだのです、侍が3人入っ、
きて、なんだ満員かと言うと、2人連れで飲んでいる者に、おい、この席を譲れと言うと、なに言いやがるんだ、いくら侍でもそんな事聞けるかよと言うと、何武士に向かって悪口雑言、
許さぬと言って刀に手をかけたので、

その男が上を脱ぎそこに座ると、おもしれえ、切れるもんなら切ってみろと言うと、連れの男がここで騒ぎを起こすとまずいぞと手を握り、邪魔したなと言うと、店の外に出て行った、
のです、ほう、威勢のいい奴じあなと言うと、あれはヤシの小頭音吉さんですよと言うので、ちょっと、呼んで来てくれと言うと、ヘイ、と言って呼びに行くと、前に来て何か用です、
かと聞くので、

まあ座ってくれと言って、湯のみを頼み酌をすると、いわれのない酒は飲みませんぜと言うので、ならばわしと勝負してくれ、無論素手でだと言うと、あっしはめっぽう腕は達ちます、
ぜ腹がたってダンビラ振り回すのはごめんですよと言うので、わしが負けたら1両だそう、勝ったら色々城下の事を聞かせてくれと言うと、隠密ですかと聞くので、そうでは無い以外、
と町が平穏なので、

その訳を知りたいのじあよと言うと、わかりやした、やりやしょうと言うので、それではと刀をお玉に預けて外に出たのです、懐からタスキを出して閉めると、さあ行くぞと両手を、
構えると、音吉も柔らの構えをしたのです、そうか、柔らの心得があるのかと言って、懐に入ろうとすると源三郎の襟首を掴み背負い投げを打とうとしたので、後ろから腰帯を掴み、
足を払うと、

バタンと前に倒れたので引き上げて、まだまだと構えると、右手を上げてまいったと言うので、そうかと言うと、さあ中に入れと言って席に座らせて酌をすると、お侍さんは何処で、
柔術をと聞くので、江戸の田神秀介に手ほどきをうけたがと言うと、ああ、田上先生ですかそれではかないませんやと言うので、田神を知っているのかと聞くと、ヘイ、あっしは、
あの道場の小者をやっていて教えて貰ったんです、

会津が田舎でして江戸を引き払ってここに帰って来て、ヤシの元締めの常吉親分の下で働いていやすと言うので、そうか、それなら江戸で会ってるかも知れんなと言うと、道場には、
顔はだしやせんので、会ってないと思いやすと言ったのです、ところで、何が聞きたいんですかと言うので、なぜこの町は寺子屋が多いのじあと聞くと、ああ、それは保科様は昔し、
伊達様に負けて、

ここを逃げ出した事があります、それでお武家は伊達に奉公する事になったのですが、今度は伊達様は大公様にここを保科家に返すように言われて返されたのです、それで元保科家、
の人は少し伊達様の家来になったので、保科家への帰参はかなわなかったので、浪人になったのです、大部分はここをはなれなさったのですが、残った方は代々寺子屋で糧を得て、
いるわけです、

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