第55話

文字数 2,956文字


源三郎江戸日記(弟三部)55

街中の狼藉は町方の管轄でござると言うと、それをやれば、朝廷と揉め事になりますぞと言うので、そちらが何もしないのであれば是非もない、この、村上源三郎が禁裏に上がりミカドに、
お話し申すので、覚悟めされいと言うと、無位無官では禁裏には入れませぬぞと言うので、これを見なされわしは綱吉公の名代じあ、ミカドといえど会わぬわけには参らぬ、九条様にさよ、
う申しなされ、

それでは失礼つかまったと立ち上がり、伏見に帰り、山形に脅かしておいたぞ、遠慮なく叩き潰して、やれと言ったのです、用人が関白九条常房に、この事を言うと、何村上源三郎じあと、
近衛公から禁裏に上がらせように要請があり、ミカドが官位を下される事になったと言うので、それではまずい事になりますと言うと、将軍に許可もなく官位を貰えばそやつは切腹じあ、
幕府は大騒ぎになるじあろう、

面白いではないか、そなたの弟はこの屋敷に留め置いても構わん、これで近衛公の面目丸つぶれじあ、関白職を退いても、何かとミカドが頼りにされておる、この機会に禁裏に出入り出来、
ないようにしてくれるわと笑ったのです、近衛公から明日の参内の件で話があるので屋敷に来るようにと言う事なので屋敷に赴くと、あしたに参内できることになった無位無官では参内で、
きないので、

そなたに官位を下される事になったと言うので、それを関白九条様は承知なされたのですかと聞くと、無論じあ、禁裏の財政改革をする者の邪魔は出来んじあろうと言うので、それは九条、
様の罠に御座りますよ、それがしが上様に許可を得ず官位を貰えば源の義経公のように、上様より罰せられます、さすれば、段取りされた近衛公の面子は丸つぶれとなり、禁裏に上がるの、
は差し止めとなるでしょうと言うと、

なる程そうか、それで簡単に承知したのか、しかし、無位無官では禁裏に参内する事は叶わんと言うので、幕府も家禄の低いものは上様には目通りできませぬ、しかし、碁打ち、能楽者、
学者はお目見えできますと言うと、朝廷もそうじあが、そなたはいずれでもないであろうと言うので、天文学者と言う事にしなされと言うと、九条の事だ陰陽師の土門晴久を呼びそなた、
と対決させるじあろう、

天文学を心無得ているのかと聞くので、多分土門晴久殿より詳しいですよ、朝廷の陰陽師の、天文学は明の時代のもので、西洋ではそれよりはるかに、進化していますと言うと、そなたは、
それを何処でまなんだのじあと聞くので、幕府は鎖国していますが、諸外国の事情を知るために、長崎のみ開港しています、オランダから、最新の外国の事情を知るために、文献を献上さ、
せて、

長崎の通詞がこれを翻訳して、幕府に提出していますが、誰も読まず江戸城の奥深くに保管されています、このまえ、印旛沼の治水工事を、上様よりおおせつかり、それが完成した褒美に、
医学書と最近の西洋事情の本を貰い、知り合いの医師に翻訳してもらったのです、その中に天文学も入っていたのですと言うと、なる程、それなら土門もそなたには敵うまい、わかった、
官位は辞退したが、

そなたは学者なれば参内は自由だと明日九条に言うてやろう、ミカドには事情をはなし官位辞退の件は了承してもらうぞと言ったのです、九条めわしが何かとミカドに頼りにされているの、
が気にいらんのじあよと言ったのです、ところで丹下殿九条家の用人は赤城と言って、先程追放した衛士の赤城の兄と言う事じあがと聞くと、近衛がそうじあった、あやつは九条から頼ま、
れて当家の衛士に奉公させるようにしたのじあと言うと、

丹下が九条様も台所が苦しいので、あの三人の奉公先を探しておられたので、近衛様が関白の時にお引き受けなされたのですと言うので、どうやら、あの三人を屋敷にかくまっているよう、
です、他の九条家の衛士が居酒屋でタダ飲みをしょうとしていたところをわたしの配下の者が懲らしめたそうなので、九条家に行き、ミカドに言上すると脅かしておきましたと言うと、

まったく何と言う事じあ、どこの衛士も情けない事じあな、すまぬのうと言うので、この際はその辺も掃除しましょう、街中の事は町方が詮議をして、各家に引渡し、各家はこれを処罰、
する、町方は武家伝奏にその事の報告書を出して、処罰が行われたかを関白以下重臣が確認すると改めれば、勝手に目こぼしはできませぬと言うと、なる程それなら良いなと言ったので、
す、

明日はまずはそれがしが、料理を重鎮方に振る舞いますので、参内は昼前とします、みなさんは昼餉は取らないでお待ちくだされ、大阪より生きたままの魚、朝一に持って来て料理いたし、
それを持ち禁裏に参内します、取立てなので目が点になりますぞと言うと、そうか、まずは料理で凋落するわけじあなと言うので、ハイ、さにら明日朝一でこの屋敷に3千両お持ちします、

千両は近衛家の賄い料です、あとの二千両は朝廷工作資金として近衛様が自由にお使いくだされと言うと、なんと、まろに寄進すると言うのかと言うので、ハイ、中山道の掃除で悪人から、
没収したものです、遠慮なさるな、200両もお出しになりましたので、その補填に御座りますと言うと、丹下がお気づかいかたじけない、2年分の扶持米金に相当します、大変助かります、
と言ったのです、

二千両もの金があれば公家共はこぞって協力するぞと言うので、まずは朝廷の不正を掃除します、摂津屋と関白様は相当に悪らつに事をやっているはずです、札差の手口はわかっています、
摂津屋から4万両を朝廷に返えさせますと言うと、4万両もかと言うので、摂津屋から借りている2万両は玄海屋から借りて、全額摂津屋に返せば、縁が切れます、そこで札差として預かっ、
ている米を3日以内に返させるのです、

返す事は出来ないので金寸で払わせさせれば約1万5千両になります、後は預かり米金5000両分の毎年の期限切れ分は半分の500両の売却料金を朝廷に納めていますが、実は最初から全部売、
り払い蔵にはないのです、事が起こったときに買い付けて朝廷に納入する事にしているのです、その5000両も返金させます、預かっていないのだから、毎年期限切れになり古米の料金を、
納めるのはおかしいのです、

そこで着服した500両を50年分返金させれば、2万5千両となり、全部で4万両となります、玄海屋からの借財2万両は金利は5分にさせます、多分今は2割りの利子、年に4000両を利子として、
朝廷は払っているはずです、余計な利子の2000両は毎年九条様の懐に入っています、この見返りに摂津屋は朝廷の領地の米を他の商人には売らせず、買い叩いていて利益を上げるという、
構図になっています、

返却は3日以内として返せない場合は幕府に訴えれば、店は財産没収のうえ遠島になると脅かせば、かならず、払います、蔵の中には8万両位の蓄えがあるはずです、九条様も手出しは出来、
ませぬというと、凄い策じあなと驚いたので、ミカドが私に財政改革をまかすと言われれば、これが実行できるのですと言うと、そうなれば、微禄の公家共にも腹一杯飯を食べさせられる、
と言って、

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