第46話

文字数 2,949文字


源三郎江戸日記(弟三部)46

源三郎がお玉にこの大垣城に秋月種長様が関が原当時おられたのじあよ、最初は西軍に組みしておられたが、関が原で西軍が敗れるとここのいた西軍の将を退治して城を東軍に明け渡、
したので改易を免れたのじあと言うと、ハイ、最初家康公に組みしておられたのですが、藩兵を率いて大阪に行くと石田光成が挙兵していたためやむなく西軍に加わったと聞いています、

そうなんじあよ、僅か200人足らずでは、西軍に踏み潰されるからのうと言うと、関が原に行かずによかつたですねと言うので、行って東軍に寝返り戦功を上げれば加増されたかも知れ、
んなと言うと、200人では大した事は出来なかったのではと言うので、そうじあな、当時は兵が少ないと何の戦功も立てられない時代じあからなと言って、関が原はここから4里の距離、
じあ、

明日はそこを通るので見てみよう、つわもの供の夢のあとじあよ、一日で数千人の者が討ち死にした場所じあ、亡霊も沢山いるであろうと言ったのです、翌日源三郎一向は大垣の赤坂宿、
を後にして彦根に向かったのです、彦根は井伊直興30万石の城下町であり、譜代大名では最大の石高である、途中関が原に立ち寄り見渡すと、小さな盆地です、ここに両軍16万人の兵が、
いた訳じあ、

それは壮観な眺めだったろうと言うと、お玉がいまにも兵の歓声が聞こえてきそうですねと、まわりを見渡していたのです、近くで畑を耕していた老人にここに代々すんでいる者かと、
聞くと、ヘイと言うので首塚は何処だと聞くと、そこの左の森に祠がありますだと言うのでそこに行くと西軍将士首塚と書いてあります、お参りをすませて戻ると、老人がここら辺が、
家康様の本陣だったそうです、

あの真向かい500間が島津がいた場所だそうで、あそこからここまで突撃なさり、その先で左に曲がり大阪方面へ行かれたそうですと説明したので、そうするとこの後ろが南宮山であの、
左が松尾山じあなと言うと、ヘイ、あそこから小早川の兵が駆け下りてきたそうですと言ったのです、右の奥が石田光成の陣と言うわけじあ、この陣形では圧倒的に西軍有利じあが、
小早川が裏切れば西軍はひとたまりもないわ、

なぜ石田光成は小早川と宇喜田秀家を入れ替えなかったのですか、そうしておけば裏切る事は出来ませぬがと言うので、小早川は大垣には行かずここに留まったので、そこには配置出来、
なかったのじあよ、小早川の家老稲葉正光が留めたのじあ、勿論家康様の意を汲んでの事じあがと言うと、なる程戦う前から勝敗は決まっていたのですねと言うので、但し小早川が裏切、
らねば家康様の負けじあな、

大博打を張られたのじあよと言って、大谷吉継は気づいて、小早川の真下に脇坂ら4千と、自分の兵3千を横に配置して、裏切りを防ごうとしたが、その脇坂が寝返った為、防御にはなら、
ず、かえって自分の隊と宇喜田隊を、窮地におとししまい、壊滅したのじあよと言うと、大手柄は脇坂殿で御座りますかと言うので、そうなのだ、あの赤穂の匠の守様との盟友であった、
脇坂様のご先祖じあよ、

しかし脇坂様も秋月種長様同様、最初西軍にいたので、本領を安堵されただけで加増はならなかったのじあと言うと、なぜ小早川殿は加増なのですかと聞くので、15000もの大軍団をも、
っていたからじあ、脇坂様は1000、秋月種長様200の兵員数だった、家康様はわざと宇喜田の所領60万石に加増して移封せさせ治世が上手くいかないようにして自滅に追い込み、改易し、
たと言う事だよと言うと、

気の毒ですねと言うので、まあ、その当時は裏切りは世の常じあったのだよ、そうやってお家を守ったわけじあが、小早川殿はと太守の器ではなかったと言う事じあろうと言ったのです、
しかしもっと気の毒なのは山形達のご先祖じあな、東北では上杉景勝様が奮戦なされたのに関が原で西軍が敗れたため、越後120万石から、30万石に減封され米沢に移封されたのじあ、
からなと言うと、

山形がさぞかし悔しい思いをしたのでしょうが、所詮家康公に適うものは誰もいなかったのですねと笑つたのです、さていくぞと言うと馬に乗り彦根に向かったのです、夕暮れ前に彦根、
につき旅籠にわらじを抜いたのです、女将が部屋に案内して、済みませぬが行灯の油が少ししかありませぬので遅くまでは持ちませんと言うので、菜種が不作とは聞いていないがと言う、
と、

城下の油問屋近江屋が買占めていまして、いつもの倍の値段がするのです、油代高騰で旅籠代を値上げしなくては行けないのですが、ギリ、ギリ我慢しているのですと言うので、町奉行、
は何も言わんのかと聞くと、米以外は藩は価格に口ばしはいれぬそうで、自由競争だと言う事で名主達が陳情しているそうですが、お取りあげにはならないそうですと言ったのです、
もう少しで湯がわきます、

それまでごゆっくりして下さいと部屋を出て行ったのです、才蔵が入って来て女将の言う事は本当です、近江屋は近隣から買い占めており、油を商っている小売は手にはいらないそうです、
倍の値段では町衆は、買えないだろう、まったく業突く張りな、商人だなと言って、才蔵ここから大垣に戻り近江屋に事情をはなし、油を200樽荷馬車にのせてここまで届けるように、
言うのだ、

従来の値段で売って、近江屋に大損させてやると言うと、今夜の内に行き用意させて明日の昼には届けますと言うので、為替手形をわしてこれを金に換えて手に入れるように言ってくれ、
と言うと、承知と言って部屋を出たのです、それでは出掛けるぞと言うと、油の小売屋にいき何樽あるのだと聞くと、5樽程と言うので全部買うぞと言うと、すみません普通の倍の値段、
なんですがと言うので、

知っておると言って金を払い、このみせを借りるぞと言うと、表の価格の張り紙を従来の値段に直したのです、そんな事すると近江屋から油を仕入れられなくなりますと言うので、明日、
には元の仕入れ値の物を坂本宿から200樽がつく、近江屋から仕入れなくてもよくなるぞ、近江屋を大損させる為じあと言うと、貴方様はと聞くので諸国巡察視の村上源三郎じあと言う、
とハハハ~ッと言うので、

これ頭を上げろ、わしに協力せいと言うと、ハイ、無体な近江屋を懲らしめるなら喜んでと言って、店の皆を集めて、大声で易い油があると店の前で声を出すのだと指図すると、全員が、
店の外に出て、いつもと代わらぬ油があるよ、明日はもっと沢山入るのでお買いどくだよと声を上げると、ぞくぞくとお客が集まって油を買って行ったのです、これを聞いた近江屋の、
番頭がやって来て、

安売りするなら油はおろさないぞと言うと、別な所から仕入れるので、構わんよと言ったのです、帰って主人に話すと、そんなばかな、近隣にはないはずだ、遠くからいれれば運賃で損、
するはずだ、長く続くはずはない、その内泣きをみるぞ、さらに高く売りつけてやると言ったのです、夜になると城下の町の光も少なく、寂しい城下町の姿です、女将が油が易くで手に、
入りましたので大丈夫です、明日も大量に入荷するそうですと言ったのです、

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