第70話

文字数 2,769文字


源三郎江戸日記(弟三部)70

薩摩藩上屋敷につき、江戸家老に面談を求めると、座敷に案内され程なく薩摩藩江戸家老平田時久に御座る、大阪の小松より書状が届きました、今般は財政改革の指南をして下されたそう、
でかたじけない、又阿片の件も内々で処置して下されたそうで申し訳御座らぬ、尚阿片は総て大阪湾に投棄したと事ですと言うので、そうでしたか、早く改革がなると良いですなと言うと、

ご存知のとおり我が藩は米での実収は40万石足らずです、これを秋口に収穫したのを札差が大阪に運び商いするのです、そして砂糖を担保に入れて家臣への扶持米金を借りて渡すのですが、
その金額より借りた金寸が上回り借財が増えていき、いまや20万両近くになり、その利息すら払えなくなっている始末でした、今般玄海屋から10万両を借り受け、利息は2分と言う事で、
8000両が浮き、

その金を借りていたところに返済して、残りを5分にするように、村上殿の策を示しましたら、快く応じてくれましたので5000両が浮き、総計1万3千両が浮くことになり、砂糖と鰹節での、
利益の方が多くなり借財をせずに済むようになりました、さらに物産の商いの利をいれれば5年で完済できる目途が立ち驚いています、これは村上殿の助力のお陰です、夏頃には薩摩は米、
不足となり、

上方で米を仕入れる事になっていたのですが、それも解除されます、札差の川内屋にも苦労かけていましたが、これで、川内屋も利が出るでしょうと言うので、そうですか、これからは、
家臣の方も何とか暮していけますなと言うと、ハイ、50石以上は扶持米借り上げをしていましたが、それも徐々に戻しますと話したのです、わが殿島津綱高様が大変お喜びになり村上殿、
にこの陶磁器を渡してくれとの事です、

ご存知のように朝鮮の役のおり義久公が朝鮮から陶工を連れて来て、薩摩焼として作らせた物に御座います、これも交易品としてルソンあたりの南蛮人に喜ばれています、これは薩摩の、
陶工でも一二を争う者が作ったものだそうで、綱高様への献上した物だそうです、村上殿の屋敷に届けておきますと言うので、それは又有難う御座りますと言うと、殿が貧乏な藩ゆえ、
こんなものしか差し上げられぬと言うていましたがと言うので、

なにを言われます、このような高価なみのを頂けるとは身にあまる光栄に御座ります、綱高様にはなにとぞ宜しくお伝えくだされと言って、それではそれがしはこれでと言うと薩摩屋敷、
を下がったのです、どうやら、江戸家老は私腹は肥やしていないようじあな、とすれば、市来が廃棄するのは勿体無くなって懐にいれようとしているのかと言って、金杉橋へ向かったの、
です、

途中に飛猿が近づいてきて、奴は源内の内に阿片を運び込みました、そこで、小分けして売つもりですと言うので、今中にいるのかと聞くとハイと言うので、よし、行くぞと言うと家に、
行き、中に入ると、源内がすこしづつ丸めて、紙に包んでいます、そこまでだと声をかけると、市来が何ものだと言うので、諸国巡察視村上源三郎田だ市来多門こともあろうか、廃棄せ、
よと言われた阿片を横領して、

江戸の町で売ろうとは、許すわけには参らぬというと、うぬ~と言うと庭に出て、刀を抜いたので、おうじようきわの悪い奴だ、心陰流左袈裟ギリに見せかけて、隠密を切り殺したのは、
わかっておると言って刀を抜き、構えて間合いを取り市来がチエストと、振り下ろす一瞬前に源三郎が懐に入ると、刀は空を切り源三郎の左肩に手があたり止ったのです、左手で刀を、
握った手を掴み、

右足で腹を蹴飛ばすと、うわ~と言うと刀を外して尻餅をついたので、え~いと言って刀を振り下ろし、肩口でピタッと止めると、さあ殺せと言うので、どうやらわしの勝ちのようじあ、
な、命は取らぬ、この事は江戸家老と小松殿には内密にしておいてやる、二度と不正はやるな、さあ行けというと、立ち上がり、これで済んだと思うなよ、わしを殺さなな勝った事を、
後悔するぞと言うと、

刀を納めて家を出て行ったのです、源内悪の片棒を担ぐとはと言うと、言う事をきかずば市来に殺されますというので、それを総てもとにもどせ、才蔵没収して海に投棄するぞと言うと、
源内お前はいい客をもっているそうじあな、貯めた金寸をここに出すのじあと言うと、ハイと言って金箱を持ってきたので、いくらあるのじあと聞くと、ハイ850両程ですと言うので、
100両を渡して、

後は没収する、二度と阿片などあつかうなと言うと、ハイ、申し訳ありませぬと言うので、750両と阿片を持ち金杉橋から船に乗り江戸湾に出て、この辺でいいじあろうというと積荷を、
解き阿片を海に沈めたのです、そのまま船は深川に向けて船着場で降りて、玄海屋に行き番頭に650両を預けて100両だけを持ち料理屋に向かったのです、飛猿と才蔵に25両づつ渡して、
これで遊んで来いと言うと、

有難う御座いますと受取り、傍を離れたのです、料理屋に着くと女将が船宿、春風屋の達衛門さんと言う人が来ておりますと案内するので、部屋に入ると、お久しゅう御座いますと言う、
ので、おう、達衛門か商売はどうだと聞くと、ハイ、玄海屋さんの口ききで深川の旦那衆やお旗本を紹介していただいたので、繁盛しています、場所も永代橋の傍なので、旅人も多く、
お泊り頂いていますというので、

そうか、みんなで暮していけようじあなと言うと、ハイ、村上様のお陰ですと言うので、待っていたという事は、誰かを見かけたのかと言うと、ハイ、船頭が隅田川を遡っていましたら、
厩橋でまむしの万蔵の手下を見掛けたとの事で、千住宿の方から府内に入ったそうです、お客を乗せていたので後はおえなかったそうですというので、そのまむしの万蔵と言う奴はと聞、
くと、

東海道を荒らし回っている、急ぎ働きの極悪人です、すでに6人は殺めています、手口は押入る店先で引きこみ女に腹痛の仮病をさせて、店で休ませてもらう振りをして、一夜の宿を頼み、
その日の夜に木戸を開けさせて、押し込み、全員縛り上げ、主人を脅して金蔵に案内させて盗むのです、言う事を聞かないと見せしめに番頭か手代を殺すのですと言うので、なんと乱暴、
な手口じあ、

その手下が府内に入ったとすればどこかに押し込むつもりじあなと言うと、懐から似顔絵を出して、これが手下の磯部の平吉です、絵師に特徴を言うてかかせましたと言うので、見ると、
中々の色男ではないかと言うと、女を垂らしこむ手口も使いますと言うので、なる程この男と女が引きこみ役と言うわけかと言って、これはありがたいと言うと、こんなゲスは早いとこ、
獄門台に送ってくださいというので、

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