第60話

文字数 2,948文字


源三郎江戸日記(弟三部)60

翌日は鞍馬に朝廷の林業の代官所があるはずじあ、そこを巡察するぞ、不正に横流ししていたのなら、植林もやっていないのであろう、植林させて山を保護しなければならぬと言ったの、
です、鞍馬に向かうと、飛猿が鞍馬寺の山道で待ち伏せしています、人数は30名で総て浪人者です、攝津屋と鞍馬屋は麓の材木置き場におります、武器は刀だけですと言うので、ばかめ、
引っ掛かったな、

何か仕掛けをしているのかと聞くと、何も仕掛けてはいないようですというので、ならば正面攻撃だと言うと、多分鞍馬の登り口の処で襲うでしょう、小さい野原がありますそこに山道、
から押し出して囲むつもりですと言うので、材木置き場は近くかと聞くと野原の右がそうですと言うので、二人を捕らえて締め上げる、飛猿、才蔵、逃がすなよと言うと、承知と言った、
のです、

先に見える山が鞍馬山じあな、あの野原かと言うと鉄砲2丁に玉を込めろと指示すると、みんなが用意したのです、まだ隠しておけと言って元にもどし、進んでいき野原に差し掛かると、
山道から浪人が歓声をあげて降りてきたので、構え、放てと言うと、ずど~ん、すど~と5発の銃声が聞こえて、バタ、バタと倒れてのです、続けて放てと言うと又もやバタ、バタと倒、
れて、

右の方に逃げようとするので行くぞと言うと馬で追いかけて、追いつき切り払うとそこに転がったのです、動くな動けば切り捨てるぞと言って、馬を降りると、18人が転がり10人は肩を、
打ち抜かれています、鉄砲の音で役人がかけつけたので、諸国巡察視の村上源三郎じあ、我々を襲うとは身の程しらずめ、全員縄をうち代官所に引っ立てろと言うと、ハハッと言つて縄、
を打ち引き立てられたのです、

材木置き場に行くと、摂津屋と鞍馬屋が座り込んでいたのです、ばかめ、わしを襲うとは、これで本当の斬首じあな、それ、この2人も代官所に引っ立てよと言うと、縄を打たれて引き、
たてられたのです、代官所に行き医師を呼び手当てしてやれと言うと、代官が医師を連れて来て手当てしたのです、おまえ達が束になっても我々に勝てる訳はないのじあ、頼んだのは、
この2人じあなと、

聞くと、ハイと返事するので、本来なら死罪じあが、命だけは助けてやる、何処から来たのじあと言うと、大阪に御座ると言うので、とつとと大阪に戻るのじあ、立てと言うと、ぞろぞろ、
と帰って行ったのです、摂津屋残念だったな、覚悟しろと言うと、命だけはお助けをと言うので、関白も加担しているのじあろうというと、ハイと言うので、ならばそれを書き爪印を押せ、
と言って、

紙と筆を渡すと書いて爪印を押したので、罰金にそれぞれ2万両、総計4万両を朝廷に納めれば、許してやるがと言うと、帰りまして、直ちに御所に届けますと言うので鞍馬屋は二度と不正、
はしない、背いた場合は極刑に従うとかくのじあと言って書かせて、それでは解放してやる、帰って関白に数々の邪魔立て我慢ならぬ、京に帰りミカドに言うて、壱岐の島に遠島にして貰、
うので覚悟するように言うのじあといって解放したのです、

さて代官横流しを手伝うとは何事じあと言うと、関白の申しつけなれば逆らえませんと言うので、そうじあな、して横流しして切り倒した後はどうしているのじあと聞くと、そのままで、
御座いますと言うので、それではこの山から木はなくなるではないか、費用5000両を明日届けるので、近隣の村の衆を集めて植林せよ、なお、日当として2朱銀を渡すのじあ、賦役に、
使ってはならぬぞ、

いいつけを守らぬと、そなたは打ち首じあぞと言うと、おうせに従いますと言うので、いままで、いくら賂をもらっていたのじあと聞くと、ハイ、年に100両ですと言うとので、これから、
も鞍馬屋に出すように言いつけるが、そなたが独り占めはならぬぞ、代官所の者全員の慰労金にするのじあぞと言うと、お気使い、有難う御座ります、決して不正には加担しませんと言う、
ので、

それなら今回の事は目こぼししてやると言ったのです、横流しした場所に案内せよと代官に案内させると、見事なはげ山になっています、代官が幾分かは植林していますと言うので、早急、
にやるのじあ、次の代には困るであろうと言うと、ハイ、申し訳ありませぬと言ったのです、帰りに鞍馬山寺に行きお参りして、お布施を渡すと住職が喜んだので、鞍馬山を降りて京に向、
ったのです、

途中馬に餌と水をやり、茶店で握り飯をとりだし、遅い昼餉にしたのです、これで総て終ったな、明日は大阪にいくぞ、大阪にも又ネズミが増えているかもしれぬと言うと、どんな悪人、
がいるのですかと聞くので、かどわかし、阿片と大きな町じあから、隠れてやっているのがいるのじあろうというと、奉行所は何をやっているのですかねと言うので、臭い物には蓋をす、
るやからが多いのさと言ったのです、

一旦伏見の家に戻り、それでは関白を脅かしてくるかと言って、みなは最後の京都を楽しめと言うと、お玉と関白の屋敷に向かったのです、用人の赤城が出て来て、申し訳ございませぬ、
弟達は江戸の親戚に送りましたというので、関白はと言うと案内したので座り、なにしに来たかわかりますなと言うと、わかった、壱岐への遠島はかんにしておじゃれと言うので、なら、
ばお役ごめんを願い出なそれ、

これ以上朝廷を貶めてはなりませぬというと、わかった、あしたに禁裏に上がり提出してくると言うので、なりませぬ、ここでお書きなされ、それがしが近衛公に預けて届けてもらいま、
す、今日よりは禁裏に上がる事はなりませぬというと、わかった、書くぞと言うと、お役ごめん願いを書いて渡したので、これよりは朝廷の為に力をつくしなされ、又関白に戻れるよう、
に口ぞえしておきますと言うと、

わかった、けっして財政改革の邪魔はしないぞと言うので、それではこれにて失礼しますと言って、勘定頭の元に行くと、摂津屋と鞍馬屋が4万両もってきました、これで手付かずが、
10万両金蔵にありますと言うので、色々領地を開発して台所を潤すのに使うのじあぞ、ミカドと后様達にはもう少し良い暮らしをさせてあげるのじあと言うと、わかりました、増やす、
努力をしますと言ったのです、

近衛公の屋敷に行き、総ての事を報告すると、そうか、九条の罷免はしかたないな、ミカドには総てを申しあげよう、幕府には知られぬようにそなたがすると言うていたと申し上げよう、
九条は病気の為に職を辞した事にすると言うので、このまま、関白にしておけば財政改革の邪魔をするのは目に見えています、暫くは、冷や飯を食わしなされ、金蔵には10の万両の蓄え、
が出来ましたと言うと、

10万両とはなんし剛毅な事じあ、そなたは朝廷の恩人じあ、いつでも禁裏には参内できるので、又最新の南蛮の事を聞かせてくれと言つたのです、それでは、ミカドに宜しく言うてくだ、
され、明日は江戸に戻りますと言って、屋敷を出たのです、九条は用人にしてやられてしもうた、まあ、しかたあるまい、しばらくはおとなしくするしかあるまいと言うと、あ奴は鬼に、
御座ります、

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