第53話

文字数 2,756文字


源三郎江戸日記(弟三部)53

博打場はそのまま続けろ、イカサマはするな、寅吉の子分で反省している者は配下に加えても良いぞ、町の治安を守ってくれと言うと、承知しました、決して悪さはさせませぬ、これで、
町衆も安心して暮せますというので、もしも藩から何か言うて来たら即座に逃げろ、戦ってはいかん、大阪船場の玄海屋にわし宛の手紙を渡して潜伏せよ、必ず出向いて忠罰すると言う、
と、

承知仕りました、村上様の配下としての務めを果たします、時より近況報告いたします、又街道筋で悪人を見かけたらお知らせしますと言うので、手当ては出ぬが宜しくなと言うとハイ、
手当ては自分達で稼ぎますと言ったのです、今日は戦の戦勝会をやれ、みなの働き見事であったぞと言うと、馬に乗り大津城下を出て京都に向かうと、半蔵達が見えなくなるまで手を振、
ったのです、

一時で京都に着き伏見の達吉の家に行く事にしてまずは名主の所に行き村上源三郎じあがと言うと、達吉さんから聞いております、玄関の南京錠の鍵をあっかっています、村上様がこら、
れたら引き渡してくれとの事でした、なんでも江戸にいかれるので、ここは引き払うと言うていましたがと言うので、江戸で船宿をやるそうじあと言うと、そうですか、村上様は京に、
お住まいなさるのでと聞くので、

いや10日程で江戸にかえらねばならぬ、処分する事になるので宜しくと言うと、そうですか、心当たりを探しておきますと言ってこれから案内しますと言うのでついて行くと、この塀、
がそうです、と言うと表に行くと門があり、中庭を行き格子戸をあけて中に入ると玄関です、料理屋みたいな作りじあなと言うと、ハイ、元は料理屋で御座います、ひととおり、家財、
道具、

炊事道具も揃う手いますし、井戸もありますと言うので、中に入ると二階建てになっており、下に8部屋二階に5部屋あり、奥に主人の部屋と奉公人の部屋が4つあります、主人の部屋の、
外は小さな庭園になっており、奥の静かな場所です、家人の部屋には、タンス、鏡台、座卓等がおいてあります、名主が中は空っぽですが、直ぐにでも住めますといったのです、京の、
町も物騒ですから、

みんなが出掛ける時はかんぬきをかけて、玄関の南京錠は必ずかけて、くださいと言ったのです、周りには居酒屋、飯屋、船宿、雑貨屋等沢山ありますと言ったのです、裏に馬屋もあり、
馬10頭は置けます、逗留される間世話する馬方をつれてきましょうと言つたのです、馬小屋に入れると、おいてあつた餌を食べ水を、美味しそうに飲んだのです、ゆつくりやすめと声を、
かけて座敷に戻ると、

名主がそれではと帰っていつたのです、山形達は一階にそれぞれ入ると良い、わしとお玉は奥に逗留すると言って、旅姿を解いたのです、奥の部屋に行き、床の間の板を外すと下に壷が、
あり上に持ち上げて、油紙をとると、中には沢山の小判が入っています、これが2千両じあなと言って、それでは京の滞在費として、20両づつ渡そう、自由に使えというと、この前のが、
ほとんど残っていますと山形が言うので、

いいのじあよ、舞妓とでも遊べば良いと渡したのです、お玉にもと20両渡し、何か土産でも買えば良いと言うと、みんなに京風の物を買うていきますと言たので、蓋を閉めて元に戻して、
さて銘々巡察に出かけるぞ、途中昼餉でも食うのだと言ったのです、お玉と京の中心部に歩いていくと、途中で女の悲鳴が聞こえたので駆けつけると、3人の男が町娘を取り囲み、手を、
引いてどこかに連れていこうとしています、

何をしているのだと言うと、振り返り、浪人は引っ込んでいろ、我々には町役人といえど手は出せんのだと言うので、お玉懲らしめてやれと言う、小太刀を抜き三人の肩を打つと、ぎや、
~と言ってひっくり帰ったのです、おのれ近衛家の衛士に狼藉するとはと言うので、うるさい、だれの指図でこんな事するのだと言うと、近衛公がその女子を所望なのだと言うので、
ならば、

いつでも村上源三郎が相手になると申し伝えよと言って、刀を抜き上段に構えて一気に振り下ろすと、真ん中の男の中帯がすぱ~と切れたのです、さつと立ち去れと言うと、立ち上がり、
一目散に逃げたのです、大丈夫かと聞くと、そこの料理屋の女中でみちと申します、もう、かえれませんと言うので、なぜだと聞くと、必ず仕返しに来ます、連れて行き手篭めにされる、
のですと言うので、

仕方ないお玉家に連れていってくれ、今日はそこに泊まるが良い、わしが近衛公に話しをつけて来るというと、近衛様は知らないのです、あの者達が勝手にやっているのですと言うので、
虎の意をかたるキツネじあな、まかしておけ、料理屋の女将にはわしが預かっていると話してやるというと、お玉がおみち行くぞと言うと連れて行ったのです、料理屋に行き女将に訳を、
話すと、

お願いします、必ずやってきますと言うので、何と言う事をするのじあと言うと、町娘何人かが手篭めにされたそうです、町奉行所に訴えても相手が近衛様と言う事で取り上げにはなら、
ないそうですと言うので、けしからんな、わしが引導をわたしてやると言うと、店を出て近衛公の屋敷に行き取り次ぐように言って、近衛公はわしを良く知っておられるというと、取次、
ぎに行き戻ってきて、

奥にと言うのでついて行くと、おう源三郎ではないか、よう来た、赤穂事件以来じあなと言うので、お元気そうでなによりですと言うと、あの後禁裏でも鼻がたかくてのう、そなたの、
お陰じあのうと言うので、実はそれがしは諸国巡察視と言う上様直属の役目についております、先程ここの衛士が町娘をかどわかそうとしておりましたので追い払いましたが、近衛様、
がご所望と申していましたがと言うと、

何町娘じあと、そんな指図した覚えはないがと言うので、ここに衛士を総てお呼びくだされと言うと、丹下みなを連れて来いと言うと、丹下が呼びに行き、6人が部屋に入って来て、
源三郎を見た3人があ~と言って、逃げようとするので立ち上がり、前に出て逃げ道を塞ぎ拳骨を三人に食らわすと、転がったので、このもの達に御座いますと言うと、赤城おまえ達、
は何と言う事をするのじあと言うと、

座りなおし土下座して済みませぬというので、すでに何人かの町娘を手篭めにしているじあろうと言うと、近衛公が本当かと聞くと黙っています、この者達に縄を打てと言うと他の衛士、
が縄を打ったのです、奉行所に引っ立てて極刑にしてもらえと言うので、それでは事は公になり近衛公の体面は汚されます、お家を放逐なされと言うと、勿論じあと言って、とつとと京、
の町から出て行くのじあと言ったのです、

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