第92話

文字数 2,738文字


源三郎江戸日記(弟三部)92
 
牧野公はなんと言われているので御座るかと聞くと、わらわの好きにするがよいというているのだが、お万の方は仙台の伊達宗家の血筋ゆえ伊達の血を入れたいのじあろうと言うので、
江戸に行きお会いになり、決められれば良いではないですかと言うと、江戸にいけばお万の方に会わねばなせぬ、気が重い事じあ、いっそこのまま何処かに行きたいぞよと酒を飲み干、
すので、

やけになって飲んではいけませぬ、それがしが城につれていって上げましょうと言うと、そなたは何者じあと聞くので、諸国巡察視の村上源三郎に御座ります、裏日本の巡察にて当地、
に来たのですと言うと、長岡藩に何かあるのかと聞くので、今の処は何もありませぬ、治世も宜しいようで平穏に御座りますと言うと、ここを流れている信濃川の氾濫には手を焼いて、
いるそうじあがと言うので、

水量も多いので治水には苦労されているでしょう、その分新潟の港は北前船との商いで、冥加金が沢山あがるそうですので、これをもっと整備されれば藩財政の補填になるでしょうと、
言うと、わらわも男に生まれれば良かったなのじあが、女子は嫁にいくことくらいしか親孝行は出来ぬからのうと言うので、此の際婿を迎えて後を継ぎ親孝行なされれば宜しいのでは、
と言うと、

そんな事言いだせば、家中が二分して騒動になります、お万の方が許すはずはありませぬと言ったので、世継は藩主が決める事にてたとえ奥方様といえど口出しは無用に御座りますと、
言うと、父上も家中が割れて騒動になるのを心配しておられるので、言い出せられぬですと言うので、それは姫が婿を迎えても良い言われればそうなされますよと言うと、そうであろ、
うかと言ったのです、

なにやら表が騒がしいようですよとお玉が言うので、姫を探しているのですよ、さあ、城に戻りましょうと言って店を出て歩いて城に向かうと、5人の藩士が取り囲んで姫探しましたぞ、
黙って城を抜け出されてはみなが心配しますと言うので、酒巻心配するなこのお方に世話になったのじあと言うと、用人の酒巻主膳に御座ると言うので、諸国巡察視の村上源三郎じあ、
姫を城にお送りするところじあと言うと、

お手数をかけて申し訳御座らぬというので、ついでに牧野公にお会いしたいと思うがと言うと、ご案内仕りますと言うのでついて行くと、御座所に案内したので座ると、牧野忠辰が顔、
を出して、村上源三郎かよく参った余が忠辰じあと言うので、して城下の様子はと聞くのでいたって平穏に御座いますと言うと、鶴姫が世話になったそうじあな、母を早くになくした、
ので我がままに育ってしまったようじあと言うので、

それくらいが良いと思いますがと言って、牧野家の事に、要らざる口出しでござるが、伊予吉田藩の伊達殿との縁組があるとかと言うと、申し入れがあったが、鶴姫が行くと言えばわし、
には異存はないと言うので、鶴姫様に婿をお迎えになり世継になされれば宜しいかと思いますがと言うと、それでも良いのじあが、正室に子がおらぬので家中が2分する恐れがあるのじ、
あと言うので、

それは忠辰様の血が入っているので、他人よりも正当な世継と言われれば、誰も文句は言えませぬというと、それで押しとうす事はできるが鶴はどうだと聞くので、江戸の母上が反対、
なさりますよと言うと、そなたが承知すれば問題ないと言うので、ならば伊達殿との縁組は断りくださりませ、そして、この源三郎殿との巡察の旅を承知してくだされ、藩主の妻とも、
なれば、

夫を支えて治世の手伝いをいたしとう御座りますます、色んな国を見て回れば今後の為になります、源三郎殿いかがで御座りますか、お玉殿が一緒なれば問題ないと思いますと言うので、
しかし、巡察視と言うのは危険な役目だぞと忠辰が言うので、それを乗り越してこそ一人前に御座いますと言うと、そうか、源三郎どうじあ同行させてくれるかと言うので、承知いたし、
ました、

これより加賀、能登、長州、博多に行きますので、その国の治世をよくよく、見聞なされて、いっぱい学ばれると、良いですな、大事にお預かりいたしますと言うと、それでは頼んだぞ、
と言ったのです、話は変わりますが、信濃川の氾濫についてで御座ります、この川の流域の氾濫は信濃川に魚野川が流れ込み下流では水量が倍になる為にございます、そこで交わった、
所から、

少し行った場所に大きな調整池を作り普段は水門を閉じておき、大雨時には水門を開きここに水を貯めるのです、池は地中を掘り下げて川床と同じにします、相当の大きな池が必要です、
が水位は4時もすれば下がります、このような調整池を幾つかつくれば、大分氾濫は防げますと言うと、なる程しかし財政が良くないのでその費用の捻出が出来ぬと言うので、今借財、
はいか程でと聞くと、

およそ6万両じあと言うので、それではその利息だけでも年6000両かかりますな、大きなところはと聞くと、相模屋が3万両でその他が3万両じあがと言うので、それでは相模屋の利息を、
半分にして貰いましょう、さすれば1500両が浮きます、この浮いた分で毎年調整池を作れば宜しいと思います、相模屋にはそれがしから言いましょう、大きな貸しがありますので必ず、
聞いてくれますと言うと、

そうしてもらうと助かると言うので、さつそく文を出して江戸の上屋敷の江戸家老と約定しなおすように言いましょうと言うと、頼むぞと言うので、他の処にも頼みなされ、下げない、
場合は、銭屋に借りて全額返すと言いなされ、聞かない場合はそれがしから銭屋に言うて半額にて用立てるように言いましょうというと、わかった申し入れさせようと言うので、もう、
一で御座いますが、

新潟港の整備を行い海運を推進して、冥加金を増やしなされと言うと、それは考えているのじあ、それも余裕が出きれば投資できるじあろうと言って、鶴によく指南してやってくれと、
言ったのです、それではこれで巡察は終わりですので、明日は加賀に出立します、姫は明日迎えにきますので準備なされ、戦に御座れば鎖帷子、すね宛、篭手は用意し、姿は若侍姿に、
しなされと言って、城を下がり旅籠に戻ったのです、

翌日は鶴姫を城に迎えに行き船に戻り、折角越後に来たので佐渡島に渡り、金山でも見ていこう、金の産出量は減っているが、まだ産出しているようじあと言って、船を佐渡島に向けた、
のです、程なくついたので小船に乗り海岸に行き上陸すると役人が来たので、諸国巡察視の村上源三郎じあ、金山に案内しろと言うと、しばしお待ちをと言つて奉行を呼びに行き奉行が、
来たのです、

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