第65話

文字数 2,982文字


源三郎江戸日記(弟三部)65

小松様が財政改革のために、大阪留守居役におなりになり、砂糖、鰹節を専売にして財政改革を進めておられるようですと言うので、それだけでは20万両の借財の利子くらいしかならない、
じあろう、年間の利子だけでも2万両になるじあろうというと、ハイ、いつも穏やかな顔をしておられますが、内心は大変なようで、少しでもお手伝いしょうと、積荷の料金も通常の半値、
以下にしていますと言うので、

御用船は抜荷専用なんじあろう、これは、幕府も目こぼししているので問題ないが、阿片はいかんな、やっていればやめさせねばと言って、あと財政改革するとすれば、南蛮に何かを売り、
つける事じあが、我が国にあって南蛮に無い物じあがと考えて、そうじあ中国ではフカヒレは高級品じあそうじあ、それに良いコンブは寒いところしかない、蝦夷のコンブ、京都のセンス、
紀州のくえ、米沢の干し梅、梅酒を南蛮に売れば、

南蛮品の買い付けと相殺出来るじあろう、さすれば莫大な利益が出る、これで借財は返せるはずじあ、七衛門それらは総て大阪に集められるじあろう、損しない程度に薩摩に供給できない、
か、くえはいけすの仕掛けを南蛮船に教えて生きたまま運ばせれば、その後我が国に沢山取れて中国にはとれない魚を売れるわけじあよと言うと、わかりました、薩摩助けをやりましょう、
と言ったのです、

それにわしの預けている金寸はいか程じあと言うと、8万両ですと言うので、お前が蓄えたものはと聞くと12万両に御座いますと言うので、それではわしの中から5万両、お前が5万両を、
出して、薩摩に10万両貸し付けて、利息は2分とする、さすれば年1万両の利息が2千両に減り、8千両が浮く、これは2万石実収を増やした事になる、薩摩は77万石じあが実際は40万石しか、
ないので大きな財政改革となる、

南蛮の抜荷で実収15万石、砂糖、鰹節の専売で、5万石くらいじあろう、南蛮の抜荷で5万石増えるから、7万石が増える事にになり、後の借財10万両の利子を、半分にすれば5000両が浮き、
これは1万5千石に、相当するので、実質8万5千石増える事になる、これなら借財は5年で返せて、後は蓄えられるというと、七衛門が後の10万両の利息を、半分にしますかねと言うので、
証文が古くなったので書き換えると言うて集め、

利息を5分にしなければ再発行しないと言うのさと言うと、それを幕府に訴えればえらい事になりますがと言うので、多分利息も満足に払ろうていないのじあろう、必ず承知するさ、訴え、
れば元金もパアになるじあろうというと、なるほど、誰も訴えられない訳ですね、それにちゃんと利息と元金が帰ってくるので万々歳と言う事ですか、誰も損はしないわけだと言うと、

お玉が汚い策ですねと笑うので、少しは商人もお世話になっている藩に協力せんとな、さて、小松殿をどう説得するかじあなと言って、正面攻撃と行くか番頭、諸国巡察視の村上源三郎、
が内々で会いたいのでここにご足労願いたいと呼んで来てくれないかと頼むと、ハイ、これから行き話してきますといって部屋を出て行ったのです、女将が考えられない数字が頭の中を、
ぐるぐる回っていますよ、

村上様の頭にはソロバンが入っているのですかと言うので、七衛門がソロバンがいくつも入っているのだよと言うと、女将がしかもお金持ちなんですねと聞くので、見た事はないがのと、
笑ったのです、小松が来て別室に案内したと言うので部屋に行き、お呼び立てして申し訳ござらんと言うと、下座に座っているので、どうぞ上座にお座りくだされと言うと、諸国巡察視、
といえば、

上様直属の役目と聞きました、それがしが下座に座るのが当たり前です、遠慮なく上座にお座りなされと言うので、しからば、ごめんと言って座り、まずは一献と女将が酌をして杯を重、
るたのです、諸国巡察視の役目は悪人退治だけではなく、民、百姓を助けるばかりではなく、各藩の財政改革を助力するのも役目にござる、薩摩藩は財政困窮しているとお聞きいたした、
余計な差し出口かもしれませぬが、

それがしがやって来た財政改革の手法が少しはお役に立つやも知れんと思うてお会いした訳に御座ると言うと、お耳に入りましたか、言われるとおり大きな借財をかかえておりまして、
どう改革しようかと思案に明け暮れております、是非お聞かせくだされと言うので、まずは20万両の借財で御座りますが、この利息だけでも年2万両にもなり、改革をしてもこの払いに、
消えてしまうわけですなと言うと、

薩摩藩の借財もご存知とはと言うので、色々調べる手は御座る、それはさておき、この中の10万両を年利息2分で貸し付けてくれるところが御座る、もちろん、見返りは求めない者です、
ここから新たに借用して、今まで借りている所に分散して返すのです、さすれば年間8000両浮きますと言うと、そんな両替商がいるのですかと言うので、薩摩藩の荷を扱っている玄海屋、
に御座います、

内諾は取ってあります、喜んでお貸しするそうですと言うと、なぜ出御座るかと聞くので、ひとつは蔵で金を寝かしておくよりは2分でも年間2000両になり新たに利益が増えるので御座れ、
ば喜びますと言うと、このような、財政が破綻しそうな藩にゆうずうするとはと言うので、もちろん、財政改革を推進されるのが条件です、それだけではなく薩摩藩は抜荷にて多くの利益、
を出しておられる、

これは幕府も禁制品を扱わねば目こぼししていますので、問題にするわけでは御座らぬ、この交易を次のとおり行うのですと、方法を話すと、なんと、村上殿は抜荷を奨励されるのかと、
言うので、背に腹はかえられんでしょう、幕府が目こぼししているのは、南蛮品の売り先は大阪か江戸しかありません、そこはいずれも天領地です、そこで鑑札を持っている商人は幕府、
に冥加金を払うので、

幕府はそれでも儲かるので文句を言うはずはありませぬと言うと、なるほど、さすれば仕入れ代金が5割りは減るわけですなと言うので、そうです、これで総計7万5千石が増える事になり、
ます、さらに後の10万両の利息を5分にする方法を言うと、なるほど、たしかに今は満足に利子も払ろうておりませぬ、ちゃんと払うと約束すれば承知しますなと言ったのです、これで、

9万石増収になり5年以内には返済できますが、あえて、半分の10万両しかへんさいせず、残った金は蓄財に回すのです、全部返されると商人は利息で儲かる事が出来なくなります、少し、
の無駄は残しておけば商人が何かあった時は喜んで用立てしてくれますと言うと、なるほど、目からうろこがはがれましたぞ、頭の中から暗雲がはれましたというので、そうですか、
この手法を取り入れてくださるかと言うと、

もちろんです、これ以外に財政改革する方法はありませぬと言うので、それは宜しゅうござると言って、最後に、阿片だけはやめなされ、小松殿がやっておられるかはわからぬが、先月、
掘割に阿片中毒の遊び人が浮いていた事は事実でござると言うと、申し訳御座らぬ、せっぱつまって試しに入れたので御座る、しかし、あの者がそれを持ち出して他に売りさばこうとし、
たので、

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