第89話

文字数 2,855文字


源三郎江戸日記(弟三部)89
 
旅籠に戻り夕餉を取りながら町中の様子を聞くと、いたって平穏で、治安は良いそうですと言うので、そうらしいのう平穏な事は良い事じあなと言うと、女中が夕餉の膳を片付けて、
酒の肴の津軽着けですと出すので見ると、カンノ子にイカ、コンブを混ぜ合わせたものです、松前では松前漬けと言うていますと言うので、一口食べて、中々酒のつまみに会うなと、
言うと、

飯の上にかけて茶づけでも美味しいですと言うので、小腹がすいたら食うてみょうと言ったのです、飛猿が入って来て、町は平穏でしたと言うので、そうか、ところでいくら稼いだ、
のだと聞くと、ハイ、2両とちょっとですと言うので、巡察していたのかと笑うと、ちゃんとやりましたよと言うので、どうせ、その金は今夜女郎屋で使い果たすのじあろうと言う、
と、そんな事ありませんよ、

土産を買おうと土産屋に行きましたら、この城下の名人のねぶた絵は売り切れてました、なんでも、善衛門と言う絵師らしいのですが、この者の書いたものは直ぐに売り切れるので、
他の絵師に気を使ってあんまり書かないそうなんですと言うので、紙包みを取り出して、これがその善衛門のねぶた絵じあよとみんなに見せると、飛猿がこれは凄~い迫力ですね、
ご家老が買占めたんですかと言うので、

そうじあよ、どうだ1枚1両で分けてやるがと言うと、飛猿がそれは高いですよ、2分でどうですかと言うので、仕方ない2分で譲つてやろうと1枚渡すと、飛猿が2分渡すので受取ると、
お玉が元が取れましたねと笑うので、ご家老いくらで買うたんですかと聞くので、5枚で2分じあよと言うと、すげ~商売上手と苦笑いしたのです、しかし、それを誰にやるんじあ、
と聞くと、

私だって土産をやる女の1人や2人はいるんですよと言うと、それではと部屋を出て行ったのです、お玉が情を交わしている、女子でもいるんですかねと言うので、どこかの女郎屋の、
女子ではないのかと言うと、50石取りなんだから身を固めれば良いのにと言うので、そうじあな、誰か紹介してやればと言ったのです、翌日は青森に戻り船に乗り込み秋田に向か、
つたのです、

秋田は佐竹氏20万石の城下町である、船を下りると直ぐに城下町です、旅籠に入り女将に町の様子を聞くと、殿様にはお子がなく養子をお迎えになるそうで、御一門の横手の義時様、
と同じく御一門の角館の戸沢様が激しく対立なさっているそうで、城下でも横手派と角館派がいがみ合い不穏な空気ですと言うので、それぞれ自分の息子を押していると言う事かと、
聞くと、

ハイ横手の義時様は先々代の弟の家系だそうで、殿は沈黙しておられるようで、家中が2分になって対立しているそうですと言うので、何処の家中も跡目争いは迷惑な事じあのと言っ、
たのです、早速巡察に出る事にして町に出て一軒の居酒屋に入り酒と肴を杯を傾けると、お玉がどうやら掃除が必要なようですねと言うので、どちらを立てても騒ぎは収まらんので、
佐竹公は困っているのじあろう、

ひょっとして、一門の口ばしに嫌気がさして、他家からなんて言いだされると、更にもめる事になるがと言うと、おくの方で何か騒ぎが起きたようで、藩士5人と5人が口論を初めたよ、
うで、1人の男が文句があるのら表に出ろと言うと、面白い言って外に出ると、刀を抜き切りあいが始まったのです、源三郎とお玉も外に出てみると、みんな大した腕ではなさそうで、
す、

そんなへぴり腰では人は切れんよと言うと、掛け声ばかりで躊躇しています、見ていた一人の浪人風の男が、掛け声ばかりではなく、早くやれと煽ると、町衆がそうだ、そうだ、それ、
でも侍かと言うと、くそ~と1人の男がやみくもに刀を振り回すと、切っ先が前にいた男の左手に当たり、ぐわ~と言って、その男はやったなと切りかかり、やっと、乱戦になったの、
です、

お互いに怪我をしたらしく血が飛び散ったのです、浪人は煽っただけでその場を離れていなくなり、仕方ないので、源三郎がもうその辺でいいだろう、これ以上やると死人がでるぞと、
言うと、お互いが後ずさりしたので、キズの手当てをしないと刀は持てなくなるぞと言って、店の中に連れて行き、酒で傷口を消毒して手ぬぐいで縛ったのです、何者だと言うので、

わしは諸国巡察視の村上源三郎じあ、このようないがみ合いが幕府に知ればただではすまんぞと言うと、ただの酒の上の喧嘩で藩には関係ないと言うので、跡目相続をめぐっての対立、
と言う事はわかっておる、これ以上の騒ぎは無用じあ、そうそうに引き取りおとなしくしている事じあと言うと、失礼致しましたと言うと立ち上がり店を出て行ったのです、女中に、
あの者達は城下の藩士かと聞くと、

いいえ、義時様の家人と戸沢様の家人です、今2人とも城に来ていなさるそうで、供に着いて来た家来の方達だそうです、早く引き上げてくれないと、物騒で迷惑ですと言ったのです、
仕方ない、佐竹公に会って事情を聞くとするかと、立ち上がり店を出て、城に向かうと先程の浪人が、諸国巡察視が何用で御座るかと聞くので、そなたは藩にかかわりのある者かと、
聞くと、

戸沢多門と申すと言うので、角館の戸沢殿の一門かと聞くと、親族に御座るが、それがしは佐竹公の隠し目付けに御座ると言うので、なぜ煽るのじあと言うと、あのような馬鹿者は、
共倒れさせるのが一番だと思うたまでで御座ると言うので、なる程、それは佐竹公の意向なのじあなと言うと、それがしの一存に御座る、諸国巡察視といえど秋田藩に禍になる者は、
切らねば成らぬ、

いらぬ手出しはおやめなされと言うので、諸国巡察視は街道の掃除だけではなく、藩内の揉め事を収めるのが役目なれば、そなたこそ邪魔はせぬ事じあと言うと、どうされるお積り、
かと聞くので、これより佐竹公に面談して仔細を聞きもうすと言うと、ならば、案内つかまつる、城内は不穏な空気なれば、お手前が名乗られれば騒ぎがおきますというので、わか、
ったとついて行くと、

からめてから入り迂回して庭に行き、お連れましたと言うと、庭に出ていた佐竹義格が村上源三郎だな、よく来てくれた、そなたの事は柳沢様から聞いておる、江戸より蝦夷に巡察に、
行つたと知らせがあったので、もう来るころじあと思うていたのじあと言うので、なにやら、跡目相続でもめているとかと聞きましたがと言うと、まあ、こちらでと言うので座敷に上、
がると、まずは茶でもと言うので、

茶を飲むと、治世のいたらなさで上様からお叱りを受けてもしかたない状況じあ、歴代一門の力が強く、だれも手が出せないのじあと言うので、して婿養子の件はどうなされる積もり、
でと聞くと、一門の力をそぐ為に会津の松平家から養子を向かえようと思うているのじあがと言うので、そのような事をすれは火に油を注ぎますぞと言うと、そうなんじあよ、しかし、
どちらかを取れば、

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