第45話

文字数 2,905文字


源三郎江戸日記(弟三部)45

国家老はあのようなやり方でしか幕引きが、出来なかったのでござりましょう、旦那様はお優しいので胸が張り裂ける思いでしょう、さあ、元気をだしなされと酌をしたので、飲み干し、
たのです、田村達と一緒に大垣に行けば、こんな悲惨な事にはんならなかったであろう、それが、残念じあと言ったのです、お玉が武士のけじめとは、凄い者なのですねと言うので、
何も死ぬ事はないと思うがなと言ったのです、

まあ、悔やんでもしかたないわと言うと、三平が傍に来て、鵜飼が始まるそうですと言うので、よし、見に行こうというと川船にのり見学に行ったのです、鵜飼師がそれでははじめます、
と言って、鵜に命令すると、それぞれ川に潜り、上がって来て船にあゆを吐き出すので、あゆを一匹褒美にやると嬉しそうに食べたのです、皆が手を叩き、すご~いと言っているうちに、
沢山のあゆが取れたので貰い、

旅籠にわらじを脱ぐと、三平が湯に入って来てください、今料理してきますと言うので、みんなで湯にはいって上がって来ると、膳が出て、あゆ塩焼き、あゆの押し寿司、南蛮づけが、
ならんでいます、杯を重ねてこれはうまそうだと、箸でつまみ食べて、どれも美味いではないかと言うと、みなも美味しい、美味しいと食べるので、三平が喜んでいたのです、それか、
ら4日後に大垣藩の目付けは、

江戸にの大垣藩邸にはいり、国許の変事を江戸家老に報告すると、そうか国家老は自害して果てたか、いつかはこのような事になるのではと思うていたがと絶句して、お方様と定行様に、
は事の真相ははなしてはならぬ、あくまでも病死としなければならんと言って、奥に行き殿がはやり病で急死されたというと、正室のおまんの方がそうかさつそく髪を降ろして仏門に入、
るぞ、

あのめぎつねのせいであろう、定行殿藩財政は逼迫しています、しつかりと治世を行いなされと言うと、定行が直ちに相続願いをだすのじあ、そなたが中心になり人事を刷新せよと指示、
したのです、同じ頃源三郎の書状が柳沢の元に届き、藩内を掃除いたし黒いミズミは退治いたしました、藩主が病死した為に嫡子定行様の相続の儀、上様に言上ませくださいませとだけ、
書いてあったのです、

そうか藩上げて歯向かったのじあな、藩主が暗君だと家臣が苦労すると言う事かと言うと、登城して目付けに大垣藩から何か言うて来たかと聞くと、耳にはいりましたか、江戸家老より、
国元で藩主が病死した為に嫡子定行殿の相続願いが出ておりますと差し出すので、そうかと受け取り、御座所に行き老中にはかると、届出自体は問題ないので相続させる事を全員承知し、
たので、

綱吉に報告すると、国元に帰る前の挨拶に登城した時は元気そうじあったが、国許のめぎつねに食われたのかと言うので、ご存知だったのですかと言うと、大奥では悪女だとのもっぱ、
らの噂であった、奥にあがっている両替商の娘から聞いたそうじあ、子が出来ぬので家臣の子供を産んだ事のある妻子を側室にしょうとして拒否されて、討ってを送ったとか、まさに、
女子とは恐ろしいのうと言うので、

何とそのような事があったのですか、源三郎からはそのような事は言うてきていませぬがと柳沢が言うと、それが奴の気づかいなのじあよ、定行に相続をさし許すが治世が乱れれば直ち、
改易にすると申し伝えよと言うと、みんながハハハ~と頭を下げたのです、源三郎は色々掃除して京へ登っているようじあのう、あの朱印状が役に立つているのじあろうと笑うので、

柳沢が上様の権威に逆らう者等おりませぬと言うと、これで全国に余の生類を哀れめと言う事の真意を伝えてくれているじあろうと言うので、土屋がなる程それが一番の目的で御座りま、
したかと言うと、江戸、大阪は良いが、田舎にいけばまで戦国の世の無体な慣習、法にてらさず勝手に仕置きする者も多いであろう、あくまでも余の目的は法治を主体とする国作りを、
する事じあ、

関が原から100年もたった、腕力でのし上がれる世ではない事を知らしめる事が寛容じあな、武士とは民を慈しみ良い治世を行うのを本文にしなければならぬ、赤穂の件も法にてらし合、
せて処置したまでじあ、大体喧嘩両成敗とはおかしいではないか、喧嘩を仕掛けられた方は悪くないのに罰を受けるのは法に照らしあわせればおかしい事じあな、しかし、過去の喧嘩、
両成敗との慣習があるので、

それを盾に余は非難を受けたが、それは間違いである、何事も公平な吟味によって、法に照らし合わせ処罰しなければならぬ、赤穂の件は吟味が足りなかったのが原因でもあるがのうと、
言つたのです、秋元がまさおうせの通りにございます、今後は間違いは間違いとして幕府が下した、仕置きも訂正する事が寛容かと思います、確かに幕府の権威が、落ちる事があるやも、
知れませぬが、

その方が信頼ある幕府との感を、民は持つと思いますと言うので、綱吉がたしかにそうじあが、総てと言うわけには、いかんなと笑ったのです、源三郎はもうすぐ京に達するであろうが、
次は何処を、掃除してくれるかのうと言うと、柳沢が少しは休ませぬとと言うと、そうか、次は江戸の掃除じあな、これだけの人がいれば、黒いネズミは、腐るほどいるじあろうと言う、
ので、

稲葉がすこしは褒美を与えられた方、が良いのではと言うと、そうじあな、こんどは女子でも、くれてやるかと言うと、柳沢がそれは源三郎にとつては、罰に値しますと言うと、綱吉が、
女子は罰になるか、そうか、源三郎の弱みは女子なのじあな、奴は公平に情を交わし、くたびれはてるわけじあな、これは面白いと言うので、柳沢が上様も、人が悪いと言うと、みなが、
どっと笑ったのです、

綱吉が下がると、稲葉が掃除するのも金はかかるはずじあがと勘定奉行に聞くと、それが一銭の要求も来ないのですと言うと、土屋がそれは源三郎が悪人から巻き上げ、その金で掃除、
しているので御座るよ、わしの次男が相馬藩に養子に行っているが、馬の競りに奉行が商人とつるみ不正をやっていたそうに御座る、源三郎は手の者に競りの鑑札を取らせて、競りに、
参加させ、

値を吊り上げさせて、競りを降りてその商人に落札させて大損をさせたそうに御座る、たまりかねた商人が奉行に言うて、競り参加を停止させたところ、今までは自由にさせておいた、
のに急に仕組みを変える事はならんと一括して、その商人を競にて大損させたので、仕組みを変えて入札する事になり、総てをやり直させたそうで御座る、その後にその商人から奉行、
に渡った賂の書付を突きつけて、

奉行の貯めた賂と商人には蓄財した金寸の9割りを没収して相馬藩に納めさせて、その中から2000両を巡察の費用にあてたそうで御座る、おかげで相馬藩の台所は潤ったと知らせが来、
ましたと言うので、稲葉がなるほど源三郎は一石2丁をやっているのですな、幕府は一銭もかからず治世が正せるわけかと言うと、上様が朱印状を渡された訳がお分かりですかなと、
柳沢が言ったのです、

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