第10話

文字数 2,817文字


源三郎江戸日記(弟三部)10

みなの衆頑張って豊かになるのじあよと言うと、有難うごやいましたとみんなが言ったのです、砂浜に戻り小船に乗ると大勢の村人が手を振っていたのです、船に乗り込み帆を上げて、
船頭に日立の港につけてくれ、水戸光圀公がすこし行った西山壮にやおられるはずだ、先程の事をたのんで来よう、わしとお玉、お律のみで良い、山形達はこの船で待っておれ、危険、
はないので心配するなと言ったのです、

上陸して馬を借りて西山壮に向かったのです、程なく西山壮に着き光圀公に面会を求めると、部屋に案内したので入り、お久しぶりに御座ります、ここに控えているのは妻の玉と妹の、
律に御座います、諸国巡察のついでにお寄り致しましたと言うと、おう源三郎か妻女と妹子もよう来たなと言うので、二人が挨拶したのです、今日お寄りしましたのはと先程の事を話、
して綱條様えの取成しを頼んだのです、

永代年貢2分の件も、綱條に言うておくぞ、そうやればみなこぞって新田開発をやるわけじあな、さすれば水戸25万国は、10万石は増えて35万石になり、藩財政も豊かになるわけじあな、
本来ならわしが、やらねばならん事じあ礼を言うぞ、諸国巡察視の事は聞いておる、大変な役目じあがそなたにしか出来ぬ役目じあ、よろしく頼むぞと言うので、微力なれど掃除をして、
来ますと言ったのです、

格之新と助三郎は今旅にしておる、何処かで会うかも知れぬが、わしは元気じあと言うてくれと言うので、承知しました、諸国漫遊記の進み具合はどうですかと聞くと、東海道は終わっ、
たが、悪い物も沢山いるそうじあ、少しは懲らしめているようじあが、二人はそなたみたいな知恵がないので、苦労しているじあろうと笑ったのです、それでは先を急ぎますのでと言う、
と、

気をつけて行くが良い、これは水戸の山クジラで作ったハムじあが、中々良く出来ておる持っていくが良いと渡すので、有難う御座りますと受け取り、馬に乗り日立の港に戻り船に乗り、
相馬に向かったのです、大分寄り道をしたがと言うと、本来ならもう着くころですが、夕方には着きますよと言ったのです、そろそろ昼じあな、飯でも食おうというと、お玉が握り飯と、
先程貰ったハムを皆にも分けたのです、

ハムを食べて、ほう、中々美味く出来ているぞ、弁当のおかずに最高たなと言うと、みんなも食べて、本当ですねと喜んだのです、暫く行くと岩城を過ぎましたのでもう直ぐですよと、
船頭が言ったのです、夕暮れ前に相馬につき岸壁に接岸すると、丸太で足場が組んであり歩いて船を下りられるようになっています、なる程疾風を降ろすために作ったのじあな、これ、
は便利じあと言うと、

下に若狭屋と疾風がまっており、わざわざすみませぬといって、疾風よう来たと顔をなでるとひひ~んと泣いて、顔をベロベロ舐めたのです、よし、よし、明日からは一緒じあなと言っ、
たのです、若狭屋も米沢まで行くかと聞くと、ハイ、米沢からお律殿と一緒にここに戻り、江戸に帰りますと言うので、わかりましたと言うと、旅籠に行きましょうと言うので、近くの、
旅籠にわらじを脱いだのです、

湯に入りあがると夕餉の支度が出来ているので膳を皆で囲み杯を傾けたのです、膳にはアンコウ鍋が載っています、皆が食べてこれは美味いですなあと喜んだのです、夕餉が終わり番頭に、
街道の様子を聞くと、道幅が広くなり荷馬車に乗り旅をする人も多く宿場は賑わっています、あの旅人の行き交いでは山賊も襲えないのかいないようです、次の宿場近くには牧場が広がり、
百姓が馬を育てています、

年に4回程競りが立ち、競り市は馬方奉行が取り仕切っているそうですが、この競りには駿馬が選ばれて競りにかけられるそうです、普通の馬は3両から10両の間で取引されているそうです、
が駿馬は大名家に商人が売る為に競るのだそうです、最低が20両からだそうで毎回10頭ほどが馬方奉行の吟味役が選ぶそうです、実際には15頭程はいるのだそうですが、取引値が下がると、
かで外されるそうです、

その馬は15両で相馬屋が引き取る事になっているそうで、競りに出せば50両にもなる馬も含まれているそうですので、百姓が全部を競りにかけるように嘆願しているそうですが聞いて貰え、
ないそうです、そうか相馬屋が奉行に大枚の賂を贈っているのじあなと言うと、ハイ、そうだと思いますと言うので、高値は最高いくら位になるのじあと言うと、今までは100両の馬がいた、
そうです、

相馬屋が競り落とし、相馬の殿様に献上したそうですと言うので、なるほど藩主にいい顔をして、暴利をむさぼっているのじあなと言うと、多分殿様は実態は知らないと思います、直接、
ご重役に嘆願しょうとしたそうですが、その者の一人が谷川で溺れているのが見つかったそうです、証拠はありませぬが奉行か相馬屋の手先の馬喰に殺されたのではないかと言う噂が、
ありますと言ったのです、

人殺しまでやるとは許しておく訳には行かんなと言って、飛猿、才蔵、相馬屋の屋敷に入り、賂の書付を手にいれてくれと言うと、承知と言うと旅籠を出て行ったのです、番頭が明日の、
午前中が駿馬の目利きで宿場の競り場に百姓が持ち込んでやるそうです、午後からが一般の競りを行い、その後駿馬の競りだそうです、というので、その宿場はと聞くと、ここから2里行、
った宿場ですと言ったのです、奉行所はそこにあります、

相馬屋の出店もそこにあり、本店はここから直ぐの処です、もう競りの出店に行っているはずですと言うので、それでは山形達も2人づつ分かれて町の様子を探ったくれ、わしたちも町に、
出よう、ここはお膝元じあから悪人はいないと思うがと言って連れ立って町に出たのです、中々繁盛しているようで沢山の居酒屋、旅籠が並んでいます、番頭がここのヤシの元締めは悪さ、
はしないですよ、

時々馬喰の喧嘩騒ぎはありますが元締めの子分が止めに入っています、用心棒代は払っているところもあるみたいですが、要求はしていないようで、私も払っていません、町奉行所には、
少し寄進していますといったのです、構わんぞと言うと、ハイ七衛門の旦那も認めてくれていますと言ったのです、一軒の居酒屋に入り酒と肴を頼んで杯を傾けたのです、飲んでいると、
隣の馬喰がお武家さんは馬買いですかと聞くので、

そうじあがお前は馬喰かと聞くと、ヘイ、江戸からきやした、ここには良い馬が沢山いると聞きまして、船で来たんですよ、何頭か買って江戸への帰り道に百姓や庄屋に売るのですと言う、
ので、儲かっているかと聞くと、良い馬はここの相馬屋が競り落とすので手がでませんよ、明日駿馬の目利きがありますが、良い馬は外して相馬屋に15両で下げ渡すんですよ、中には50両、
にもなる馬も含まれていやす、

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