第039話:囃子ノ宴大宴会!シルドラ達の最後の思い出作り!!
文字数 7,313文字
あ、えっ、あたいが
ル!?
えっと。ルーレット台の上で……
次はヴェスター。頼んだぞ!!
オレが
ドか。そうだな……
ド根性を見せて。次はシルヴェスだ。
最後のターンだから決めてくれ。
お行儀が悪いですよ!!!って、僕の作文なのに何で自分が
ツッコむんですか!!
前話のおさらい。
ホットソープに聳え立つヴァリングス。
その建物施工に向けて "とある過去" があった。
それはヴェスターが家族と共に
暮らしていた一軒家の地下から源泉が見つかった事。
それがきっかけでヒートリンスの社長、
ミルフの父親であるオランドの目の付け所が
変わり、両親を不幸へと導く結果となり
彼の家族は自殺してしまった。
恨みは募るばかり、ヴェスターはヒートリンスの
屋上から社長を突き落とし、ミルフの母ルミナは
自分達の責務に後悔を感じ、
自分で幕を閉じる事に――。
最後まで彼と家族の2人を守り抜いたルミナ、
そしてシルドラの両親の御恩があって
今の自分がいる。それを忘れないで欲しい……と
ヴェスターは再び笑顔を取り戻した。
****
ヴァリングス、1階――。
暖簾が掛かっている壊れた
支柱を通り、皆が居るロビーへ戻って来たシルドラ達。
シルドラ、おかえり!
と、言う事は無事に終わったんだな。
もちろん。ヴェスターさんも
皆さんに謝りたいって連れて来ましたよ!
皆、済まなかった!
ヴァリングスをこんな有様にして
ミルフの両親まで。数え切れない罪を
幾つも犯したんだ……
おう、大丈夫だ。
お前のストレートパンチ決まってたぜ。
一番、彼の心の支えとなってくれた
ミルフの母親ルミナ。その感謝は尽くしても
尽し切れない。それなのにヴェスターの恨みは
一方に募るばかり、彼女の両親を……。
ずっと戸惑いと戦いながらも、心の中では理解っていた。
だけど、ヴァリングス襲撃しか
頭に入れて居なかった為、周囲の事が
見えてなかったのかもしれない。ミルフの元に
ゆっくりと歩き今1度彼女に謝罪する事に。
ヴェスターは悪くない。
あたいもシルドラの想いと一緒なんだ。
父さんは頑固過ぎるんだよ!
ちょっとした事ですぐ口論になるし。
少し黙らせた方が良いんだ。
だから、謝らなくていいぜ。
そして此処にいる皆はお前の味方だからな。
お前の笑顔を見れただけで
成長したって言う証だ。言っただろ?
俺はヴェスターの味方であり友達だと。
そうだな。オレは罪を償っていつか
オレの故郷ホットソープを更に
盛り上げる為にヴァリングスの従業員に
なってやるんだ! それまで
待っててくれないか?
罪を償って、いつか自分が思い描いた姿になる。
きっと彼の夢は叶えられる――。
皆との絆をより一層味わった瞬間でもある。
シルドラとの出会いがそうさせたに違いない。
フランバージュ、そして商売人と
今までの過去を振り返る事なく
ヴェスターは今を生きる事に。
笑顔に包まれたヴァリングス。
何か準備を終えたリタ、ニリア、そして
ユリシール達がロビーへ皆を呼びにやって来る。
皆、準備が出来たわよ!
囃子ノ宴に来てくれない?
えっとねー、これから
ヴァリングスの未来を願って
大宴会をするんだよ。舞台もあるから
自由に出し物してオッケー。
と、言う事はシルヴェスと
2人で筋アピしても良いのか!?
****
1階、囃子ノ宴――。
一席一席に置かれている御膳の上に
御飯、汁物、主菜、副菜2点が配膳されている。
美味しそうな匂いに釣られ、食欲を
そそられていると、エンディアが突然叫び出す。
よしっ!!
さっきの酔いをもう一度味わうぞ。
ジャラゴールド2瓶頼む!!!!
だって、もうすぐでラグやブランザと
別れるんだろ? ホットソープとも
お別れだろ? だったら今のうちに
思い出を残したいんだ!
今日は焼け酒ですね。
僕でよければお付き合いしますよ。
そうだ。シルドラも20歳だろ。
もうお酒飲める年だから、せっかくだし
デビューしてみたらどうだ?
えっ?
興味はあるんですけど
僕にも飲めるお酒があれば……
おっ。シルドラのお酒デビュー……。
俺で良ければお前に合ったモノ
提供出来るけど、挑戦してみるか?
じゃあ、お願いします!
確か初心者の人ってアルコール度数が
低い酒を飲むのを推奨してるんですよね。
もちろん。初心者は少量を
嗜む
程度で良いんだ。だから、ジュース
代わりにもなるジュベリーレッドと言う酒を
飲ませてあげよう。
確かに。それならシルドラでも
飲めると思うぞ。此処はそういうモノも
置いてあるんだな。改めて凄い温泉宿だ。
ジュベリーレッドだな。
よし、俺が作って来てやるぜ。
一通り、以前ブランザから作り方を
教わった事あるからな。シルドラ、
待っててくれ!
よし! 皆の元にお酒が
届いたという所で、今回は……
ぼ、僕が、ですか?
やった事ないけど挑戦してみますね。
えーっと……
じゃあ、早速乾杯の音頭を取らせて
頂きますので皆さん、御唱和お願いします!
一騒動はあったけど、
ヴェスターさんの未来と、それと
ホットソープの今後が花笑む観光地と
なりますよう祈願し、また新たな気持ちで
温泉業界を盛り上げて行って下さい!
(な、なんと……。初めての
挑戦でこんなに纏められるとは。)
ここまでの長旅お疲れ様です!
その疲れを癒す為にも、今日は
時間が許す限り、飲んで食べて
楽しみましょうねっ。
じゃあ、行きますよー。
それでは、ヴェスターさんの活躍と
ホットソープの更なる発展を祈って、
せーのっ……
思えば、ホットソープ編に突入して
何日、いや何ヶ月経っただろうか……
実際に執筆していると現実世界と同じ感覚で
時を刻んでいるから、あっと言う間に過ぎ去って行った
感覚になるけど、この世界では1週間にも満たしてない。
後1話でこの新編は終幕を迎える。
常に楽しい事だけじゃないこの物語。
主人公シルドラもフラジーの1件でそれは十分に
熟知した筈。もしかしたら次のヴァンウッド、
シノヴァシア編は更に重い話になるかもしれない。
増してやフランバージュの目論見もある。
だからこそ、今を一番楽しまなければならない……。
此処から先の宴会の席での話は更にカオスな
展開へと動き始める。
※ ネタ、パロディー、他作品とのコラボに
抵抗がある方は好きなお話への移動をお願いします。
宴会が始まって1時間後――。
襖を開けてフランバージュのメンバー
ロギュアとグラッツの2人と話を終えたブルーノが
宴会場へとやって来た。
あーっ!
宴やってるじゃん。僕も入れてよー。
皆でやってるなんてズルいー!
ちょっと!!それ、もしかしてマル〇〇の事ですよね!?
軽くイジメてますよ。
ああああああああああ!!!
ぼ、僕の頭が濡れたじゃん。
シルドラ君、拭いてくれよー。
昨日、丁寧に洗ったばかりなのにー!
ちょっとおおおおおおおお!!!
せめてタオルで拭いてー。
そんな汚くないよー!!!
ブルーノさん、今2人酔ってます。
誰にも止められません。
はい。同じ船でビューウェーブに
停泊して以来ですかね。
でも、何か雰囲気変わったような気がする。
確かあの時は子供っぽかった感じが
するんだけどなあ……。
多分、僕の顔が童顔だからだと思いますよ。
里の皆からもよく言われます。
あっ!!!!
クランブナッツの揚げ物食べられたっ!
一番最後に食べようと思ったのに。
お兄ちゃん、返してよー。
僕の大好物なのにいいいい!!
モグモグモグモグ……
こっちのナッツの香ばしさも良さげ。
あああああああああああ!!!
また、食べられたじゃん。
この2人どれだけ酔ってるんですか?
合計10瓶だな!
よし、待ってろ。今持って来てやる!!
それにしても、エディールさんと
一緒にお酒が飲める時が来るとは……。
そうですね。昔の間柄では
このように晩酌を交わす事も
出来ませんでした。今こうやって私が
居られるのは一重に皆様のお陰です……。
ホントよ。昔の貴方からじゃ
今の生活なんて想像出来ない筈。
それだけ自分が変わった事なんだから
もっと素直に喜ぶ事。良い?
その言葉が聞けて良かった。
今夜は飲み明かそう。それと
どうやら余興が始まるみたいだ。
あら。舞台に立ってるのは
エンディアさん、シルヴェスくん、そして
ヴェスターさんの3人よ。鋼の肉体を
持つネタでもやるのかしら?
****
舞台の上――。
左端に異世界カラオケが楽しめる
テレビが置かれている。タッチパネル式の
デンモクで曲目をセットするシステムが
組まれているのは現実世界と一緒。
ただ、1つ違う点と言えば……
ん、カラオケは知ってるけど
異世界カラオケって何だろう……?
俺が説明してやる。
異世界カラオケって言うのは
ちょっと特殊で、違う大陸の何処かで
歌われた楽曲が自動的に配信されるように
なってるんだ。やって見た方が
早いかもな……
あっ。ブランザさん見て下さい。
早速ヒットしましたよー。
お。早速検索かけたのか。
どうだ、良い曲に巡り会えたか?
そのタッチパネルに表示されていて
尚且つ最近歌われたのは
「このタコ!」
「戻りたぁい」
「帰りたぁい」
どうやらフルサイズではなく全て
ショートバージョン。シルドラも曲のタイトルに
驚きを隠せず、心の中でどんな曲調なんだ? と思っていた。
その他にも多数の楽曲の存在を確認。
一体誰がそんな名前を命名したのか知る由もない。
ねぇ、ちょっと待って!
グラスオーヴィって言う場所で歌われた
楽曲が全て果てしないんですけど!!!
おおおおおおお!!!!
シルドラ、ちょっと待つんだ。
ここに表示されているバルバル★ゴリゴリ
ロックに違いねぇ。流してくれ!!!
概要欄見てみろ。筋肉の喜びを
テーマにしてあるって書いてあるんだ。
これは俺等も聞く価値がある!
実際に歌えないけど、
この楽曲の持つ独特な歌詞、世界観に引き込まれ
逞しい身体を持つエンディア達は
感慨深げに聞き込んでいた。
歌詞
バルバル ゴリゴリ(Ah Ah)
バルバル ゴリゴリ(Ah Ah)
君の体 あ・つ・く・な・れ
いざ行け 鉄の体と燃える魂
天を揺るがす 俺の拳でぶっ飛ばせ
勝利のポーズを決めろ
さぁ行こう 君とボクで走って行こう
太陽もビックリ 圧倒的パワーで倒したら
ほら 笑顔のサイドチェスト
(筋肉って本当に素晴らしいね!
ボク達はきっと素敵な人を守るヒーローになれるよ!
さぁ!行こう!美女達が待っているぞ)
※ここの1番サビは自分が作詞しました。
キレてますか!と大声で叫ぼう
一緒に流した汗は美しい
正義の心が灯す情熱の赤が 俺に火を点ける
毎日鍛え続けたスピリット
いつか叶えて見せるレジェンド
筋肉は裏切らないさ。
バルバル ゴリゴリ(Ah Ah)
バルバル ゴリゴリ(Ah Ah)
君の体 いつまでも も・や・し・つ・く・せ!
何だこの歌詞は……!
お、俺は今猛烈に感動してる!!!
そうですね!
この曲聞いたら "あの人" に
会いたくなっちゃいました!!!
お。もしかして俺やレブロンみたいな
マッチョの知り合いがいるのか?
はい。
"タケル" さんって言って
自分の筋肉の極限を知りたいと追究する
包容力がある僕の尊敬する友達です。
極限を知るなんて
お前も良いダチを持ったな。
いつか会ってみたいぜ!!!
何処に行ったら会えるんだ?
確か、旅立つ前日に
僕の元に手紙が届いたんですけど
今はバードテックと言う大陸で
修行をしているみたいです。
エンディアとシルドラが
2人でカラオケの機材を前に話していると
その大陸の事を良く知っているヴェスターが
シルヴェスとの筋アピ余興を終えて
その場所の事を話始める――。
もしかして、ヴェスターさん。
知ってる場所なんですか?
お、おう。知ってるけど……
確かシルドラの友達だったよな。
もしそうだとしたら、どうやって
辿り着いたんだ?
バードテックは船で行けないんだ。海面から突き刺さっている断崖絶壁の上に
大陸があるんだ。そこから行ける階段は無く
上空は大気が乱れているせいか、
飛行機とかの着陸も難しい……
でも、其処にいるって言う事は何かの方法で
上陸したのは間違いありません。いつか、
必ず再会してみせますよ!
その意気だ。オレも自分の夢を必ず叶える。
シルドラも仲間と最高の冒険を
心から楽しんでくれ。
はいっ。ヴェスターさんも
罪を償ってまたいつかホットソープに
戻って来た際は、今度こそ一緒に
温泉に入りましょうね!!!
もちろんだ。約束してやる!
幸せと疲れを癒す温泉街、ホットソープの
魅力はこれからも色褪せないさ。
よし! 余興の最後を締める
シルドラ作文を皆で作ってみないか?
お、いいな。
楽しかった時間もそろそろお開きか。
じゃあ、あたいも参加させて貰うぜ。
私が説明しますね。シルドラさんは
"あいうえお作文" って御存知ですか?
うん。お題を決めて頭文字に
位置付けた文章を作るアレですよね。
ご名答。それではまず例として
主題を "ねた" としましょう。それでは……
エンディアさんからお願いします。
※お題は通常、ひらがなで与えられる。
最初は俺だ。まずはシ。
シャンパン飲みながら……
ミルフ、頼むぞ。
あ、えっ、あたいがル!?
えっと。ルーレット台の上で……
次はヴェスター。頼んだぞ!!
オレが
ドか。そうだな……
ド根性を見せて。次はシルヴェスだ。
最後のターンだから決めてくれ。
お行儀が悪いですよ!!!って、僕の作文なのに何で自分が
ツッコむんですか!!
もうっ。僕が最後に決めますよ!
誰かテーマお願いします!!
そうだな。じゃあせっかくだし
"じぶんじしん" って言うのはどうだ?
僕の事ですね! 分かりました。
じゃあ、頭文字お願いします。
"ルーキー、現れ"
この言葉、使ってみたかったんですよ!
"ライトアップ"。
少し恥ずかしいけど、自分なりの
作文が出来たと思いますっ!
幸せいっぱいのルーキー現れ、怒濤の勢いでライトアップ。
まだ新参者だけど
シルドラ自身も皆と触れ合う事で沢山の幸せや
絆を深めて行く。彼の急成長ぶりに次の場所へ
行っても、きっと光が導いてくれるだろう。
このホットソープで培った知識も
絶対に忘れはしない。だって、きっと
皆がシルドラの手を離さないから。
お前と再会出来て嬉しかったぜ。
明日はいよいよお別れだな。
そうなんですね!
カインドフォースの皆さんに
久々に会えて楽しかったです。
シルドラは舞台の上にある
スタンドマイクの前に走り出し、囃子ノ宴にいる
彼の仲間、そして従業員に向かって
張り詰めた声でパフォーマンスし出す。
よーし!!
皆さん、今日はまだ終わってませんよ。
ホットソープ編次話で終了記念として
今日は作者に向かって "お疲れ様" って
言ってあげませんか!?
いいぞ!!!
俺を活かしてくれた事に感謝したいしな。
もちろんだ。こんな悪役だったけど
ちゃんと芯の見える男に仕上げてくれた
お礼を浴びせてあげたい。
そして、もちろん……
まだ飲み明かしたいと思うので、
仕方ねぇな。ドンっと注文来い!
今日はかつてない日だ。皆で
締め括ってやろうぜ!
【ホットソープ編登場キャラ全員】
お疲れ様でしたー!!!!!
この後も二次会が執り行われ
酔い潰れるまでお酒を飲み明かし、
楽しくなるまで笑いあったり、舞台の上で
色んな余興をしたりして、この宴は
早朝5時まで続いた……。
いよいよ、次回ホットソープ編完結。
皆とのお別れが徐々に近付く中、
ラストに衝撃的な展開が訪れる。
アウトおおおおおお!!!
最後にやらかしたああああああ!!!
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