第018話:チョコミステリー開幕!ヴァーズメルトとレブニャン!!(後編)
文字数 5,099文字
シルニャン、レブニャンの2人……
いや、2匹は愛情表現の1つである猫独自の
仕草である "すりすり" をし始める。
無事に元の姿に戻れる事が出来るのか?
今解き明かされる "チョコミステリー"
解決編、いざスタート!!
前回のあらすじ
ゴッシュ、ゼルガスと別れ、3人は
エアロブルー飛行場に向かっている最中……
クラムビーチで何にも食していなかったせいか
空腹になっていた為立ち往生していると
通行人が訪れていたカフェ"ヴァーズメルト"の
存在を知り、急ピッチで来訪する。
そんな中、店員のプラムが作った
チョコを食べたシルドラとレブロンの顔に猫の毛が生え
口調も語尾に「にゃー。」や猫独自の泣き声「にゃあ。」を
発してしまう珍事件が起きてしまう。
ただミルフだけは
召したのに彼女だけは猫になっていなかった。
もうっ。2人だけでズルい!!
あたいも猫になりたかったぞ。
いや、ミルフさん……
今はシルドラ君とレブロンさんを元に戻す
事が最優先だけど、一体何でプラムの
チョコを食べたらこんな現象が
起きたのかしら?
わたしのチョコが
美味しくなかったからでしょ、グスン。
いや、安心してくれ。
プラムちゃん手製のチョコ美味しかったぞ。
でも……、現に2人が
猫になっちゃったから。お姉ちゃん、
どうすれば良いのかなあ?
いや、プラム。
正確にはまだ2人は猫になってないわ。
本当になったなら人間の言葉は喋れない筈。
確かチョコは此処で作ったんだよね?
この店に2人を猫に
近付けさせた "何か" があるって事よ。
だからプラム、安心して。私が必ず
シルドラ君とレブロンさんを
元の姿に戻してあげる。
もちろん。私の店で謎が起きたのよ。
全責任は私が取るわ。
あたいも協力するぜ。
ってか、させてくれ。大切な存在なんだ。
シルリア、事件解決に向けて始動――。
それは来客であるシルドラ達を助ける事の他に
彼女が始めた店で珍事件が起きた責任もある。
プラムにチョコを作った場所が此処の
工房と聞き、そこに何があるかと
勘付いたのか男性陣を置いて
向かい始める。
シルニャン、レブニャンサイド――。
【シルニャン/レブニャン】
♪ Magical Cat Times!
はじまりの合図~(にゃあ)
レブニャン、僕の作った
オリジナルソングはどうニャン?
にゃあ。この曲は
"Magical Cat Times!"。
皆に猫の事をもっと知って貰いたくて
即興で作ったんだにゃー。
シルニャン、レブニャン……
今2人を戻す為に頑張ってるから少し声の
トーン下げて貰ってもいいかな。ゴメンね。
分かったにゃー。
俺達の方こそ歌ったりして
済まなかったにゃあ。
プラムちゃん、
チョコ美味しかったにゃー。
だから自信を持って良いと思うニャン。
あ、1つ思ったことがあるんにゃけど……
もしかしたらチョコを作る際に
何かと間違えてかき混ぜたとか。
覚えてにゃいかなー?
うーん。レシピを見て作ったから
それ見れば分かるかな。
でも、教えてくれてありがとね。
えーっと……今はシルニャンって
呼んで良いかな?
店内に響き渡るように歌っていた
レブニャンとシルニャン。プラムに可愛く
注意喚起されてしまい、2人で
再びすりすりをし始める。
猫がすりすりする理由
① 自分の匂いで安心したい
② 親しい仲間へのあいさつ
③ 飼い主さんへの甘えやおねだり
理由は様々あるけど、2匹の場合は
②の親しい仲間へのあいさつに1番近い。
役回りは違うけれど、今は一緒に冒険している仲。
お互いの匂いを確認しながら
更に良い関係性である事を
確かめ合っているのかもしれない……
****
ミルフ、プラム、シルリアサイド――。
さてと、調査開始っと。
うーん、まず何からすればいいんだ?
ミルフさん……、
プラムがここでチョコを作ったとすると
必ず手掛かりがこの場所にある筈よ。
あ、でもその前に……
手袋を嵌めてくれると助かるわ。
常に掃除しているけど、多少汚れている
箇所も無くはないからね。
これ位朝飯前さ。シルドラ達を
元に戻したいのはあたいも一緒だからな。
ほらプラム、元気出してくれないと
ライガーに言い付けちゃおうかな。
ライガーお兄ちゃんっ。さっきも言ったけど
わたしとシルリアお姉ちゃんの
お兄ちゃんなんだ。とっても
カッコいいんだよー。
お、確か空の大陸
"スターシア" に
居るんだろ? いつか会える日を夢見て
今はレブニャンとシルニャンを
元の姿に戻す方法を見つけないとな。
だろ、プラムちゃん?
ここはカウンター風キッチン――。
石窯がある付近で色々と捜索し出す
3人のうちプラムは先程シルニャンに
言われた "とある事" を思い出す……。
(あ、1つ思ったことがあるんにゃけど……
もしかしたらチョコを作る際に
何かと間違えてかき混ぜたとか。
覚えてにゃいかなー?)
お、さすがシルドラ……いやいや
シルニャンだ。アイツは割と細かい事に
気付くからな。で、どうだ?
確かに、チョコ作った際に
隠し味にこの前お姉ちゃんがくれた
"アンジュソート" 入れたんだー。
あら、嬉しいわ。確かにあれは
少しまろやかにしてくれるエキスが
入ってるからプラムの手順は正解よ。
やったー。ちなみにお姉ちゃん
何処でそれ買って来てくれたのか
教えてくれない?
あら。また欲しくなったのかしら?
以前お友達と港町ビューウェーブに
行った際に購入したのよ。
店員さんに勧められてね。
シルリア……、もしかして
その店員、強く勧誘して来たか覚えてるか?
そう……、この謎に置ける
超重要アイテムは、以前シルリアが
港町ビューウェーブに訪れた際に
購入したと思われる "アンジュソート"。
シルニャンの発言と今まで2人が
話していた内容を思い返しながら超要約し、
購入した張本人であるシルリアに問い始める――。
(おい、姉ちゃんっ。
良いモノ手に入れたんたゼ。
ここでしかお目に掛かれない猫の涙の成分が
入った "アンジュソート"。スイーツなどに
入れると少し味をまろやかに
してくれるんだ。1瓶、どうだ?)
もしかしてシルドラ君とレブロンさんを
猫にさせちゃったのって、
アンジュソートのせい?
だから私が…、犯人……なのね。
その時、ミルフが戸棚に飾られている
それらしき物を見つけて、手に取り内容物を
確認していると、明らかに品物の成分表示表が無い事に
気付き、"バッタもんを買わせられたな" と
本人の前で言いたいけど、場の空気を
壊さない為にもこれは彼女の中で
絶対に言ってはいけないと重々理解する。
後、瓶のパッケージに描かれているのは "猫"。
食糧品の1つとして考えるには不自然な所がある。
それに気付かずに買ってしまった
シルリアにも責任はあるけど、
こんな代物を売り付けている
商売人も意地汚い。
プラム、ごめんなさい。
私のせいで大切なお客様を
猫にしちゃうなんて……。今日限りで
このお店畳むわ。本当に店長として失格よ。
このアンジュソートの下面に、
"効き目は1時間で切れます"
って書いてあるぞ!!!
文字ちっちゃいな。やはり
商売人って言うのは嫌いだ。そのせいで
あたいの両親は……
いや、こっちの話だ。
今の話は聞かなかった事にしてくれ。
とりあえず……シルリア。
お前は店を畳む必要などない。
卑怯な事をしたのは人を騙してまで
売り付ける悪徳商法の業者だ。
それにプラムちゃんの
チョコ作りを少し遠い場所から
サポートする為に買ってあげたんだろ?
どうだ、シルドラ、レブロン?
そう、2人がチョコを食べてから
今の時刻でちょうど1時間――。
何とか効き目が切れて
猫の毛は元の鞘に収まり、いつの間にか
"にゃあー" や "にゃお" の鳴き声も
語尾に付く事は無くなっていた。
そう、ミルフはずっと心配で、
いつ戻っても良いように柱時計をずっと確認していた……。
プラムちゃん、シルリアさんっ
僕とレブロンさんの為に
頑張ってくれてありがとうございます!
ほら、見て下さい。猫の毛
無くなりましたよー。
シルドラ、俺もだ。
そうか、ミルフが言った通り
1時間で効果が切れるのか……。
不思議な体験が出来たぞ。
2人共、ごめんなさいね。
私がプラムに渡したアンジュソートが
貴方達を猫にさせたみたいで……
シルリアさん、妹を見守る姿は
姉の役目ですよ。夢に1歩近付いた訳
ですから店を辞めないでこれからも
ヴァーズメルトで色んな方に美味しいモノを
提供してあげて下さいっ。
良いじゃねえか。
それがシルドラの持ち味だ。
一番褒めるべき所だぞ。だろ、ミルフ?
じゃあ、それなら……
迷惑掛けたお詫びに今回のお勘定はタダで
バージュベリーケーキを提供させて
貰えないかしら?
えっ、そんな事して大丈夫なんですか……。
ダメですよね、レブロンさん?
いや、良いんです。
シルドラ君とレブロンさんへのお詫び
そして、一緒に手伝ってくれたミルフさんの
感謝をしたいんです。これだけは
意地でも曲げませんよ!
分かりましたっ。
じゃあ、改めてプラムちゃん……
注文して良いかな?
うんっ。早速……
いらっしゃいませ、シルドラ君
レブロンさん、そしてミルフさんっ。
ご注文をお願いしますー。
バージュベリーケーキ3つですね!
ご注文ありがとうございますー。
事態は無事に終息し、再び
シルリアは自分の不甲斐なさに痛感しながら
ミスをもう二度と繰り返さないと誓い
タダでバージュベリーケーキを
提供する為、工房で一人黙々と調理開始。
そして、妹のプラムは庭に咲いている
花の水やり。シルドラ達は店の内装を
心行くまで堪能していた。
30分後――。
プラムと一緒にケーキと飾りが盛り付けられた
お皿をシルドラ達の元へ運ぶ。
お待たせしました。
バージュベリーケーキ3人分です。
君達の為に丹精込めて作ったので……
そうだな。よし、俺の合図で食べようぜ。
シルドラ、ミルフ……準備は良いか?
じゃあ、俺とシルドラが
無事に猫の姿から元に戻れた事と……
プラムとシルリア、ヴァーズメルトの
今後の発展に期待して――
【シルドラ/ミルフ/レブロン】
いただきますっ!!!
ここはヴァーズメルト――。
2人の可愛い店員が営むカフェ。
色んな所まで手入れが届いていて、来たお客が
良い空間、匂いを満喫出来る心優しくなれる場所。
シルドラ達がエアロブルーに旅立つ為
店を後にしてから数時間後……。
現在、絶賛満席中。
ほら、プラム。
向こうの席にカンバスティー
持って行ってくれるかしら?
きっと、シルニャンとレブニャンが
手招きしたんじゃないかな?
ほら、言うでしょ?
猫が右手を挙げるとお客を招くって。
シルリアお姉ちゃん、それは
猫じゃなくて "招き猫" だよー。
さあ、忙しいんだから
テキパキと動かないとね。
お客を待たせるのはダメよ!!
プラム、シルリア……2人の
カフェ営業は今日も元気に開店中――。
(シルニャン、レブニャン……
色々とありがとねっ。)
次回、ティブルエイド序盤最終話
第019話へ続く――。
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