第089話:邂逅相遇!インディム街道の酒場「ブラウン亭」!!
文字数 7,686文字
邂逅相遇とは……
偶然の出会い、思いがけずひょっこりと巡り合う事。
あーーーーーっ。
ホントにボクと同じ名前のお店だ。
シルドラ君、行ってみようよ!!!
もしかしたらさ、
ブラウンのように栗頭の髪型をしている
奴等が店員を務めてるんじゃないのか!?
何ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!あっちもこっちもそっちもどっちも
栗頭のバーゲンセールやないかい!!!
俺、こんな酒場イヤだぞ!!!
ちょっと!!! 勝手に
ボクの頭で名言を生み出さないでよ!!!
何処かの誰かさんが語録と言った
データ集に追加しちゃうじゃんかー。
ぷんぷんっ!!!
もし追加したら懲らしめようっと!!!
前回のあらすじ。
エレメンツエアーの
滑走路にスタンバイされていた
ランバード専用の愛翼セルリアンウイング。
機長である彼を除き計5名。
無事に搭乗の手続きを完了し、
離陸を果たした航空機は空大陸へと向かい
シルドラ達は窓から見える大空の景色を眺めながら
機内での空旅を心行くまま楽しんでいた。
時は同じ頃、
中央都市スカイテラスの大広場では
リザレアが護衛隊の先頭を切り、今日限定の
王冠特別展示の指揮を執っていると、未だに謎が多過ぎる
犯罪プランナー、グランザがその様子をずっと監視。
何か仕出かすつもりなのか?
****
空大陸エアフォース第1ターミナル。
手荷物検査場を抜けロビー。
相変わらず人混みがヤベえ!!!
ってか、さっきの空港より何か凄くない?
ああ。レブロンの言う通り
エレメンツエアーより倍以上の観光客……
いや、冒険者の乗り降りがあるんだろ!?
その通り。特に此処は第1ターミナル。
旅行会社と提携を組んでいてな……
そこの社員が激推しする
選りすぐりの観光名所がある大陸へと
行ける便が発着してるんだ。
じゃあ、もしかしたらさ
さっき機内でシルドラ君が見てた
グラスオーヴィって言う酒場も行けるの!?
ん?
あっちの世界に行くなら
第2ターミナルに移動しないとダメだぞ。
ああ。第2ターミナルは
技師の町「マギアルクラフト」出身の
オルテガ君と提携を組んでいる。その為
お互いの大陸を航空便で移動が可能なんだ。
俺は是非とも
バルクピースアイランドに
足を運んでみたいけどな。
ちょっと待ったああああ!!!!
バルクは筋肉用語で筋肉量を増やし、
身体を大きくする事。もしかしてその大陸は
筋肉の筋肉による筋肉の為のマッチョ
御用達の観光名所なのでは!?
登場キャラクター全員
筋肉が発達してると聞いた事があるぞ。
何だと!!!!
シルドラ、変更だ!!!
俺はバルクピースアイランドに――
ありがとうございます。さあ、レブロンさん。行きましょうか。
ひ、引き
摺らないで!!!
シルドラさん、いやシルドラ様!!!
あはは。いつもはボクが火に油を注ぐけど
怒ってるときのシルドラ君って
本当に怖いんだね……。
少し位はシルドラに
お灸を据えられれば良いんだ。うんうん。
おい、聞こえてるぞ!!
そんな白状な事言わないでくれ!!!
よし。そうなら
あそこの土産処に試食コーナーがあるから
あたいと一緒に行こうか?
筋肉は何しに空大陸に来たのかな?アハハハハハハハハハハハハハハ。
ひ、ヒイッ!!
申し訳ございませんでしたああああ!!!
ランバードさん、何から何まで
お世話になり色々と有難うございました。
おう。この
空大陸では
ティブルエイドと違う文化が味わえる。
先ずは色んな商店が立ち並ぶ
インディム街道に寄ってみると良いさ。
聞いて驚くなよ!
ズバリ、この大陸特産の食材を使った
地産地消推進店舗が立ち並んでいるぞ!!
おい、シルドラ!?
地産地消ってどういう意味か分かるか!?
確か、
地域生
産と
地域消費の略語ですよね。
この大陸なら空大陸で生産された様々な
生産物や資源を此処で消費する。
そのメリットは色々で
季節にあった旬の物を食べられたり、
食文化や特産を理解し合う事も出来ますね。
と言う事は、地酒が
飲める酒場もあったりするのか!?
勿論。地酒名は
「コードリックス」。
爽やかな飲み心地で誰にでも飲める一品だ。
そのお酒もインディム街道の
ブラウン亭に行けば提供してくれる。
これって現に言う「運命」だよね!?
ボクの名前が店名になってるなんて!!!
そうですね。
特に明確な目的地が無いので
教えて貰ったそのお店に行ってみましょう。
じゃあ、俺は通常勤務に戻らさせて貰う。
セルリアンウィングの機内清掃と
点検をしないといけないからな。
心行くまで
空大陸を堪能して来てくれ。
また時間が合えば会おう。
ランバードと
お別れを果たしたちょうどその時、
エアフォース第1ターミナルに続く
もう片方の道からライガーの知り合いと思われる
"男性2人" が手を振りながら彼を迎えにやって来た。
【????】
あっ!!!!
やっと休暇から戻って来たか!!!
【????】
もうっ。ライガーさんが
ティブルエイドに長期休暇に行ったせいで
いつもの数倍働かされていたんですよ!!
おっ。わざわざ
空港まで迎えに来てくれたんだな。
ガルニアにレオード。恩に着るぞ!!!
【ガルニア】
へへ。リーダーからお迎えの指示が下された。
ティブルエイドへの長期休暇ご苦労様。
姉妹には無事に会えたのか?
ああ。どんどん洋菓子作りの腕を上げてる。
料理に情熱を捧げている気合いを
見せ付けられたぜ。
【レオード】
じゃあ、これで
心置きなく作業に戻れますね。
当たり前だろ!!!
気分は最高潮に達してるんだ!!!
今なら大量の鉱石や宝物を発掘出来るぜ。
あっ、そうか……。
まだ2人の自己紹介してなかったな。
よう。ティブルエイドの英雄さん。
噂は空大陸まで届いてるぜ。
オレの名前はガルニア。
ここで会ったのも何かの縁だ。
これから仲良くしてくれると嬉しいな。
ん、あれ!?
ボクの見間違いじゃないよね!?
左右とも瞳の色が違うんだけど、何で!?
驚かして済まねぇな。
オレは左右の眼で虹彩の色が異なる
通称オッドアイなんだ。
ははっ。そんなに心配してくれるとはな。
全然気にしてないから安心しろ。
そして、俺がレオード。
この空大陸で炭鉱や遺跡の発掘作業を
進めているチーム"ディグライズ"の構成員を
ライガー達と共に務めている。
ざっくりした紹介はこんなモノかな。
と言う事は、
ライガーさんとも此処までですね。
レブロンさんがいつも以上に迷惑掛けて
すみませんでした。
良いって事よ!!! ティブルエイドから楽しかったからな。
お前等が愉快な奴等で俺も
ずっと退屈しなかったぜ。
いつの間に俺の母ちゃんになったんだよ!!
ちょっと羽目を外しただけだろ!?
シルドラにいつまでも説教されてるようじゃ
筋肉が台無しだぜ!?
それとこれとは関係ない!!!早く仕事に戻ったらどうだ!?
ライガーさんもお仕事頑張って下さい~。
いつか現場見学に行きますね~。
うわああああああああん。
ティブルエイドから
ずっと行動を共にしていたランバードにライガー。
いつかこの空大陸の何処かで再会する事に
期待を膨らませながら、お別れを果たし
シルドラ達は紹介されたインディム街道へと
周辺の散策をしながら向かう事に。
****
歩くこと20分。
お手洗いだよ!!
さっきからずっと我慢しててね!!!
早くしないと漏れるー!!!
多分あの白い建物がトイレじゃないのか?
良く見かけるマークがあるからな。
あっ、あれか!!!
レブロンさん、教えてくれてありがとー。
ちょっと行って来るね!!!
それにしても上空に居る事を忘れる位
空気が美味しいですね!!
一本道を
逸れて
少し小高い丘の展望台近くにある
公衆便所に立ち寄るブラウン、休憩スペースで待機する
シルドラ達は此処から見下ろせる景色と
美味しい空気、見慣れない小鳥や
少し離れた所にある綺麗な水源地、様々な
色に熟す実が成っている樹木。
そのどれもが空大陸の
未だ見ぬ魅力と此処ならではの
また違う自然を1つ1つ肌で実感させてくれる。
1つだけ拝借しても大丈夫だろ。
減るもんじゃないし。
あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ!!!!か、辛すぎるうううううううううう!!!
きょ、興味本位で
赤い木の実食べたら辛かったんだ!!!
し、シルドラ……水飲み場は何処だ!?
あっ。多分ブラウン君が行った
公衆便所辺りにあるかもしれませんね。
おう、分かった!!!
俺の口と喉が緊急事態だ。
早く水を補給しなければならない!!!
待ってろ、水飲み場ー!!!
レブロンさん、そっちじゃありません!!
こっちですよ!!!
ティブルエイド編
第7話で初めて対面したレブロン。
今まで見た事がない、類を見ない速さで
公衆便所がある階段を駆け上り、裏側に設置されている
水飲み場に辿り着き、水浴びをするかのように
ガブ飲みをして口内を冷やさないと!と
蛇口を必死に掴むしかなかった。
どうした? レブロンの
叫び声がこっちまで聞こえて来たぞ。
どうやら見慣れない
赤い木の実を食べたみたいで
その味があまりにも辛かったみたいです。
あたいが散策してた
小道にも色んな果実が成っていたけど
味が未知数だから、もぎ取るのを止めたぞ。
シルドラ、
リンクリングが鳴ったぞ。
何処かボタンを押したのか?
いや、何処も押してないと思いますよ。
今、確認してみますね。
最新のデータを確認致しました。アップデートしますか?
▸はい いいえ
あっ。確かアジールさんが
言ってたリモート機能が追加された最新版。
ようやく更新出来るようになったんですね!
これでお前のリンクリングも
更に出来る事が多くなった訳だ。
ますます便利な時計になって来たな。
最新データをダウンロード完了しました。第1弾アップデート記念として
冒険者全員に最新フレームを
プレゼントいたしました。
今後とも第2弾、第3弾と
冒険者の皆様に愛されるリンクリング機能実装を
予定しています。今回は更新の方をして頂き
誠に有難う御座いました。
いつか、リンクリングを
開発する制作現場を見学してみたいです!!
(ふふ。その製作会社が
空大陸終わった後に訪れる事になる
深緑大陸 "スティンゼア" に設立されてるのは
今はちょっと言えないけどな……)
冒険者全員待望の
リンクリング第1弾アップデートが遂に実装。
新たなリモート機能が追加される最新版に誰しもが
胸を踊らせながらも、シルドラは即座に更新。
その一方、洗った手を
クマさんハンカチで拭きながら
階段を下りて来るブラウンと同時に
辛味のある実を食し、口と喉が緊急事態と化した
レブロンも水をがぶ飲みし終え、まだ完治はしてないけど
少しは沈静して来たようで、シルドラ達が待つ
休憩スペースへと戻って来た。
おーい。遅くなってゴメンね。
出すもの出したから、もう大丈夫っ!!!
さてと、皆さんが戻って来ましたので
インディム街道へと向かいましょうか。
よし。気分を新たに酒場に向かうぞ!!!
コードリックスが飲みたい!!!
元の道に戻り、歩く事
15分。
ようやく辿り着いたこの場所こそ、
ランバードが紹介してくれた「インディム街道」
木製の建築物で軒下にはこの大陸で採れた
色とりどりの食糧品や工芸品を販売している
売り手の皆様が自分ブランドの商品を
買って貰う為に精を出している模様。
まさに此処は戦場――。
いらっしゃい、らっしゃい!!!
早朝採れ立ての自家野菜、食べると美味。
このトマックは特にお買い得だぜ。
今なら10ジャラから5ジャラに
値下げしちゃう!!!
全て1から
拘り抜いた自家農園で
育てたキャリージュは如何ですか?
瑞々しく、齧ればシャキシャキ。
そんな貴方を魅了させちゃう事
間違い無し!!!
うわあー。何かティブルエイドでは
あまり見ない光景だね。
皆さん、生計を
立てる為に必死なんですよ。実際に
こうやって産地の方々が農作物を1から育て
商品として手に取って欲しいが為に
直売を行い、収入を得るんですよね。
此処が、この場所こそ、
ランバードから教えて貰った酒場。その名は――
あーーーーーっ。
ホントにボクと同じ名前のお店だ。
シルドラ君、行ってみようよ!!!
もしかしたらさ、
ブラウンのように栗頭の髪型をしている
奴等が店員を務めてるんじゃないのか!?
何ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!あっちもこっちもそっちもどっちも
栗頭のバーゲンセールやないかい!!!
俺、こんな酒場イヤだぞ!!!
ちょっと!!! 勝手に
ボクの頭で名言を生み出さないでよ!!!
何処かの誰かさんが語録と言った
データ集に追加しちゃうじゃんかー。
ぷんぷんっ!!!
もし追加したら懲らしめようっと!!!
ブラウン亭、店内。
焦げ茶色の木目調に
仕上げられているカウンターに
数カ所に置かれている
グランドヴィードルと言った観葉植物。
出入口扉には西部劇でよく見かける
スイングドアに近い物。天井から吊り下がっている
照明器具まで何から何まで店員の拘り。
うわあー。何かお酒臭いね。
昼間から大の大人がガブ飲みしてる。
凄い光景見ちゃったな、あはは。
ちょっと!!!ブラウン君、言葉には気を付けて!!!
だって、あれ見てよ!!!
カウンターでグラス片手にして
寝てるんだよ。気になるじゃんかー!!!
【ヴァーロン】
うぅ。5杯も飲んだ。
こんな気分は久しぶりだな。
おい、マスター。
店にあるコードリックス全部よこせ!!
俺が飲み干してやる!!!
あれ?
彼以前何処かで見た覚えが。思い出せないな……。
辿り着いたブラウン亭で
思い掛けない再会を果たした
幻惑の紅ギルドマスター "ヴァーロン" 。
次回から物語はインディム街道から中央都市スカイテラスへ。
王冠の特別展示会場に辿り着き、
一波乱の幕が開けるまで
残り2時間――。
そして、公開初日がクリスマスイヴなので
本日は読者の皆様にプレゼント【クリスマス特別短編】を
お送りします。中身は本編とは違う世界線で
ほっこりとした温かい話です。
では、どうぞ。
タイトル「ブラウンのほっこりクリスマス」
雪が降る夜、12月24日。
深夜のティブルエイド。
レブロンさん、残り1軒
ブラウン君のプレゼントだけですっ!
終わったら温かいお家で
一緒にフライドチキンでも食べて
2人で聖夜を心置きなく楽しみましょう。
ただ、空飛べる
トナカイなんて空想だからな!
肌の色が茶色だから扮しただけで
空なんか飛べる訳が無い!当たり前だ!!
分かってますよ。
特にブラウン君は誰よりも1番
プレゼントが欲しいに決まってます。
サンタとトナカイは
いつまでも子供心を忘れない夢を届ける
役割を持って居るんです。裏切るような
行為だけは絶対にしたくありません。
ブラウンに渡す
プレゼントが……無い!!!
何処かに落としたのかな!?
シカのぬいぐるみ!!!
包装紙に丁寧に包んであったぞ。
うーん。今から探しに行ったら
もしかしたら朝になってしまうかも……
くっ!トナカイとして
不甲斐無し!!
穴があったら入りたい!!!
シルドラ!!!
済まない。これから俺がする事を許せ!!
分かりました。
ブラウン君を幸せにしてあげて下さい。
おはよー! さてとボクの
クリスマスプレゼントは届いたかな!?
えっ!? 思ってた物より
何か立体感があるんだけど……
シカのぬいぐるみ、だよね!?
いや。お前の心の声で動いている。
ずっと両親が居ない寂しさに駆られていた
ブラウンの元に俺が届いた。
あーあ。今年の
聖夜は1人か。
僕からもレブロンさんにプレゼントが
あったんですけど……
仕方ありませんね。
このギフトは来年渡すとしましょう。
皆さんも
素晴らしいクリスマスになりますように。
良い2日間をお過ごし下さい。
以上、今年のクリスマス特別短編
ブラウンのほっこりクリスマスでした。
楽しめましたでしょうか?
それと、今年の
キズナ・ワンダーランドの公開は
この話で終了となります。次回は正月明けの
初週の予定となっています。
今年も沢山の方にご愛読して頂き
本当にありがとうございましたっ!!!
2022年は今年以上に主要キャラ陣と
大空を駆け巡る年になりそうです。
来年も引き続き、
僕達のドタバタ騒ぎの大冒険を
ご堪能と共に応援の程宜しくお願いします。
あっ、ちょっと待って!!!僕を置いてかないで下さい!!!
それでは、残り少ない12月
悔いの残らない1日1日をお過ごし下さい。
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