第043話:緊急事態発生!ヴァンウッドとシノヴァシアに訪れる危機!!
文字数 4,245文字
禁じられた場所、シノヴァルド――。
ホットソープに行く筈だった狐族、
ランザー達は道中の森で迷子になり立ち往生。
咄嗟の判断で、茂みの中に入ると
何もない大きな空き地へと到着する。
其処で偶然に居合わせたのは、
レブロンのフレンドモンスター、グレント。
廃れている現状だけど、かつてこの土地には
狼族とフレンドモンスターが共存していた里が栄えていた。
シノヴァルドか……
こんな辺鄙な場所にきちんと
里があったのか。物思いに更けていた所
呼び止めて済まなかったな。許してくれ。
私も言葉足らずな箇所があって
申し訳御座いません。この里はかつて
フェルマータ城にて現在幽閉されている
狼族のヴァル様が長を務めてました。
しかし、彼を恨む
裏切り者が
居たなんて驚きを未だに隠し切れません。
もっと早く気付いていれば……
シノヴァルド、シノヴァシア。襲撃したのはヴァル様では無く、別人。
彼に恨みを持つ者の犯行。
そうね。
長って私達の島にも居るでしょ?
住民からの信頼が無いとなれないのに
勝手な判断で裏切ったのよ。
だから、裏切り者って言う事か!!
冗談じゃねぇぞ。俺達も手伝ってやりたい。
心当たりがあるなら教えて欲しい。
違う種族でもお手伝いして頂けるのですか?狼族は狐族とは違い、容姿が怖い。
それに比べて狐族は嗅覚と聴覚が鋭いから
一瞬にて相手の人間性を判別してしまう。
それでも……
そんな事関係無ぇじゃねぇか!!
俺達が助けたいって言ってるんだぞ。
種族が違っても同じ生きている同士。
目の前に困っている奴がいる。
それで十分じゃねぇか!?
そ、そうですね……
今は人の手も借りたい程。失言の程
御許し下さい。物は相談なのですけど、
この周辺で、素性を隠している人物を
目撃しませんでしたか?
身元の事ね。育った環境や
その人の職業や経歴。要するに
グレンドさんが言いたいのは、見た目で
判断出来なさそうな人物を此処に
来るまでに見掛けたか。
物分かりが早いですね。さすが
狐族の皆様です。それで心当たりの方は?
そうだな。強いて言うなら……さっき、
森の中で赤い服を着ている奴を見掛けた。
何か処刑がどうとか言ってたけど、
俺達には知らない事ばかりだった。
(赤い服と言う事は、フランバージュ。
やはり其処に辿り着きましたか。しかし
メンバー内で怪しい人物と
おっしゃると……)
(頭領を務めているアレドシア様……
常に眼帯と黒マスクを身に着けており
外部との接触を好まない。まるで
自分の身を守るかのように。ん?)
ティブルエイド編で
1番怪しい人物と言えば、フランバージュにて
リーダーを務めているアレドシア。未だに謎に
包まれていて、誰も彼の本当の素顔を
見た事が無い。メンバーの前でさえ
自分の事を語ろうとしない。
1つだけ言うなら、
ヴァルの処刑の事しか考えてない為
積年の恨み、或いは憎しみがこれ程までに
募る相手なのか。彼の正体が後1歩の所まで近付く中
物語は森の奥へと足を運ぶ――。
****
ヴァンウッドへと続く、一本道。
ホットソープを後にした
シルドラ達はヴァンウッドの森へ入る関所に
差し掛かり、危険な代物を所持していないかの確認の為
森林警備隊の人達の指示通りに
身体検査を受けていた。
お。元気があって宜しい!!
ありがとな。じゃあ、ボディタッチ
良いかな?
それにしても、君の身体は凄いな。
万が一の時、その鋼の肉体を自信持って
頼っても良さそうだ。
もちろん! その時は
期待に応えられるように頑張ります!!
そうですね。
僕の名前はシルドラ=ロッド。
宜しくお願いしま……
はぁ、はぁ……
実はさっき何かにチクッって刺された
感じがして。それ以降痛みが止まらなく……
ぶ、ブルーノ様!
もしかしたら、今ヴァンウッドと
シノヴァシアを悩ませているあの虫の
仕業かもしれません。だとしたら、早急な
対処をしないと命に危険が……
ブルーノさん、お願いだ!
シルドラを早く治してあげてくれ。
俺の一生のお願いだ。
一先ず、シャノンさんを呼んで
旅人の館で療養させましょう。取り敢えず
身体を休ませる為にそこの茂みの上で
横になって下さい。
あたいが寝かせてやる。おい、シルドラ!
大丈夫なら返事をしてくれ。
大丈夫だ。今治療をしてくれるシャノンって
言う奴がこっちに向かっている。
もう少しの辛抱だぞ!!
シルドラは苦しみを訴えつつも
ミルフの表情を目にして、
まだ自分は大丈夫だと
安堵の息を付き、そのまま気絶してしまった。
ブルーノさん、まだシャノンさんは
到着しないんですか!?
多分もうすぐ到着するんですけど……
何で到着早々に!!!
ヴァンウッド、そして忍者の里シノヴァシア。
現在、該当する2箇所にて長の
頭を悩ませている "とある問題" に直面していた。
シルドラはその被害者となってしまい
雲行きが怪しい波乱の幕開けとなった。
****
フェルマータ城――。
処刑が免れない狼族ヴァル=バーンズ。
フランバージュのメンバー、アッジにより監視されている中
遂に彼が眠りから目覚めようとしていた。
おっ。お前さん、ようやく起きたな。
ワイの声が聞こえるか?
よし。確認させて貰うぞい。
名前はヴァル=バーンズ、間違い無いか?
じゃあ、お前さんが此処で首輪を
付けられている理由はもちろん
把握済みだよな。
本当なんだ。気付いたらこんな物騒な
場所に無理矢理連れて来られて
この有り様に……。
着ている服も見に覚えが無い。
誰かが無理に着させた感じがして。
往生際が悪いぞ!
ウソはいつかバレるんや。お前さんが
シノヴァシアを襲撃したんやろ?
し、知らない。無実だ!
それにオレはその里に恩がある。
そんな場所を襲撃する訳無いだろ。
信じてくれ!!!
まさか、アレドシア様が
嘘を付いてるとでも言うのか。
そんな訳無いねん。増してやリーダーやぞ。
アレドシア様か?
容姿なら特徴的な髪型をしている。
そうやのう、リーゼントに近いかもな。
他に何か無いのか?
例えばあまり表に出たくないが為に
素顔を隠してるとか。
えっ!?た、確かに右目に眼帯していて
黒いマスクを身に着けてるな。ワイ達に
本当の顔を見せたことも無い筈だ。
長年の付き合いだからな……
眠りから目覚めたヴァルは
フランバージュのメンバーであるアッジと
会話を交わし、自分は無罪だと主張する……。
忍者の里を襲撃し、
本当の首謀者によって
濡れ衣を着せられてしまった上に
連行されてしまい、不気味で薄気味悪い
フェルマータ城1階奥の小部屋に幽閉されてしまった。
しかし、その中
リーダー、アレドシアの容姿を聞いた途端
冷や汗を掻いてしまい、声を籠らせてしまう。
その様子だと、ヴァルは彼の事を
知ってる事になる。
例え、どんな少ない手掛かりでも
少しの希望を見出す為に、それぞれが今動き出す……。
****
ヴァンウッド、旅人の宿――。
慣れた手付きしてるんだな。
凄いぜ。あたいなんか傷負ったら
その辺にある葉っぱをくっ付けるだけだぞ。
シャノンさんはね、
ハービングライセンスって言った
様々な植物を調合して1つの薬を作る事が
出来る免許を持ってるんだよー。だよねっ?
そうね。ここは私の治療室のような所。
作業台の上のケースには採取した
葉や花を粉末状にして、特定の
液汁を加えて練り上げた薬が
沢山常備してあるわ。
良かった……。
確か、後少しでも遅かったら
危なかったんだろ?
首元が少し紫色に腫れ上がっていた。
毒では無いんだけど、害を成す液体が
シルドラさんの身体に流れ込んだに
違いない。本当、危なかったわ。
確か、シルドラが
何かに刺されたって言ってたな。
お前等はその正体を知ってるんだろ?
ええ。現在ヴァンウッドと
シノヴァシアは今その問題で
持ち切りなのよ。ルミシー様。
おっしゃっても宜しいでしょうか?
一大事だもん。
ブルーノ様も問題視しているので
みんなにも聞いて貰う権利はあります。
俺達で良かったら話してくれ。
シルドラを助けてくれた恩返しがしたい。
実はですね、最近この周辺に
私達の森や里の住民を襲撃する複数もの虫が
多発しているみたいなんです。
シルドラさんの他にも被害者が
出ている状況でして……
残念ながら、コレッタさんの
報せで
昨日と今日合わせて3人の
被害者が出たらしい。
でもさ、おかしくない?
何で急にヴァンウッドとシノヴァシアを
襲撃したんだろうね。人を襲うのって
我を忘れて他人を攻撃するって前
父さんから聞かされた事あるんだけど……
あっ、そう言えば
ブラッドバッドの時もそうだったな……。
えっ、ミルフさん!!
その生き物って蝙蝠ですよね?
ブラッドバッドも、その虫も
住処を奪われたから僕達を腹いせで攻撃して
来たかもしれません。両方ともこう言った
薄暗い場所を好む生物。だとしたら
その生息地はただ1箇所。
場所は……
全ての元凶、
フェルマータ城。
目覚めから覚めたヴァル。
グレンドが語るシノヴァルドの真実。
現在、森と忍者の里で起きている虫騒動。
事態は遂にシルドラも巻き込み、
物語は更に加速する――。
次回、襲撃してきた虫の正体、彼の
更なる快復に向けてブルーノと共に奮闘し始める。
そして、伝説の操縦士フラジーが復活?
第044話へ続く。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)