第050話:レブロンに迫る危機!闇夜のフェルマータ城とアレドシア!!
文字数 4,607文字
旅人の宿で、
何気ない時間を過ごすシルドラ達。
それとは裏腹に
ヴァンウッドの森とは違う場所で、
フランバージュ、メンバー間での関係が
大きく左右される "とんでもない事態" が進行していた。
※ このお話ではPM9時からPM11時迄の
出来事を描いております。
フェルマータ城――。
アレドシア様、
ブルーノ様からの伝言を預かっています。
申し上げても宜しいですか?
は? 何でや?
必要不可欠な存在やろ。
何処に裏切る要素があるんや?
奴は少しずつ
フェルマータ城に近付いている。
もしかしたら僕達の計画に気付かれている
可能性も少なくはない。早くアイツの
仲間ごと何とかしないといけない……
例のネックレスも隠していた。
それをヴァルの目の前で壊すのも容易い。
くだらない絆なんかで繋がってるからな。
しかし、渡さない所か見せる
行為もして来なかった。
じゃと、ワイ等の計画はどうなるんや。
実行に移せないじゃろ。
その件に関しては大丈夫だ。
万事レブロンが動いているからな。
おい、私の声が聞こえなかったのか。
どんな状況下に置かれても呼ばれたら俊敏に
行動に移す。それがフランバージュの掟だ。
忘れたとは言わせない……
レブロン、お前まだ
シルドラの事吐かないのか?
吐いてしまえば後が楽だぞ。同じメンバーに
出来れば暴力はしたくないんだ。
分かってくれ……
…………。
ブロス、済まん。
アイツの友情を売るのは無理な話なんだ。
いつまで絆とか友情に縋ってるんだ?
お前それでもフランバージュの一員か?
良い加減気が付けよ!!
安易に回答をしない。それ程
シルドラっちゅう奴と沢山想い出を作って
ワイ等の元に戻って来たと言う所やな。
(余計な感情が入ると
計画に支障を来たし兼ねない。仕方ない。
多少強引だけどこの手で……)
おい、ブロス。
ほら、レブロンのリンクリングだ。
加入した当初から私が預かっていた。
目の前で踏んで壊してやれ。
その声はとても弱弱しく
いつもの本調子じゃない。それもその筈。
ずっとアレドシアが預かっていたレブロンの
リンクリングが今から目の前で壊されようとしている。
黙って見ている訳には行かない。
何て言いました?
とても脆い声をしてますよ。
フランバージュのレブロンさんはもっと
やる気に満ち溢れていて情熱がある方だと
僕は熟知しています。それが今は……
シルドラみたいに
彼も絆や友情を深めて行きたい。
本当だったら冒険に出て、色んな光景や
様々な経験を積み重ねて行きたかった。
時計を通し色んな人との交流が
出来なくなると、彼は急ぎ足で壊される前に
リンクリングを取り戻そうとする。
しかし、ほんの数秒遅かった。
ガチャンッ と重みを増したブロスの足が
長針、短針、秒針が組み込まれているガラス部分を
割られてしまいそのまま使い物に
ならなくなってしまった……
ほら、見ろよこの時計の
残骸を!
粉々になったからもう使えねぇなあ。
な、何で俺のリンクリングが
壊されないといけないんだよ……
お前は用心棒だろ。自覚が無いから
そうなった事分からないのか?
まあまあ。グラッツ……
目前で大切な代物を壊されて情緒を
乱さない人はほぼ居ない。もっと
レブロンを察してやってくれないか?
俺は自分の居場所を
見つける為にアレドシア様の味方になった。
もし空気が淀むようならいくらでも
フランバージュを辞める手筈だ。
ふん。何の貢献もしなかった
ロギュアが大した口を叩けたな。せいぜい
逃亡したゼルガスを見つけて
来た事だけじゃねぇか。馬鹿言うなよ?
馬鹿は言っていない。
俺達みたいな年配より若い芽が活躍している
姿を間近で見て居たかっただけ。
それでも何か文句があるなら聞くぞ。
まあ、いい。
残りの爆薬は全部こちらで仕掛ける。
ロギュア、レブロンを頼んだぞ……
地面に膝を付けて
壊れているリンクリングの壊れた欠片を
1つずつ掻き集めながら、ずっと下を向いてしまい
何にも言えない状態へと陥ってしまう。
計画が失敗した際に
フェルマータ城諸共海に沈める算段を執っている為
緻密な計算と致命的なダメージが加わるように
皹がある所を正確に爆破させる爆弾を
レブロンが1つずつ仕掛けていた。
何とかロギュアの機転により
アレドシア様やブロス達は残りを仕掛ける為に
その場を後にする。
ロギュア、お前も行けよ!
どうせ俺なんか役立たずなんだろ?
確かにチームの為に
自分の力を発揮しない所は役立たずかもな。
だったら構わないで
さっさとアレドシア様の所に行け!!
俺は自分の意思で此処にいる。
お前を放って置けない。安心してくれ。
フランバージュじゃなく一個人としてな。
自分で言う事じゃないけど、
人が好過ぎるだけだ。場所を変えて
じっくりとシルドラの事教えてくれないか?
別にチクったりしないから安心しろ。
****
フェルマータ城、
罪を犯した者を捕らえて置く小部屋――。
天井が見えない程の高さを誇り
周りには磨かれた岩が敷き詰められていて、1つだけ
窓が嵌めてあるけれど鉄柵で外に出れないように
取り付けられている。
ブロスに殴られてしまい
気絶してしまっていたゼルガスの元に
やって来た2人。レブロンと同じように
彼の事も放って置けないようで、他メンバーの忠告も
無視しては様子見に訪れていた。
おうよ! お前の
手当てのお陰でピンピンしてるぜ!!
それに美味い飯も食わせてくれるしな。
感謝し尽くせないぜ。
なら良かった。
レブロン、扉の後ろに
隠れてないで彼と話したらどうだ?
お。アイツがいるのか!
ずっと話したかったからな。
クラムビーチ以来だから募る話もあるだろ。
それこそ土産話だ。じっくり聞かせてくれ。
ロギュアや
ゼルガスに励まされてばっかりだな。
でも、お陰で気が楽になったぜ。
礼を言わせてくれ。
お礼の事なら、後に
ブルーノ様に言ってくれると助かる。
ホットソープにて彼から君達の保護をして
欲しいと申請をして来た。この一件は
グラッツも噛んでいる。信頼して大丈夫だ。
俺はこう見えて
レブロンを支持している。
アレドシア様やブロスの言動は何処を
どう見ても可笑し過ぎる。いや……
頭がイカレてると言ってもいいだろう。
それ程あの2人が憎いのかもな。
別に気にする事では無い。それより
シルドラの事は話さなくても良いのか?
やっとシルドラの話題か!
待ってました。どうだ、レブロン。
別れる時まで楽しい一時は過ごせたか?
アイツか。あれから
ヴァーズメルトでケーキ食べたり
マリーナブルーとか数々の観光地を
巡ったんだ。どれもこれも俺にとって
楽しい思い出でな。
お前の笑顔はシルドラが
導いてくれたんだな。以前の顔付きとは
格段に違う。努力して克服した証だ。
そうだ。どんな困難に立たされても
絶対にその笑顔を忘れるなよ。
何だよ! 楽しそうじゃないか。
フランバージュなんか辞めてシルドラ達と
冒険していた方が俺は楽しいと思うぞ。
アレドシア様は当時
自分の雰囲気に酷似している者達を
1人ずつ発掘していた。おそらく彼にとって
レブロンがそうだったんだろう……
ハァ!?
人を見た目で判断するなよ!!
第一印象で決めるより、実際に会って
話して気が合えばそいつが同じメンバーに
相応しい筈だ。それがいずれフランバージュの
リーダーとなるそいつのやり方か?
舐め腐ってるだろ……!!!
気になって来て見たら、ゼルガス……
アレドシア様に対しての暴言か!?
小部屋の扉を蹴り倒し
殺意のある目でゼルガスの首を
ブロスの右腕でガシッと鷲掴みして、
鑢で磨くように石の壁に押し当て、頭を擦り始める。
その光景はまるで狂気そのもの。
ふん。
恥晒しも
甚だしいなあ。
良い気味だ!!!
いてて……
おい、止めろ!!!
痛てぇじゃねぇか!!!
おい、ブロス!!!
お前、人の頭を何だと思ってるんだ!?
見てみろよ。綺麗になっただろ。
汚ねぇフェルマータ城を磨いてやったんだ。
針金のような髪しやがって。
ふざけるな!!!
この髪型は航海する前に
息子のシルヴェスに散髪して貰ったんだぞ。
気に入ってたのにどうしてくれるんだ!?
だから、どうした。
家庭内事情など僕には関係ない。
我等リーダーの侮辱をした罰をしたまでだ。
馬鹿共は大人しく薄暗い部屋で
泣いてれば良いんだよ!!!
どうした平和主義者?
とんでもねぇ性格だな、ロギュア。
お前ずっとこいつ等の面倒を見てたんだろ。
だから、どうした!!!俺は子持ちの父親なんだ。家庭を支える
大黒柱として我が子を可愛がる事と
面倒を見るのは同じだぞ!
それが親って言うもんだ!!親目線でゼルガスやレブロンと接して
何が悪いか説明してみろ。言えねぇで
自分はリーダーの右腕だから、下っ端には
年配だろうが構いはしないその態度
改めたらどうなんだ?
レブロン、
お前一体何を求めてるんだ?
正直に言ってみろ。別に怒りはしない。
さっきも言った通りだ。
俺はヴァルもゼルガスも処刑したくない。
そもそもその行為自体が間違ってる。
考え直してくれないか?
おいおいおい!
今更何言ってるんだ?
馬鹿も休み休み言ったらどうだ。
そんな……
アレドシア様らしくありません。
僕は道で倒れている所、貴方に
助けて貰った御恩があります。チームの
一員として色々貢献していると言うのに。
あの時、何かに
チクッと刺された感触だけは覚えてる……。
そのまま意識が無くなって倒れ込んだ。
目を覚ました時は
まだ活気があったフェルマータ城の
ベッドの上に居てな、そこでアレドシア様と
初めての出会いを交わした。
おい、ちょっと待てよ!
と言う事はこの城の所有者って……
現在の時刻、PM11時――。
明らかになったのは
現フランバージュのリーダー、彼こそが
今のフェルマータ城の所有者。彼はファーラックと言った
名を持ち、ティブルエイドに住む
有権者として知られていた。
少しずつ明らかになるアレドシアの正体。
ただ、今の彼に勝てる者は誰1人として居ない……。
次回、
更なる仕打ちがレブロンを襲う。
それぞれの想いが更に激突し、遂に始まる
ブロスとの喧嘩。ゼルガスも再び窮地に立たされてしまい
大ピンチに。そして遂にフラジーが
壊れたリンクリングの存在を知ってしまう。
旅人の宿にも動きが……。
第051話へ続く。
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