第004話:リンクリングへ続く道!ティブルエイドでの邂逅!!(後編)
文字数 3,323文字
ここは港町「ビューウェーブ」。
海の玄関先であり、マリンスポーツや
様々なアクティビティが楽しめる大陸
ティブルエイド内でも有数な観光地――。
無事に辿り着いたシルドラは屋台から匂う
魚の香ばしい匂いに誘われ、お腹が空くけれど
この大陸の通貨が一銭もない状態。ただ、食べる為には
お金を出さないと言けない彼の優しい性格から
自分の財布を出そうとした瞬間……
突如ぶつかってきた泥棒に奪われてしまい、『えっ!』と目を疑っている様子。
****
時間は経ち、盗られてから15分後……
泥棒を追い掛けている様子だけれど、少しずつ
息が切れて来て、少し苦しそうにしている……。
はぁ……、はぁ……。ちょっと待ってよ。
何で僕のお金を盗るんだよー!!
財布の中に大事なモノが入ってるのにー。
言っただろ? 最近違う大陸の
通貨の相場が一気に高騰したんだぜ。
特にクロスウッド、そうお前の出身大陸だ。
だからずっと狙いを定めてたんだ!
だからー、盗る行為が
間違ってるって言ってるんです!
その様子だと他にもやってるでしょ?
謝らないなんて酷過ぎます!!!
んだと、ゴラァ!?
武器も持って無い奴がいっちょ前に
話すんじゃねぇよ。もう怒った。だから
平和主義者は嫌いなんだ……。
まず、お前から片付ける! いいな!!
シルドラの正義感溢れるセリフにより
泥棒は平常心を乱し、乱暴的になってしまい
素手を振り上げて彼を攻撃しようとする……
****
その頃、
さっきまでビューウェーブ近くの崖でトレーニングを
していた女性格闘家を目指して冒険中のミルフが
鍛え上げた足の筋肉をフルに活かし、
出店の屋根を1つ1つ走りながら移動していた……
ピュアブルーって言うのは此処か。
賑わってるな! こういう街好きだぜ。
ここだったら
リンクリングしてくれる奴が
いても可笑しくないな。素敵な殿方と
知り合えたらそれで本望だ……、ん?
お、なんだなんだ!?
向こうの方で何か一悶着が
起きてるな。あたいの出番のようだな!
今まで鍛え上げた成長を見せられるかのように
シルドラの財布を盗った泥棒と言い争っている
広場へと颯爽に屋根を物凄い勢いでダッシュし始める。
****
ここは港町「ビューウェーブ」の大広場――。
辺りは風船売りや、冷たい飲み物の売り子がいたり
観光し疲れた人の為にちょっとした休憩スペースがある。
ただ、そんな雄著な事言っている暇はない。
シルドラのセリフに反感を覚えた泥棒は
手を振り上げ、彼に向かって暴力を加えようとすると、
近くの路地裏から只寄らぬ威圧感を出しながら
団体「フランバージュ」の用心棒レブロンが
攻撃的な目をしながら彼の元へとやって来た。
滅多に出くわす事がない人物のようで、周辺にいた人も
彼の虜になっていた……
一方、レブロンが大広場に登場した事で「何だ!」と
食い入るように見る観光客、そして沢山の野次馬に
いつの間にか囲まれてしまっていた。
その中には、これからシルドラが触れ合う事になる
2人の人物の顔が確認される。
【???】
リタくん、見てみてー。
レブロンさんだよ! やっぱりいつ見ても
カッコいいよねー。尊敬しちゃうなー!!
【リタ】
もう。番台のラグに買い出しを頼まれたのに
こんな事やっている暇はないのよ。確かに
レブロンさんはカッコイイですけど……。
ビッケさん、私は先に
お暇(おいとま)しても……
【ビッケ】
えー、そんな事言わないでよー。
どうやらあのコの財布を奪った泥棒を
レブロンさんが取り締まるんだよねー。
めげずに頑張れー!!
へぇー、オレ
″赤髪の狼″ って
言われてるんだ……。
喜んで良いのか全く分からないぜ。
さあ、この男性に財布を返してやれ。
困っているじゃないか……!
ぐっ。ダメだ……
こいつの出身大陸はクロスウッド……
各大陸の情勢を知っているフランバージュの
用心棒レブロン様でも分かるだろ?
ああ……、知ってるぞ!
ただ、悪いな。それは
このお話で明らかに出来ん。
それと、あまり暴力はしたくない。
それが ″アレドシアとの約束″ だ……
さあ、返すんだ。じゃないと通告措置を……
通告措置……だと……!
ぐっ……、それだけは止めろ。仕方ない!!
おい、そこのお前。今回だけは見逃して……
何処からともなく女性の声が大広場全体に響き渡る。
もちろんそれはさっきまで急ぎ早に屋根を
走っていたミルフ。なんとか騒動を治めようと
反動を付けて勢いよく泥棒を蹴り飛ばし、撃退――。
財布を落として、蹴られた腹部を抑えながら何処かに
消えて行ってしまう。時間は掛かったけれど
何度か財布を取り戻す事に成功。
ただ、こんな事になると予測して
居なかった為、シルドラとレブロンは
呆気に取られていた……
でも、暴力はいけませんよっ。
何とか喧嘩に至らずにこのお方が解決に
導いてくれたんです!
唐突で申し訳ないんだけど、
あたいとリンクリングしないか?
………!!!
その話をするな。それとオレはそんな
雄著な事をやっている程暇ではない。
そしてシルドラ……、
お前に1つ言わせてくれ!
フェルマータ城には近付くな
……。じゃあな、失礼する。
ミルフの口から
″リンクリング″の話が出た瞬間、
レブロンは突如としてしかめっ面になってしまう。
それは現在、彼、そしてリーダーの用心棒として
深刻な状況に置かれている為、颯爽と
ピュアブルーの大広場を離れていく……
(そういえば、さっきの彼……
僕の事知っていたけど、何処で
知ったんだろう? それに名前を
教えて貰うの忘れちゃったよ……。)
いずれレブロンとは何処かで出会うかもしれない……
例えどんな形であろうとも。
残念だな……。あんな体格の良い彼が
あたいの仲間だったら、冒険の最中
たんまりとトレーニング談義が
出来そうだったのに……
あ、あの……
トレーニングってもしかして
さっきのキックも……
そうだぜ。あたいは女流の格闘家を
目指して旅をしているんだ! そして
現在仲間を募集している。この腕時計
みたいな機械……、ん? 装置って
言えばいいのかな? 見てくれないか?
シルドラはクロスウッド出身。
機械がそこまで発達していなかった大陸なので
彼女が腕にしている時計に目を輝かせながら
いつの間にか釘付けになっていた。
えっ、腕時計って言うヤツですよねっ!
何か時間表記の他に様々なシステムが
組み込まれていそう。えっと、ミルフさん。
どんな要素が詰め込まれているんですか?
よく聞いてくれた!
せっかくだし、あんたと出会った記念に
リンクリングをしたいんだけど……
あ、そう言えばそんな事言ってましたね!
どういう意味なんですか?
詳しく知りたいですっ!!
そうだな。じゃあしっかり聞いてくれよ!
あたいもつい先日
知ったばかりなんだけど……
ここ″ティブルエイド″ から先にある
様々な大陸で色んな人と知り合い、
触れ合うとこの時計にある絆パワーが
溜まる仕組みになっているみたいなんだ。
その際に、時計を翳して
″リンクリング″って言う事で更に
仲を深める事が出来るんだ。
時と場合によっては、もしかしたら
一緒に冒険してくれる仲間に
出会えるかもな!!!
凄い時計なんですねっ!
仲を深めてくれるなんて、
僕の冒険のお供に是非欲しい代物ですー!
何処で貰えるんですかー?
あっ、それとも
買わないといけないのかな……
財布は返ってきたけど、お金が……
安心しな。あんたはこの大陸を
旅する冒険初心者なんだろ? この港町にも
時計を貰える施設があるみたいだ。
せっかくだし、出会った記念として
あたいとリンクリングしてくれないか?
あっ、それともう1つ
言わないといけない事があるんだった……
ティブルエイドから先を冒険する事になると
冒険者専用の服に着替えないといけない……。
当たり前よ。だってこの町の住民からしたら
裸を晒して歩いているようなもんよ……
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