第071話:ブラウン大活躍!?ゼルガス・シルヴェス感動の再会!!
文字数 5,421文字
計画第2幕のあらすじ。
ヴァンウッドの森で
迷子になってしまったブラウンは
レブロンとの喧嘩を執り行う事により、更に
関係性を悪化させつつ、シルドラと繋がっていた
絆に皹を入れる算段を企てていたけど
フェルマータ城に到着した事と
ミルフが思い留まれ、と喝を入れた一言により
アレドシアが企てた喧嘩は失敗に終わってしまう。
ただ、拳を出して
仲間を傷付けた事により更に思い詰めてしまった彼は
もう一緒に居れない、と城内へと逃げてしまう。
このままでは終われないと
遂には爆弾を起動させ、物語は遂に
計画第3幕、そして核心へと迫ろうとしていた――。
****
港町ビューウェーブ。
此処でも
爆破騒動があり、建造物の崩壊と共に
瓦礫の下敷きになってしまったアイナを助け出したのは
上陸した牢獄島の獄長ブレイア。
現段階の状況を把握する為に
遅れて見に来たのは町長であるアジール。
初動部隊の手により
救助された被害に遭った方達の治療は
勿論だけど、一瞬にして吹き飛んだ町役場横の一軒家は
もう見る影も無く、燃えやすい素材を
使用した建築が施されていた事が判明。
まだ消火作業は続いており
未だ黒煙は不吉な予兆を醸し出しながら
上空へと立ち上って行く。
アジール様
現状況をご報告致します。
負傷者は全員で5名。男性が3人で
女性が1人。後女の子が1人、現在
病院の方にて治療が行われています。
現在、消火活動と共に
瓦礫の撤去作業を同時に行っていますけど
今の所、人の影が見当たらないので
留守だった可能性があります。
あ、あれ?
ブレイア様、既に到着なされてたんですね。
ティブルエイドに
上陸したのは狼族連行以来だ。
すっかりと様変わりしたもんだな。
笑うのは
全てが片付いた後にしろ。
現にこの一軒家が狙われたんだぞ。
誰の所有家かは知らんけど、一歩間違えれば
てめぇの町役場が狙われた可能性もあるんだ。
先ずは様子見だな。
ふっ。上空に高性能小型カメラ搭載の
マルチコプター。それに大型モニター
接続可。誰の目にも触れずに操縦出来る
優れ物で有名じゃねぇか。
面白い事をしたもんだな、アレドシア。
俺を本気にさせたのは
てめぇで2人目だぜ。
只、此処からは黙ってないぞ。
どんな策略を謀ろうが、悪は必ず
この手で取り締める。それが獄長の役目だ。
アジール、
噴水広場に案内してくれ。直々に
この俺が住民共に間違いを正してやる。
災害や
町に異変が発生した際に
真っ先に動き出す港町ビューウェーブの精鋭とも
言える初動部隊は常時即応力がトップクラスを
誇るベテラン勢が多い。
牢獄島の獄長
ブレイアを味方にすれば鬼に金棒。
怖い物等何もない。今、城内組とは
違う形で彼と共に形勢逆転の劇が幕を開けようとしていた。
****
フェルマータ城
1階、玄関の間――。
あっ、そうだよ!
シルドラ君、ゼルガスさんは何処!?
一先ず爆破は治まったようだけど
安心は全く出来ないな。
そうね。現に
アイツの監禁部屋にも
仕掛けられている可能性もある。
ミルフの言う事が正しければ
ゼルガスも始末対象、海賊船の崩壊と共に
航海人生が此処で終わる策略か。
ヴァネッサさん、
シルヴェス君の目前で言う事じゃないです!
シルヴェス君、
ボクが必ず見つけるから泣かないでね!
そう言えば、
此処玄関の間にある全ての扉に入って
気付いたんですけど、あそこに見える
右の扉の先に地下へ降りる
階段があったような……。
う、うんっ!!
だって、ここ崖の上に建ってるでしょ?
海賊船と城内に繋がる何処かに
捕まってるんだったら
地下しかないよね!?
あっ、そうか。
よく考えたら僕達崖の上に居るんでしたね。
と言う事は、海賊船が停泊してある
一番海上に近い海食洞穴に繋がる
何処かに監禁されてる
可能性がありますね。
御名答だ。
この城の仕組みが分からなくても
アレドシア様の心理を読み取った言う事か。
玄関の間で長々と
ゼルガスが匿われている部屋が
何処か?と話していると、奥に見える2階へ行ける
階段からレブロンが痺れを切らし
何か言いたげな表情をしながら
シルドラ達の前に姿を現す。
ゼルガスが
監禁されている小部屋は
海賊船のちょうど真上に当たってな
爆破と同時に両者とも崩壊。つまり
一石二鳥な結果となるんだ。
それで冷静で
居られるのも可笑しな話じゃないか。
じゃあ、
何でお前が動かないんだよ。
アレドシアに土下座してまで
仲良かったゼルガスを助けてあげるのが
お前の役目なんじゃないのか、なぁ!?
再び背を向けて
シルドラ達の目の前から2階の食堂前に繋がる
階段を駆け上り姿を消してしまう。
やっぱり、
レブロンは何かに苦しんでいる。
ブラウンを傷付けた事や、感情に流される奴と
一緒に居たくない、の他に何処か彼の胸に
突っかかっている綻びのような物に。
その玉となっている物を解けば、彼は絶対に笑ってくれる。
それはアレドシアも然り。
皆さん、
僕は2階へ向かいます!!
ゼルガスさんを宜しくお願いしますね!!!
うんっ。
ここからはボクの番だからね。
絶対に感動の再会を果たしてあげるんだ!
リーダー、ブラウン。
私達をゼルガスの元へ案内してくれ。
斯くして
シルドラはレブロンの心を取り戻す為に2階へ。
そして、ブラウン達は
海賊船の停泊場に繋がる
地下通路の何処かに匿われている
ゼルガスが居る小部屋へとそれぞれが動き出す。
※ 彼等はフェルマータ城編が終わるまでは合流しません。
此処から先は〇〇〇(キャラ名)サイドとして
終盤まで物語が動きます。
****
ブラウンサイド。
彼がリーダーの場合
城内の陰気な雰囲気も彼の陽気な性格が
周囲を緩和し、重かった空気も一気に晴れやかになる。
♪ 晴れやか気分で
ホップ、ステップ、ジャンプ
1,2,3,4,パンパンパンっ!
おっ、何か足が軽くなるような曲だな。
ブラウンが作ったのか?
うーんとね、曲名は
なんと「とっておきのスペシャルリズム」って
言うんだ。ボクに歌わせる為に作者の方が
一から作ってくれたんだよ。
いや。そう言う事じゃない。
歌う時って必然的に表情も一緒に動くんだ。
現にリズムも軽やかで、元気良く
歌った事で緊張が解消出来ただろ?
もちろんっ!
元気な曲を歌うだけで笑顔になれるんだー。
うわあーい。
ミルフさんに褒められちゃった!
これは余計に頑張らないといけないね。
ここから先は
今まで以上に危険な場所かもしれない。
地下に行くと言う事は、もしまたアレドシアの手で
爆弾を作動されたら、今後こそ生き埋めに遭い
陽の光を浴びる事も出来なくなる
可能性もある。
ただ、此処にはゼルガスの息子
そして同じ海賊仲間であるシルヴェスとヴァネッサがいる。
無事に再会を果たす事を約束したブラウンは
先頭を切って右の扉のノブに手を回す。
ガチャッ(扉を開ける音)
ギーギーと軋む異音を放ちながら
手前へと開けると、そこには
先程シルドラが見つけた階段と呼べる物が……。
いや、間違ってないよ!
此処にあるのは確かなんだ!!!
もしかしたらさ、
何処かを触ったり叩いたりすれば
地下へ行ける階段が現れるんじゃないのか?
敵の潜入を拒む為の仕掛けか。
容易く重要な場所に近付かせない為だな。
ただ、周りを見て見ろ。
この部屋にはそんなに物が置かれてないのが
せめてもの救いだ。探さずとも
自分の目で見る事が出来る物に
隠されている事が多い。
あーーっ!!!
もしかしたら、この壁の
どれかの石を叩く感じなのかな!?
ブラウン、ほぼ正解だな。
もっと正確に言うなら、叩くじゃなく
押す方かもしれない。
と言う事は、
シルドラは自分で仕掛けのスイッチを
作動させ、退出した際に知らずのうちに
元に戻した事になるな。
要するに仕掛けを作動させれば良いんだ。
とにかく今はそのスイッチを
皆で探そうぜ。
ああああああああ!!!!
訳分からんぞ!!! 手詰まりか!?
扉の小部屋の
北の方角にあたる石壁を
ピタッと張り付きながら、石を触ったり押したりと
1つずつくまなく試していくブラウン。
何で全く反応しないんだよー!!!
お願いだからさあ!!!
くそっ!! この先に
父さんが居るのに助けられないのか?
もう少しで会える。
ゼルガスは目と鼻の先なんだ、と
悔しい想いで一歩前に進み出そうとした、その瞬間――
ポチッ(足床の石を押す音)
あっ、そうか。
壁ばかりみていたけど足床も石煉瓦なんだ。
前方に地下へ行ける
階段が現れたんだけどね、もう手が痺れて
今にも前へと転がりそうなんだよー!!
成程。天井に生えていた
蔦に奇跡的にしがみ付いてる状態か。
猿のように
石壁を登りながら石スイッチを探していた所
全く在り処を知らずに探していた
シルヴェスが偶然にも押してしまい
天井の蔦へと手を伸ばし、痺れをや疲れを堪えながら
しっかりと掴んでいた。
しかし、ブラウンの目前に地下への通路が現れるわ
尚且つ冗談を噛まされてしまうわ、と
流石に丈夫な蔦も千切れ
ほんのちょっと幅がある階段を
綺麗な丸を描きながら転がり始めて行き
慌てふためいてるシルヴェス達も
急いで彼を追い掛ける事に。
おいおい!!この階段何処まで続いてんだよ!!!
くそっ。なかなかブラウンに追いつかない……
あれ。二手に分かれてるけど
彼は一体どっちに転がって行ったんだ?
多分真っ直ぐだ!!
加速度付けて転がってるんだから
急に曲がったり出来ない筈だろ!?
でも、そっちは
海食洞穴に繋がってるみたいだぞ。
城内からズレる事になるけど、シルヴェスは
どう判断するんだ?
そう、地下へ
繋がる階段の各所には
直接、海食洞穴に行ける通路も多々存在している。
それこそ迷い込んだら、
一瞬にして迷子になる程の
自然の迷路が張り巡らされている為
ファーラック一族以外の方は正確な
ルート、強いて言う所の攻略方法を全く以って知らない。
左右に分かれている箇所で
一旦立ち止まり、悩み抱えていると
もう一方の階段からブラウンを抱えながら――
そんなクヨクヨするな。
お前等の探し人は目の前にいるぞ!!!
おうよ。
シルヴェスも元気そうだな。
身体も格段に逞しくなったじゃないか。
うん!!!
此処まで来れたのも
シルドラ達とヴァネッサさんのお陰なんだ。
おお!!
お前の面も久しぶりに拝めたぜ。
ふふ。まんまと
敵の罠に引っ掛かったのかしら?
それで捕まるなんて貴方らしくないわね。
それもそうだ。
何せ、俺の父さんはかつて
ヴァネッサさんに告った事があるからな。
しかし、結果は
惨敗。
プロポーズ終了後に、山賊に捕虜され
海賊らしからぬ醜態を晒してしまった所を
彼女に助け出された恩があってな。
相手として相応しくない、と
自ら断った過去があるんだ。
まあ、良いじゃないか。
こうやって感動の再会を果たしたんだ。
素直に喜んだらどうだ?
運命かもしれないけど
大陸クロスウッドからアロイスと共に
長旅を経て、ようやくシルヴェスは
一家の大黒柱であるゼルガスと感動の再会を果たす。
次回予告。
地下の階段を転がり続けた
ブラウンがどのような形でゼルガスを
助け出したか明らかになります。
彼等が右の部屋で石スイッチを
探し続けた約10分~15分前へと話が遡ります。
そして、いよいよ
ビューウェーブ、フェルマータ城に続いて
あの場所が爆破されようとしていた――。
第072話へ続く。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)