第063話:フェルマータ城編開幕!アレドシアの計画を阻止せよ!!
文字数 5,970文字
皆さん、お陰様で
キズナ・ワンダーランドが公開されてから
無事に1年が経ちました。
おうよ。あたいは
シルドラと一緒に旅が出来て嬉しいぞ。
色んな方にこの作品を見て貰って
作者は幸せもんだな。
まだティブルエイドでは
数日の出来事なんですけどね。こう見えて
かなり濃厚な時間を過ごしてますよー。
あっ、ブラウン君。
この作品を見てくれている閲覧者の方達に
1周年突破の挨拶をしているんだ!
成程ね。
じゃあ次の2周年までに
ボクが活躍する場が更に増えるんだね!!
えっ、そうなんですか?
作者から何も聞かされていませんよ。
えっ!? ボクの
出番はティブルエイドで終わりなの!?
あっ。本編が始まるみたいですね。
それじゃあ、ティブルエイド最後を飾る
フェルマータ城編開始ですっ。
あたいもかなりの活躍を見せるぞ。
皆、応援を宜しくな!!
あっ、置いて行かないで!
ボクにも見せ場があるから是非見てね!!!
えっと、このお話から
この作品に更に彩りを持たせる語り部なの。
こんなに恥ずかしがっちゃダメだよね。
ごほん。
えっと、皆さんは
フェルマータ城って知ってるかしら?
そう。全ての始まりの場所ね。
アレドシアさんはこの一家で育ち
ティブルエイドを裏で取り仕切る
有権者になったの。
ただね、聞いて。
この編はね、ちょっと意地悪なお話なの。
あんな展開はズルいよね。誰もが
口を揃えて言うに決まってるじゃん。
****
午前8時、フェルマータ城、海食崖。
ヴァールブルグ海賊団が所有する海賊船の停泊場。
今の所は大丈夫だ。
計画開始は10時と聞いてるからな。
そうか。
忙しないと思ったけど
開始時刻だけはきちんと決めてるのか。
俺は死んだ事になってるからな。
迂闊に城内を徘徊するのは不味い。
だったら、
グラッツにお願いがある。
俺はこの辺りに隠れてるから、ゼルガスに
海賊船の操舵方法を教えて貰って来てくれ。
間違い無い。
アレドシアの最終手段は爆弾だ。
あんな量を直視してしまったら
そう考えるしか無いだろ。
その前に意地でも
この船はゼルガスとクルーの為にも
避難させるしかない。爆破の衝撃で
落下して来た海食洞穴の鍾乳石なんかに
当たったら即座に大破だ。
もちろん、
アレドシアの計画の阻止を企てているのは
シルドラ達だけでない。現メンバーでもある
グラッツに関しては、自分の愛する
仕事を邪魔された過去がある。
彼に対して恨みしかない。
奴に一泡吹かせたいと、
数分しかない瞬間でも、元メンバーであるロギュアと
合流し、食い止める打ち合わせをしている。
今、彼等の任務は
いつ爆破されても可笑しくない為
ゼルガスが船長を務めるヴァールブルグ海賊団の船を
別の場所に避難させる事。遂に2人も
反撃をし始めようとしていた。
****
ヴァンウッド、旅人の宿。
森を守ってくれる守護花 "シンティア" を前に
皆でお祈りしているルミシー達。
おや。もっと
気持ちを落ち着かせて祈らないと
恩人に想いは届きませんよ。
焦らずこう。
先ずは深呼吸を整えて
周辺の青々しい木々達を目視し、
太陽の日差しを浴びるだけ。
こんな感じにね。
ほう。確かに
心もポカポカして来たな。
身体も温まってリラックス効果抜群だ。
確かに、
シャノンさんの言う通り
日光浴をすると、何か日頃の焦りや
不安が解消されていく感じがしますね。
そうだ。
色んな音が聞こえるだろ。
小鳥の囀りや風の音。そのどれもが
ティブルエイドの自然がくれた恵みなんだ。
そして、何処までも広がる
美しく青々しい木々達を見るんですよね。
でも、不思議。
この辺りも最初何も無かった土地から
どうやって木って生えたんだろう?
それはね。今オリアナさんが言った
小鳥や風のお陰なのよ。
種子、簡単に言えば
種。
それが違う場所から、離れた場所へ
運ばれてね、それが生長して大きな木に
なるの。それが何度も繰り返され、
ヴァンウッドはここまで何処までも
広がる森となって行った。
成程。私、
長なのに
そんな歴史も知らなかったのね。
だったら尚更、この森を守らないと。
アレドシアさんの思い通りに
ならないんだから。
ルミシー様、私達も
貴方の為にご尽力させて貰います。
皆さんでヴァンウッドをお守りしましょう。
ああ。アレドシアは間違ってる。
巫女族の踏ん張りどころだ。
勝利の旗を掲げてやろうぜ。
巫女族も守るべきモノがある。
こんなにも自然溢れる
ティブルエイドの要となるヴァンウッドの森。
空や海の青。生い茂る木々の緑。
愛すべき場所が此処にはある。
彼女達の使命は言わずとも、
この住みやすい環境をアレドシアから守る事。
一瞬にして消え失せてしまう
放火の魔の手から救い出してみせると
ルミシー達も心を1つに意思表明する。
****
ヴァーズメルトと言う
喫茶店を営んでいるプラムとシルリア、
姉妹の兄であるライガーが短日休暇を摂る為、
空大陸からエアロブルーに上陸。
知り合いである操縦士のランバードと彼に
今日、この大陸でとんでもない事態が起きると伝え始める。
おい、どうしてだ!?
未だ空大陸に帰るのは早いだろ!?
だから言ってるじゃん。
今日、このティブルエイドが揺れるのよ。
あっ。地震の事か!!!
そんなの空大陸でも良く起きるぞ。
済まん済まんって。
お詫びに俺の筋肉触って良いからさ。
いっつも岩盤を素手で割ってるから
かなりの剛腕でな。どうだ、凄いだろ!?
おう。プラムは
一番張った時の身体が好きなんだ。
お前も興味あるんだったら、磨きかかった
この上腕二頭筋を触らせてやるぜ。
確か、この大陸には
フランバージュって言うチームが居る筈。
何を目論んでいるのかは知らないけど……
大抵、そんな奴等は己の欲望しか無いんだ。
縁の無い話だな。
その分、俺のチームは
欲の塊なんかこれっぽっちも無いんだ。
自由気ままで冒険心を擽らせてくれる
メンバーばかりだから、居心地も良く
日々を楽しく過ごさせて貰ってるぞ。
うん。それは
リーダーとお前の会話を見てれば大いに
分かる。常に楽しそうな雰囲気だもんな。
うふふ。
羨ましい限り。
アレドシアに聞かせてあげたい一言ね。
まあ。安心しろ。
俺がこの大陸にいる以上
フランバージュだろうがフロージュだろうが
悪さを企んでいるなら、空の彼方まで
スマッシュで吹き飛ばしてやる!!!
やっちゃえー。だって
本当に悪事を働こうとしてるんだもん!
ヴァーズメルトだ。今こそ
兄である俺が姉妹を守る番だからな!!!
ライガー、後部座席に乗ってくれ。
直ぐ準備に入る。
ランバードは操縦席、ライガーは後部座席に付き
久しぶりに着陸したティブルエイドで
アレドシア率いるフランバージュが
悪事を働こうとしている事を知り
何時、襲われるかもしれない可能性を考慮に入れつつ
本当は美味とも噂されている彼の姉妹が
作るバージュベリーケーキを頂く為に
急いでヴァーズメルトに向かう事に。
ただ、喫茶店内でも
"とある場所" に差し入れしようと
新メニューの試作品を人数分、手籠に入れて
出掛ける支度をしていた。兄が来る事も知らずに――。
****
ヴァーズメルト。
今日は、
朝出来上がったばかりの "フルージュクッキー" を
手籠配達する日。日頃お世話になっていて
つい先日、店舗に来店してくれた方々に
食べて貰いたいと出かける準備中。
今日はホットソープの皆さんに
新作メニューの試食をして貰う日よ。
うん。そうなんだけどさ。
確か今日って、フランバージュの
皆さんが何かして来るんでしょ?
お外に出て、温泉街に向かう最中に
何か起きたらと思うと……
そんなに心配しなくて大丈夫。
もうすぐ心強い御方が到着する筈だわ。
プラムさん、シルリアさん
前回は色々とお世話になりました。
話は昨晩ラグさんから聞きまして。
今日は私が貴方達の護衛をさせて頂きます。
ふふ。彼が居れば百人力ね。
昨晩ホットソープに連絡して良かったわ。
それに皆さん
現在手が離せない状態でして。
貴方達は女性御二方。向かってる最中に
危険な事に巻き込まれる可能性もありますし。
さてと。
窓の戸締りもガスの元栓も
確認しましたので、早速向かいましょうか。
分かりました。
先頭は私が歩かせて頂きます。
何かありましたら遠慮無しに申して下さい。
そう。シルリアが言った心強い味方は
エバス。
今日は特に色んな箇所に目を配らせないといけない。
喫茶店の常連になりつつ、ホットソープで
共に復興の手助けをしている彼もその1人。
本日、シルリアとプラムを
無事に温泉街まで2人を護衛、そして同行する役を担った。
****
シノヴァシア、マツカゼ宅。
牢獄島の獄長ブレイアとの会議を終え
一夜が明け、遂に相まみえるフランバージュのリーダー
アレドシアとの最終決戦を背に決意の目を
ブラウン達と交わしていた。
た、確か
こんな時は
火って言う文字を
手のひらに書いて、口の中に飲み込めば
緊張がほぐれるって聞いた事ある!!!
それを言うなら
人だ。
人に2本、点を書き加えるだけで
火の文字になるからな。やる気を
芽生えさせる意味でも、それはそれで有りだ。
大丈夫。お前の背中を見てくれるのは
俺等だけじゃないからな。
ああ。俺とミルフ
それにブラウンもシルドラを
徹底的にサポートするんだ。こんなに
心強いと思った事は無いな!!!
う、うんっ!
シルドラ君に怪我なんかさせないんだから!
ボ、ボクの誠拳道の実力を見せつけてやる。
勿論だ。アレドシアの悪事も
これで全て終わりにしてやる!!!
シルドラは幸せ者だな。
皆の協力と笑顔があったからこそ
今此処に居れる。その喜びを
これまで以上に噛み締めないといけないな。
其方が戻ってきたら
港町ビューウェーブで皆と共に
祝杯を交わそう。それまで暫しの別れだ。
分かりました!!
必ずミルフさん達と一緒に戻って来ます。
こうして、
シルドラとミルフ、シルヴェスにブラウンの4人は
フランバージュの計画打破を目指し
シノヴァシアを旅立ち、ファーラック一族
アレドシアとの最終決戦に挑む為
フェルマータ城へと足を運ぶ。
****
時は過ぎ、現在9時55分。
どうやら港町ビューウェーブの噴水広場が騒がしい様子。
突如として設置された大きなモニターに
戸惑いを隠せずにいる町長アジールや
洋服屋を営んでいるクレアと
ユエリアの姿も。
いや。俺は知らない。
昨晩はこんな物置いてなかったんだけどな。
突然、砂嵐になって
お化けさんが画面から出て来る事無いよね?
そんな可愛いエピソードで事が済むなら
大歓迎なんだけどな。
その時、モニターが突如として起動。
約1分間の砂嵐がザーッ と起き
現在の時刻、遂に10時ちょうど。
映像として
映し出されたのはティブルエイド
北北東に位置する海食崖の上に建てられている
フェルマータ城。これはどうやら生中継。
何処から操作してるか分からないカメラが
城のテラスに移動し、画面に大きくアレドシアが表示される。
時は来た。今日と
言う日をどれだけ待ち侘びたか。
これはティブルエイド全土に生放送してる。
お前等に歴史的瞬間を見せたくてな。
アレドシアって言う奴じゃ無かったか?
ほら、確かファーラック一族の。
悪い評判が絶えないのに
良く俺等の大陸で有権者やってるな。
出てけ、クソ野郎。アジールさんで十分だ!
フランバージュとして
長きに渡って計画を
企てた。
今、この時を以って此処で功を奏す。
アレドシアの右手には
シノヴァシアのマツカゼ宅の蔵内から盗み出した
血液付きの剣を所持している。
その鋭利な刃部分をカメラに近付け、
矛先を処刑する彼に向けて狙い定めていた。
ヴァル=バーンズ!!!
獰猛な狼族。人々を怯えさせやがって。
そのせいで、私の……
私の一族は崩落したんだ!!!運命を断ち切れば、もうこれで終わり。
青く腐った通路の床に
腹部から垂れ始めた血液が1滴、2滴と零れていく。
彼が眠りから覚め、否が応でも
痛みを感じる瞬間だった。
だけど、狼族には1つ問題がある。
彼等の身体は特殊で
専属の病院では対応し切れず
唯一、治療が行えるのはハービングライセンスを
所有している者だけ。アレドシアは正確な
位置を刺している為、このままだと確実にヴァルは
死を迎える――。
次回、彼が
刺された事態を知らされるシルドラ達。
フェルマータ城に向かってる道中に雨に降られてしまい
偶然立ち寄った清楚な茶屋で、フランバージュの
メンバーの1人であるアッジに関して
有力な手掛かりが――。
第064話へ続く。
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