第014話:クラムビーチ最終編!ゼルガスとの出会いと沖合ダイビング!!(前編)
文字数 4,150文字
レブロン、お前可愛いな!
途中でお前の海パン見つけたんだが、
可愛い刺繍が入ってたぞ。誰が
縫ってくれたんだ?
ほら。恥ずかしがるなよ。
特にお前の顔入りだ。愛があるじゃねえか。
もしかして姉妹がいるのか?
レブロンの家族事情が今明らかに……。
****
ここはクラムビーチ――。
シルドラオリジナルのティブルエイドの地図を
作成しに訪れていた砂浜。ただ、皆海に来ると
無邪気になるのと同じように、海で泳いだり
砂浜ではしゃいだり、それは人それぞれ。
彼等の場合は全く違い、ひたすら暴走しただけ。
胸、尻、ブツ。公共の場では絶対に見せてはいけない
身体の部位を晒す羞恥たる言動。
ようやくゴッシュの指示により
クラムビーチ周辺の地図製作が始めようと
彼のリュックから "とある物" を出し始める……。
まずはシルドラ君には
この特別な紙とペンを差し上げましょう。
どうした……、不思議そうな顔してるな。
君の事だ。いつも使用している
紙とペンに見えるのか?
そうですね。何か特別製なモノだと
てっきり思ったんですけど……
やはりレブロンさんの言った通り
君は勘が良いな。確かにこれは
特別な紙とペン。実践してみれば
分かりますよ。よし、そうだな……
えっと、港町
ビューウェーブですっ!!
活気に溢れていて、そこで初めて
ミルフさん、そしてレブロンさんに
出会いましたよー。
そうだったな。あん時は
シルドラの財布が泥棒に盗られたんだよな。
確か……、レブロンが檄を飛ばし、
そんでもってあたいのキックで成敗。
だったよな?
ふん。当たり前だ。
この大陸に来てまだ右も左も分からない
シルドラの物を盗んだりして言語道断。
泥棒なんかに手を染めやがって……
少しは彼の気持ちになってみろってんだ!!
シルドラ、俺はお前をホットソープに
連れて行ったらお別れだ。それまでまだ
先は長い。それまで宜しくお願い出来るか?
あっ、そうでしたね! えっと……、
次は道なりに行ってアロウドブリッジで
バンジージャンプやりましたよー。
そしてレブロンさんのフレンドモンスター
"グレンド" を預かっている牧場を通って
あそこに見える簡易展望台に
到着したんですっ!
なるほどな。大体のルートが分かった所で
自分が通った道すじをペンで
記してみてくれ。別に正確
じゃなくても大丈夫だ。
シルドラが通ってきた道=彼の思い出。
この数日ミルフとレブロン、2人で
過ごした日々は冒険者としての糧(かて)――。
思い出を振り返りながら、ペンを右手に持ち
いよいよ彼の夢に1歩前進し始める。
どうした? 分からない事が
あれば今のうちに聞かせてくれ。
ありがとうございますっ!
聞きたいんですけど、港町
ビューウェーブってティブルエイドでは
どの辺りに点在しているんですか?
シルドラ君、良いポイントに
気付きましたね。要するに始まりの町。
このティブルエイドでは
南南西に点在しています。そして……
今居るクラムビーチは
東南東の少し上辺り、広範囲に渡って
点在しているんですよ。まだ向こうにも
海岸線が続いていて、更に行くと
ウォータークレイブと言った
マリンスポーツが堪能出来る事で
有名な穴場がありますね。
名の通り、海中洞窟を探検するスポーツ。
予めコースが決められていて、
そこをガイドの指示に従いながら、
海中の浪漫を感じる事が出来る
エンターテインメントの1つです。
ゴッシュさん、記してみたんですけど
見て貰っても良いですかっ?
港町ビューウェーブからクラムビーチ。
随所随所に今まで訪れたアロウドブリッジや
フレンドモンスターの牧場、そして展望台の
詳細もきちんと記されている事から
シルドラの地図に対する想いが
彼の胸にズシンッ と響く。
シルドラ君はミルフさん達との
冒険が楽しいんですね。この地図から
多いに伝わりました。ここまで丁寧に
訪れた地を記すのは難しいんですよ……
思い出を辿りながら書き込んだんですよー。
そしたらいつの間にか地図を記すのが
楽しくなっちゃって。
これが
"自分の目で確かめる" の
答えです。実際に写真を眺めて見るのと
自然を肌に感じて体感するのは
訳が違うからね。この調子でいけば――
きっと私を越える地図博士になれます。久し振りにダイヤの原石に出会える事が
出来て感無量……。
やったー。ゴッシュさんに
そう言って貰えるなんて嬉しいですっ!!
ティブルエイドの地図を忠実に描き上げた
ゴッシュ。彼が実際に足を運んで見た風景を
感じ取りながらシルドラからも
伝わる事が出来て、感無量していると……
会話を遮るかのように1人の
超ダンディズム溢れる男性が彼等の元に訪れる。
おい、お前誰だ? シルドラの邪魔を
するなら手加減しねえぞ。
おい、そんな厳つい顔すんなよ。
こう見えて拳で語るのは嫌いなんだぜ。
まあ、俺から話し掛けたから
礼儀はしっかりしないとな。名はゼルガス。
ヴァールブルク海賊団の船長だ。
ヴァールブルク海賊団……
引きこもり、問題児の御方を外の世界に
連れ出して船長のゼルガスさんと共に
出来なかった思い出作り、様々な人との
出会いを通じて更生させていく
心優しい海賊。
嬉しい事言ってくれるじゃねぇか。
更生し終えた奴も永遠に俺の
仲間として立派に働いているんだぜ!!
もちろんですっ! 今の時代
問題を抱えている人が沢山要る中で
親の目線になって親身に相手と
向き合いながら接するなんてメンタルが
強い人じゃないと出来ません!!
だよな! 俺お前気に入ったぜ!!!
こんな的確に性格を
当てられたのは初めてだ。
あっ、そうだ。確か名前
シルドラだったよな!!!
言わないといけない事があったんだ。
さっき、あたいの胸に乗せてたカニか?
次はシルドラの〇〇か。羨ましいぜ。
俺が言う前に言われちゃったぜ。
でもこういう奴等、俺は
愉快で大好きだぞ!!!
ヴァールブルク海賊団船長、ゼルガス。
船員からも憧れる存在で、情が深く
1人1人を親目線になって接する事が出来る
男の中の男。そして釣りが大の趣味。
海や魚に関する事だったら、何でも知っている。
ミルフがさっき放したカニが
シルドラの股間をモロにハサミで掴んでしまった為
【悲報】
シルドラ、二回目の試合終了――。
はい、チーン。
****
ティブルエイド含む
今確認されてる大陸の地図を
作り上げようとしてるのか!!!
俺も心半ば応援させて貰うぞ。
はいっ! もし宜しければ
深水で色鮮やかな魚たちがいるスポットまで
海賊船に乗せて貰う事って可能ですか?
実はこれからダイビングするんですよー。
これも地図製作の一環なんで。まずは
船長に許可を得ないと……。ですよね?
もちろんですっ。
僕、ピュアブルーで両親の教えで
沢山ダイビングやってたんで、
心配ありませんっ!!
ふん。心配など要らん。
スポーツに関しては陸海空どれも得意だ。
ミルフはどうなんだ?
心配ご無用。あたいも
海の神秘に触れられるから
スキューバーダイビングは得意なんだぜ。
済まん。船は苦手なんだ……
私はクラムビーチで待っているので
3人を宜しくお願い出来るか?
分かった。俺に任せてくれ。
お前等、船に急げ。すぐ出航するぞ!!
ゴッシュは乗船が大の苦手。
すぐ近くに停泊していた海賊船に乗り込み
甲板からクラムビーチで待機している彼に
向かって「行って来ますー!」と大きく手を
振りながら彼等は沖合へと向かい始める――。
****
15分後――。
錨を下ろし停泊している場所は
つい先日、船員が鳥山を見つけたポイント付近。
此処こそが船長ゼルガスがお勧めする
ダイビングスポット。
※鳥山とは……
釣り用語の1つで、ティブルエイド周辺の
空を飛んでいるスカムバード、ジーグイッドと
言った海鳥が海水面付近に大量に
集まっている現象の事。
ああ。ここは俺達の航路なんだ。
だからしょっちゅう通っては停泊して
釣りしたり、ダイビングしたりするんだぜ!
「ジャーン!」と先程見つけた
海月の上に乗っかってたレブロンの海パン……
特に表面にある彼の顔の刺繍入りを
皆に見せびらかしてしまう。
えっと……これってまさか
紛失したレブロンさんの海パン!?
レブロン、お前可愛いな。
ちょうどこのポイントで海月の上に
乗っかってた海パン拾ってあげたんたぜ。
まさかの刺繍入りと来た。
誰が縫ってくれたんだ?
ほら、恥ずかしがるなよ。
特にお前の顔入りだ。愛があるじゃねぇか。
もしかして姉妹……
もうこれ以上言うな。
わ、分かった。実は妹が居て俺の
誕生日プレゼントとして縫ってくれたから
大切に穿いているんだ。もう良いだろ!?
【悲報】
レブロンの海パン、発見同時に
シルドラ達に刺繍入りの物だとバレる――。
それと同時に……
【朗報】
彼に妹がいる事が発覚。
妹さんに "いま、会いにゆきます"。
ミルフさん、ストップ!
色々謝らないといけなくなりますっ!!
何、この終わり方!?
納得出来ないんですけど―――!!!
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