第002話:ティブルエイドに向けて!泣き虫ブルーノと家宝の剣!!
文字数 3,936文字
うわあー、やっぱり船が沢山あるー!
どれに乗っていいのか、全く分からないんだけどどうすればいいかな?
ここは港町「ピュアブルー」の玄関先――。
漁船、貨物船、そして豪華客船まで
割とあらゆる要望に応えた船が勢揃い。
もちろん浜辺サイドにはクルージングを楽しむ為の
船や、ヨットまで完備されている。
本当にクロスウッドの中でも有数な海の町。
シルドラは生まれて初めて船に乗る為、
どれに乗船すればいいのか四方八方状態。
ただ、困っている人を見過ごせない
一人の男性が丁寧に教えてくれた。
****
大陸『ティブルエイド』に向かう豪華客船。
礼儀がきちんと出来ている男性に教えて貰った結果
この船に乗る事が出来た。あまり慣れない為、
何処にどのような設備があるか分からない。
動き出したと同時に、とりあえず船内や甲板を見てみようと
近くにいた乗務員の恰好をした制服を
着ている男性に声を掛けてみる事に。
あのー、すみません。
僕、こんな大きい船に乗るの初めてなんで、色々船内とか教えて貰えませんかー?
えっ、君1人で乗ってるの?
ティブルエイドに何しに行くんだい?
夢に見た冒険ですっ!
とある人に教えて貰ったんです。
冒険の解釈は人それぞれなんだなあーって。
僕は強さを求めるより、
色んな友達を増やしたいです!
お、良いなー。今はこうやって
乗務員やってるけど、昔は
俺も冒険に憧れていた時期があったんだぜ。
よっしゃ、ここからは任せてくれ!
初心者にも分かる豪華客船の魅力
教えてやる!! 一緒に来てくれ。
ここは、船内の廊下を通り甲板に近い所にある部屋――。
活気があり、色んなコスチュームに
身を包んでいる彩りが加わった色んな人物がいる。
剣や弓矢を所持していたり、メリケンサックを
身に着けたガタイの良い兄ちゃん……
その先にあるカウンターのような場所に2人の男性。
1人はカフェ的なモノを経営しているけれど、
もう1人は独特な服装を身に着けていて
お金を納めていたり、どうやら情報を
提供してくれる場でもありそうだ……
あっ、もしかしてこれが属に言うギルドって言う物ですか?
お、よく分かったね!
もちろん各大陸にも存在するけど
この世界にはこう言った
船の中にもギルドがあるんだ。
出向いた時には是非来てくれないか?
もちろんですっ!
ちなみにここのギルドの名前は何て言うんですか?
ここのギルドは
「アズールシェア(蒼穹の提供)」だぜ。
経営している奴が海が大好きで、
この船で色んな冒険者に情報を
シェアしたい意味を込めて設立したそうだ。
素敵な名前ですねっ!!
じゃあ、次の場所に案内して
貰っても良いですか?
よしっ!! じゃあ次はあそこかな……。
俺に着いて来てくれ。ちょっと
汗臭いかもしれないけど……
我慢してくれるかい!?
えっ……、大丈夫かな……!?
汗臭いってま、まさか。未知の世界だよー!
が、頑張ります!!!
シルドラが察した通り、男性乗務員に連れられて
向かった場所は剛腕クラスの武器を持つ程の腕をしている
体格の良いマッチョばかりが集まるトレーニングジム施設。
火照っている身体から湯気が出ていて
周りがはっきりと見えてない様子。
ま、前が見えないですよー。
色んな器具があるからぶつからないように
気をつけないとっ! おっと、危ないっー。
床に置かれたシートに足が引っ掛かり「危ないっ!」と
言ってしまい倒れ込もうとした瞬間、何とか自分の体重を
支えてくれる柱に手を押し付ける事に成功。
ただ、違和感が残る。それは何故かピクピク と動いていて
押さえていた自分の両手が何故か濡れていた。
何だあー!?
お、お前、俺の鍛え上げた大胸筋を
汚い手で触るなんてどういう
根性してるんだ、あ!?
この後も船内をぐるりと案内され
この世界を周回する豪華客船の特徴が
″冒険者に特化した″船と判明とする。
武器・防具屋、カジノ、レストラン etc……
ティブルエイドの大陸に停泊した後も、
違う場所にも移動する為1日じゃ物足りない
エンターテインメントが集まる船でもあり、
冒険者を絶対に退屈にさせないおもてなしをしている。
****
再び甲板に戻って来て、見渡す限りの海を見ている。
本日は晴天、空を舞うカモメも優雅に飛んでいて
向こうの方にはイルカが大ジャンプをしながら、
まるでティブルエイドに足を運ぶ冒険者を
大歓迎してくれているよう。
もうピュアブルーが見えないなー。
出港してから時間経ってるし、
当たり前かあ……。
でも、この先にティブルエイドがあるなんて
今からワクワクだなあー。
早くこの目で見たいよっ!
そんな時、ちょっとふっくらとした和風な着物を
身に付けている男子が泣きながら甲板へとやって来た……。
君、どうしたの?
僕で良かったら聞かせてくれないかなー?
答えられる範囲だったら何でも良いよー!
ぼくのかほー(家宝)が
なくなっちゃったんだよー!
おにーちゃん、いっしょに
さがしてくれない?
もちろんだよっ!
ちなみに君が持っていた家宝って何かな?
けん(剣)だよー。
ぼくのおじーちゃんからもらったんだけど
なくしちゃったっていったら
おこられちゃうよー。
ほら、泣かないのっ!
男の子が泣いたら強くなんてなれないよー。
剣持ってるなんて凄いじゃん。
憧れちゃうなー!
シルドラの元にさっき船内を案内してくれた
乗務員が作業を終えて戻って来た。
ちょうど良いタイミングと思い彼は
この子が無くしてしまった剣の事を事細かく伝え始める。
なるほどね……。この子が
トイレをした時に持っていた剣を
置き忘れて、戻って来た時には
無かったという事か。
あっ、確かこの船って
冒険者で賑わっている船……
もしかしたら剣に特化した人が
見つけた可能性も高いですよね!
シルドラが剣を無くした彼の為に
自分の推理を始めようとするけれど、また違う乗務員が
偶然にも彼が探していた家宝と類似しているモノを所持している事を発見する。
ああ、この剣だろ?
さっき届け出があったんだ。
トイレに落ちていた所を
見つけてくれたようだ。
もしかして、その剣。君のか?
うん、そうだよー。
おにーさん、かえしてよー!!
そうじゃないと、ぼく
おこられちゃうんだっ!!
そうか。でもまだ子供じゃないか……!
君、あまり振り回すのは良くないからな!!
それを肝に据えて置くように。分かったか?
あまり、むずかしいことばわかんないよー。
でも、こんどはなくさないように
きをつけるよっ!
男の子が剣を持っているのは普通に考えたら危ない。
特に冒険者界隈では、この世界の剣士全員が
血の気が多いと言われている……
家宝を大切にする心構えは素晴らしいけれど、
人を傷付ける代物でもある為、乗務員は注意を促しながら
彼に家宝の剣をゆっくりと渡す……。
おにーさん、ありがとう!
あ、ティブルエイドが見えてきたよー。
おにいちゃんもあそこに向かうのー?
うん。でも無事に見つかって良かったねー!
おじーちゃんから貰ったんでしょ?
大切にしてね!!
おにーちゃんもぼくのかほー(家宝)
さがしてくれてありがとう!
豪華客船は無事に1時間30分掛けて
クロスウッドの港町「ピュアブルー」から
ティブルエイドに無事に到着し
波止場に船独特のボーッ という音を出しながら
錨を下ろし、停泊し始める……。
****
ここはティブルエイド――。
最初の大陸であり、冒険者も過ごしやすい環境で
温泉リゾート街 ″ホットソープ″、大きな森 ″ヴァンウッド″、
忍者の町 ″シノヴァシア″ などバラエティ豊かで、
誰からも親しみやすい有数の観光スポット大陸でもある。
そして、さっき船で出会った
男の子とも別れの時間が近付こうとしていた。
おにーちゃん、きょうは
いろいろとありがとうございましたっ!
またどこかであいたいので、
なまえおしえてくれませんか?
うんっ! 僕はシルドラ・ロッドだよ。
こちらこそ。君と出会えて
嬉しかったよー!!
また何処かで会えると良いねっ!!
そういえば、
君の名前聞いていなかったねっ。
もし良かったら教えてくれない?
【ブルーノ】
うんっ! ぼくのなまえは
ブルーノっていうんだー! じゃあねー。
またどこかであおうねっ!!
ばいばーい!!
笑顔で手を振り、ブルーノに別れを告げる。
″始まりがあれば、終わりもある″。
″また会える喜びを胸に秘めて″
気持ちが通じ合えば、また何処かで会える気がする筈。
それまで暫しのお別れ……
そして無事にティブルエイドに到着した
シルドラは興奮冷めやらぬ状態。テンションが高くて
色んな風景に目を配らせていた……
まずは一歩前進……。
好奇心の塊で、どんな事にも果敢にチャレンジする
彼の精神が周りの人を巻き込み、
どんどん仲間になっていく姿は必見。
そして、次の話ではいよいよ
第1話でミルフが言っていた ″リンクリング″ の
システムが明らかに……。
****
ここは先程乗ってきた豪華客船――。
船体の背後にはブルーノの姿が見受けられる。そして
思いっ切り甲板から大ジャンプして
彼の元に1匹の猫が現れる。
【ミム/猫】
申し訳ございません……。
で、さっきのシルドラさん。
どうでした? シノヴァシアへの通行証
渡す価値ありますかね?
まだ、分かりません……、
とりあえず様子見ですね。
時間は掛かると思いますけど仕方ないです。
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