第024話:失意のシルドラ!襲撃ポイズリーフと熱き友情との再会!!
文字数 4,572文字
前回のあらすじ。
目的地ホットソープ。其処に向かう為
フリューウィングを巧みに使いこなす伝説の操縦士
フラジーと共に向かう最中、1つの事件が発生。
鍾乳洞の中で血を好むブラッドバッドに
襲撃されそうになり、出口と言うよりかは
危険な行為に近い亀裂からの脱出。
その際に片翼が半壊――。
そのせいで当機は低空飛行となり、いつ墜落しても
おかしくない状況に陥る。自分が仕出かした事の
重さに気付き、彼はフライト人生に幕を下ろす。
無情にもフラジーは当機から
放り出され、フリューウィングと共にヴァンウッドと
言った森に墜落してしまい、その際に身に着けていた
シルドラと交わした絆、友情が集約された
リンクリングが壊れてしまう……。
時計に表示された "登録解除" の文字に
シルドラは無念の涙を流し、時計を叩き付けてしまう。
友情や絆を大切にしたいのに
こんな結果になっちゃうなんて……
もう、こんな時計要らないですっ!!!
ミルフさん、レブロンさん……
今までこんな僕に付き合ってくれて
ありがとうございました……。
シルドラの冒険人生、
ここで終わりを迎えてしまうのか。
更なる決意の時が迫ろうとしていた……
そんなクヨクヨすんなって。フラジーは
きっと生きてるよ! 確かに危なっかしい
操縦ばっかりしてたけど、楽しかった
じゃないか。そうだろ?
慰めようと、ミルフは
シルドラの肩を触ろうとする。しかし……
ミルフさんは良いですよ。
常に屈しない精神を持ってるんですから。
それに比べて僕なんか、結局勇気が無いから
飛べなかった。それにいくらでも
助ける事が出来たのに、フラジーさんは……
レブロンさんだって、頼れる
兄がいたからこれまでトレーニングして
強靭な肉体を手に入れられたん
じゃないですか……。僕なんかどうせ
心もメンタルも軟弱ですよ。
だから、ネガティブに考えるな!!!
これ以上言うとどうなるか分かるよな。
暴力ですか?
その逞しい腕で僕を殴るんですよね。
だったら、お構いなしにやって下さい……
見損なったよ、シルドラ。
以前、レブロンが言った事も
忘れちまったのか。彼の拳は正義だ。
傷つける為の物じゃない……
もういい!! ミルフ、それに
アロイスとシルヴェスも来てくれ。
こんな奴だと思わなかった……
ティブルエイドに来て、数日間――。
冒険する事を夢に見ていたシルドラ、この
大陸で過ごした思い出はかけがえのないモノ。
港町ビューウエーブでミルフとの交流、そして
道中で会ったフランバージュのリーダー
アレドシアの用心棒 "レブロン" 。各場所で
色んなキャラとの交流を経て、毎日
笑ったり、楽しんだりしていた。
1つ。冒険って言うのは何処でどんな事が起きるか
分からない。それが今回のフラジーの一件。
シルドラは自分に "他に何か出来た筈" と
心を塞いでいるせいか、仲間2人の間柄で
あってはいけない発言をしてしまい
今、ミルフとレブロンの間に
深い亀裂が入ってしまった。
(冒険ってそう簡単じゃないんだな。
少し休んで、クロスウッドに
帰ろうっと……)
****
見損なった2人がシルドラの元から
立ち去って数時間、現在の時間帯は夜――。
この周辺には野良モンスターが多いため
近付けさせないように木の枝と枯れ葉を
沢山拾い集め、焚火を起こして
一夜を過ごしていた。
シルドラが出した答えだ。それにフラジーは
飛行艇に掛ける情熱があった。誇りを
捨てたくなかったんじゃないのか!?
それなのにアイツは……
でもさ、シルドラって言う奴
俺は好きかもしれない……。
さっき話を聞かせて貰ったけど
彼も両親居ない中、1人で
生活してたんだろ。孤独と戦いながら
毎日過ごしていたのは俺と変わらない……。
それにクロスウッドは少し前まで
治安悪かったからな……
レブロンとミルフ、この2人は
シルドラの故郷、大陸 "クロスウッド" に纏わる事を
全く知らない。シルヴェスが話した事は
"マイティーダークリーダー、エディールの数えきれない罪"
"各地で起きた枯渇現象" などなど。
何だよ!!!
俺になんでその事を話さないんだよ。
それが分かってたら責め立てる事なんて……
もしかして……
そのクロスウッドでアイツにとって
大切な存在が亡くなったのか。
それに関しては良く知らないけど、犠牲者は
3人。レブロンの言う通り、全員亡くなって
いるんだ。もしかしたらその中に……
馬鹿だ、俺は。何でシルドラの気持ちに
気付いてあげられなかったんだ。アイツは……
過去を背負って生きてる。
そう、もう誰も失いたくない想い。
あたい等は気付く事が出来なかったんだよ……
改めて自己紹介しよう。俺はアロイス。
海産業会社クランチャードに新たに
導入された水陸飛行の部署で働いている。
今は海賊の御頭、ゼルガスさんの息子
シルヴェスを見てやってるんだ。
で、俺がシルヴェスだ。父さんに
会いに行く為に、ここまで来たんだ。
ビューウェーブって言う所で念入りに
下調べしてお前等に会えたって感じかな。
でも、今はそんな雄著に
自己紹介なんてやってられない。
レブロン、ミルフ……シルドラと
本当に会えなくなるんだぞ。
シルドラをずっと見てやりたいんだ!
ちょっと探して来る。まだそんな遠くに
行ってない筈だ。お前等は
そこで待機していてくれ!!
ダメだ!!!
俺はアイツを傷付けただけじゃなく
また一人ぼっちにさせたんだ……
必ず連れて戻って来るからミルフは
アロイスとシルヴェスの事頼んだぞ!!
当たり前の日常、生活。
慣れ親しんだ友、シルドラ。
ミルフとレブロン、2人の心の中で決して忘れる事の
出来ない存在。彼と共に過ごしたこの数日間で
いつの間にか離れることが出来なくなっていた。
もしかしたら、これからもずっと一緒に
居たいのに強く当たってしまったのかもしれない。
ずっと悔やみ続けていたに違いない。
シルドラが人と人との繋がりを
大切にしたい思いが今回の一件を通して
更に再認識させられた。
****
少し歩いた場所にあった石で出来たスツールに
座って休憩をしていたシルドラ。
さてと、休憩終わりー。
クロスウッドに帰ろうっと。えっと……
いや、あの2人はもう居ないんだった。
もう、僕の事置いて先に
行ったに違いない……。
ガサガサッ と茂みの向こうから
現れたのは野良モンスター "ポイズリーフ"。
※ ポイズリーフとは……
獣道を伝い移動する習性を持つ
軟体生物。茸に姿が似ている為
秋の季節になると道化している事があり、そして
自分が通って来た道に毒を撒き散らす習性もある。
一つ目である事が特徴。
こんな所で1人で居るのが運の尽きぃ……
お前、男のくせに美味しそうな
身体しているなぁ。食っちゃおうかなー。
ポイズリーフの腹部に激痛が入る程の
威力があるパンチをぶち噛まし、見事にクリーンヒット。
今にも食われそうだった
シルドラを助け出したのは、レブロンではなく
偶然通り掛かった彼に馴染みがある……
な、何故貴方が此処にいるんですか……!!
エンディアさん……。
【エンディア】
お前の声が聞こえたからだ!!!
あの時以来だな、シルドラ。
元気にしてたか?
もちろん……って言いたいですけど
何でティブルエイドに来てるんですか!?
【ハディーサ】
ははは……。ホットソープに
向かっている最中に道に迷い、挙句の果てに
迷子になったなんて普通言えないよな。
【ユリシール】
もちろん私達も居るよ。
あら。見ないうちに1人で冒険するように
なったのね。偉いわ。そうよね、システィア?
【システィア】
うんっ。シルドラお兄ちゃん、久し振りー。
こんな場所で会えるなんて
嬉しいなっ!!
カインドフォースの皆さん、勢揃い
じゃないですか!!
それにしても、シルドラ。お前本当に
1人で冒険してるのか? さっきから
この辺り凶暴なモンスターしか出ないぞ……
見た所、何も武器持って無いように
見えるけど。
彼等はカインドフォースと言った
チームで活動していて、エンディアとハディーサ、男2人
ユリシール、システィア、女2人……計4人で
構成されている。
笑顔を絶やさずにいる事を
モットーにクロスウッドで色んな難事件を
解決して来た。そう、シルドラは以前
港町ピュアブルーにある自宅でモンスターに
襲われそうになった時、彼等に助けて貰った御恩がある。
ティブルエイドで再会したと思ったその瞬間、
身体の中に眠る独自の生命体により、ダメージ軽減、そして
気絶していただけのポイズリーフが再び
怒り散らしながら彼に襲い掛かろうとしていた……。
うおっ!!
よ、よくも……、僕の身体に傷を付けたな。
食うのは止めた。次なる手で
お前を仕留めてやる!!!
邪魔だ!!! そこを退け。
さもなければお前も此奴と
一緒に道連れだ!!!
んだと!!!
俺の友達に指一本でも触れてみろ。
シルドラから笑顔が消えたら一生許さんぞ。
エンディア様、こいつ……
もう許しはしない。お前の力
見せてやるんだ!!!
握り拳を作り、上腕二頭筋に力を込め
竜巻状を描きながら熱き魂を刻み
ポイズリーフへと連打。そのまま
上空へと思い切り飛ばしガッツポーズ。
更に勝利の雄叫びを今筋肉界を揺るがしている
あの伝説の掛け声のように熱く滾らせて解き放つ。
試合終了。
改めてエンディアの仲間想い、そして
とんでもないパワーを誇る腕っぷしに
シルドラは圧倒させられていた。
エンディアさん、また助けてくれて
ありがとうございますっ!!
これで2回目ですね。
もちろんだ。さあ、シルドラ……
場所を変えて少し話そうか。
もう分かってるんだよ。シルドラ
お前……、喧嘩したんじゃないのか!?
顔に出てるぞ。ちゃんと話聞くから
素直に喋ってみろ。
カインドフォースとの再会を果たしたシルドラ。
いよいよ思いの丈をぶつける時。
"大丈夫だ、シルドラ。
お前の側には俺が付いているだろ?"
エンディア、そして皆の笑顔が彼の心に微笑みかける。
次回、
いよいよレブロンが師匠である彼との交流を交わす。
その中でシルドラは2人と無事に仲直りし
先の冒険へと駒を進める事が出来るか。
第025話へと続く。
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