第021話:フリューウイング起動!フラジーの華麗なテクニック炸裂!!(前編)
文字数 4,487文字
何だ。
石筍じゃないか。これ位
洞窟にあって当然だろ? 当たった所で
このフリューウィングに
不可能と言う文字は……
ない!!さあ、あそこに見える
裂け目から外に出るぞ!!!
エンジン出力一定維持、操縦桿を握り一気に急上昇。
前回のあらすじ――。
長い旅を経て、ようやくホットソープに向かう為の
経由地であるエアロブルー飛行場に到着。
以前会ったビッケとの再会、そして新たな
操縦士チャイ、伝説の操縦士フラジーとの出会い。
そう、これから
シルドラ達に訪れるとんでもない空の旅が
始まろうとは思ってもいなかった……。
えっ、な、何で……
僕がリンクリングを
所持しているの知ってるんですか?
ビッケにお使いを頼んだ際に
ビューウェーブでシルドラと言う人物に
出会ったと聞いてね。
その際に偶然にもアジール所長から
リンクリングを貰ってたと聞いて
居ても立っても居られなかったんだ!!!
えっ、でも……
伝説の操縦士なんですよね?
そんな偉大な御方とする訳には……
リンクリングしてくれた人数。
伝説と呼ばれるようになってから
近寄り難い存在と言われ、私の周りから
全員居なくなってしまった……。
伝説がどうした!?
其処に辿り着くまで必死に努力した
結果が今なんだ。その2文字だけで他の人に
軽蔑されるなんて……
ああ、そうだ。
フラジーさんは間違ってない。
その気持ち、シルドラならきちんと
受け取ってくれると思うぜ。
フラジーさん、伝説って呼ばれるのは
尊敬されて、認められている証拠です。
自分の辿り着いた職に全うしようと
するとそれに全力を注がないといけない……
もしかしたら
皆が離れていく……じゃなくて
頑張って欲しいから離れていく と
思いますよー。それに僕で良ければ
リンクリングさせて下さいっ!!
やったー。シルドラ君、
これからも宜しくねー。じゃあ早速――
"フラジー=キュレー登録完了"。
伝説と呼ばれる存在にも悩みはいくつもある。
彼がリンクリングを手に入れたのは
結構昔。一緒に繋がると言うのが
嫌というよりかは操縦士や整備士は専門職。
どちらかと言えば近寄り難い為、自然に
遠ざかってしまうか、自然に離れて行ってしまう……
全然友達ウェルカムなフラジーも
シルドラと一緒で色んな方と絡みたいタイプ。
時間は掛かったけど、やっと友達が出来た! と
喜びを隠しきれてない状態――。
私とリンクリングしてくれて
ありがとねっ! せっかくだから
フリューウィングを紹介してあげるよー。
彼が言ってる
フリューウィングって言うのは
彼の愛車のようなもんよ。今まで何人の人や
積荷を目的地まで送り届けた事か……
何か気になって来ましたっ!!
フラジーさん、見せて貰っても良いですか?
****
専用台に置かれているフリューウィング。
所々、錆が付いたり、色んな箇所に埃被っている。
ただ、それは本当に上空を優雅に泳ぎ
どんな嵐や雨風にも耐え抜いて来た証。
もちろん、それを操縦して来たのはフラジー。
この飛行艇には色んな思い出がある様子……。
こ、これがフリューウィングっ!!
他のモノと比べて少し大きいんですねー。
確かにそうだな。他の飛行艇……
基本は2人乗りなんだが、これだけ最大
4人まで乗れてエンジンの馬力がやばい。
そのお陰で今まで色んな航路を
飛び続ける事が出来たんだ。
そうなんですねっ!!
ちなみにこれってまだ動くんですか?
もちろん。せっかくだし
私がシルドラ君達を目的地まで
送り届けてあげるよー!
えっ、フラジーさんの
操縦が体験出来るんですか!? やったー。
今からワクワクです!!!
じゃあ、給油と整備したいから
少し格納庫の外で待っててくれないかな?
****
格納庫の外――。
チャイとビッケ、2人もフラジーと一緒に
整備を手伝っているのを待機しているシルドラ達。
エアロブルー飛行場に辿り着いた時と同じように
またミルフとレブロンが中々にヤバめな
ネタを数発ブッ込んでいた……。
ミルフ、ここは飛行場だ。
せっかくだから俺が空や飛行機に
纏わる問題出してやるぞ。準備は良いか?
よし、その意気だ。
じゃあ、まず第1問――。
『飛べない動物と言えば!?』
正解だ。次、第2問――。
『かつて緊急事態で2人の女子高生が
飛行機の操縦をした事があるんだ。
さあ、何で彼女等は操縦する
羽目になったか分かるか?』
お、簡単じゃん。確か少し前に
殺害された女性の手の指先に毒が……
そういう事じゃありません!!!
ネタバレ厳禁です。これから
見る人だって居るんですっ!!
シルドラ、これはミルフの3本勝負なんだ。
後もう1問出して終わり……
うん。変わらない空気、
彼等は何処に居ても常に平和。
それもその筈……
少しずつレブロンの心の中でシルドラとの
別れが近いと言う事は、フランバージュとして
リーダー、アレドシアが企てているヴァルの
処刑計画を実行する日は近いと勘付いている。
もしも、これにシルドラやミルフが関与して
事実を知った時に何か言われるかと思うと
ずっとレブロンは楽しい思い出を
過ごして居る反面、何処かで
やるせない気持ちを抱えているのかもしれない……
そんな会話も束の間、格納庫から
前方確認をビッケ、後方確認をチャイがしながら
フラジーが乗っているフリューウィングを外へ
誘導していた――。
フラジーさんっ、こっちは大丈夫だよー。
チャイー、そっちはどう!?
後方も安全、大丈夫よ。
シルドラ君、そして皆さん待たせましたね。
給油、整備が無事に終わったから
安心して乗れるわ。
ありがとうございますっ!
ミルフさん、レブロンさんっ、
早速乗りましょう!!!
あ、ちょっと待って。
これを渡さないとね!
ほら、ビッケ。3人に配るのよ。
うんっ。はい、バンジーが付いてる
救命胴衣だよ。もしもフリューウィングに
何か非常事態が起きてもこれで
対処出来るから飛行艇の中で
着替えて置いてねっ!!
もうっ、失礼だな。
当機を使いこなした私だぞ。
快適な空の旅を約束してやる!!!
フリューウィングの助手席にシルドラ、
そして後方座席にミルフとレブロン。無事に3人の
着席、そしてシートベルト着用を確認完了した
フラジーは、エンジンのスロットルレバーを
少しずつ全開にして行く。
僅かな時間だったけど、チャイとビッケの2人との
出会いに感謝をする。
チャイさん、ビッケくん
これからもエアロブルーでの整備、そして
飛行艇の操縦頑張って下さい!!
更なる飛躍楽しみにしてますっ!!
また近く通り掛かったら、遊びに来ますね。
うんっ。また会えたら嬉しいなー。
その時まで暫しの別れ。冒険楽しんでね!!
シルドラさんの旅が
良い宝物となりますように願ってます!
ティブルエイドの後半地、
ホットソープ、ヴァンウッドやシノヴァシア。
この大陸には未だ知らぬ魅力があるわ。
楽しんで来てね!!!
タービンをフル稼働にして滑走開始し、
次第に加速し離陸に安全な速度に達したら
エアロブルー飛行場の滑走路に描かれている
丸い印から、スロットルレバーと操縦桿を
同時に操作し機首を引き起こして
翼の迎え角を増し始めながら、
無事に離陸完了――。
ただ、フラジーに操縦桿を握させたら
二重人格の面を持つ性格な為、
かなり派手な空の旅をし兼ねない。
ふっふっふ……。
久し振りの運転で腕が鳴るな。
フリューウィングを使いこなした私の
テクニックをどんどん披露してやるぜ!!!
さあ、振り落とされるなよ。せーの……
あああああああああ!!!!
こ、心の準備がああああああ!!!!
【悲報】かなりヤベえ空、海、洞窟の旅、開始。
****
ここはフェルマータ城の地下通路――。
ヴァールブルク海賊団、船長ゼルガス率いる船員が
フランバージュに捕虜されてしまい
地下牢へと監禁しようと思った矢先
とんでもない事態が起きてしまっていた。
アレドシア様、誠に
申し訳ございません……。
ゼルガスに逃げられてしまいました。
おい、ロギュア。
僕が少し持ち場を離れていた
この数分間で逃げられるなんて反吐が
出るな。責任どう取ってくれるんだ、あ?
それにグラッツもそうだ。
一緒に監視してたくせに、
信じられないよな。ほら、ボサッと
突っ立ってないでさっさと探しに
行ったらどうだ!?
腕の骨、
圧し折ってでも
捕まえて来い。分かったな!!!
****
その頃、ゼルガスは……
フェルマータ城の地下にある四方八方に
張り巡らされた自然に出来た横穴だらけの
洞窟迷路で彷徨っていた。
ふう。何とかアイツ等から逃げ切れたな。
まず、此処がどういう場所か
知らないと……。えっと、
どっち行けば良いんだ?
背後を見たり、
キョロキョロしながら
何があるか分からないこの自然過ぎる迷路に
翻弄されていたけれど、前方確認怠ってしまった為
その先に道が無く、行ける場所は真下。
ゼルガスは真っ逆さまに落ちてしまい
地面に強く頭を打ち、気絶してしまった……。
そう、ここは海水が入り込む洞窟手前――。かつてない程の絶体絶命に陥ってしまった。
****
ここはティブルエイド、
腕っぷしに自信ある方しか入れない
ストークウッド、要するに森――。
少し凶暴なモンスターが生息していたり、
中間地帯に空からでも見える
自然公園「クリアッチパーク」や
冒険者が一度でも見たがる滝「ミネラードフォール」と
言った観光スポットが要所要所に見受けられる。
そんな中、2人の男性が
とある目的を果たすべく、行動を共にしていた。
【????】
疲れたぞ!!
ちょっと休憩だ。それと……
リュックの中に入ってる水筒取ってくれ!!
【????】
さっきミネラードフォールで汲んだ水が
入ってるんだろ。ほらよ。
【アロイス】
礼には及ばないさ。お前を父さんの元に
送り届けないと行けないしな。
で、あれからどうだ……。
連絡は来たか、シルヴェス?
【シルヴェス】
いや。まだなんだ……
何で連絡して来ないんだよ。
第022話:フリューウィング起動!フラジーの華麗なテクニック!!(中編)へ続く……
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