第048話:ヴァンウッドと旅人の宿!シルドラ達のリフレッシュタイム!!(中編)
文字数 5,865文字
前編のあらすじ
完全にシルドラの快癒を果たす為、
フェイスウォールにて薬草の素材を
無事に採取する事に成功。
旅人の宿に戻って来ると、彼は眠りから覚めていた
気付いたら、夕暮れ時。
ここはヴァンウッド。辺りは木々に囲まれた森林地帯。
シンティアと言った花に守られて言えども
夜に出歩くのは危険と察したシャノンは
旅人の宿に宿泊する事を提案。
療養と言う意味を込めて、
シルヴェスは皆に料理を振舞う事を決め
シメシメと何かを企んでいるブラウンの手により
シルドラは無理矢理大浴場へと連行されてしまった……。
※ ここからは当分入浴シーンが続きますので
アイコンはそのまま使用してます。後は
読者の妄想にてお楽しみください。
まずは、女湯――。
ふぅー。さっき扉に貼ってあった
チラシを見たけど、此処のお風呂は
色んな石鹸置いてあるんだな。
どれどれ。ほう。
成程な。全て匂いが付いているのか。
ルミシーはどれを良く使ってるんだ?
私は
レモカットの果汁が入った
この石鹸がお気に入りで、良く
シャノンさんに身体を洗って貰ってるんだ。
この石鹸を作ったお方の
センスは素晴らしいわ。レモカットは
ヴァーズメルトで提供しているメニューにも
使用していてね……
ティブルエイドで
採取出来る柑橘系の一種でして
周りを包み込むような芳香が
特徴なんですよ。
万能って言う奴か。確かに
この香りならシャノンが作るメニューから
漂って来ても、更に食欲が沸いてくるな。
ここに置いてある物は
全部ブランザさんが旅人の身体や私達
巫女族を癒す為に作ってくれたんですよー。
やっぱりな!
だと思ったぜ。石鹸のエキスパートは
アイツしかいないからな。
それなら、せっかくだし
その石鹸使ってみるか。ルミシーちゃん
あたいの背中を洗い流してくれないか?
うん、分かったー。
ミルフさんを癒す洗い方出来るか
分からないけど、頑張ってみるね!
3-、4-、ゴシゴシ。
××をさっぱり洗いましょう。はいっ!
あの2人は似た者同士ですね。
はぁー、ちょうど良い湯加減です。
ブルーノさん、呑気に見てますけどさっきからあの2人、
お尻しか洗ってませんよ!!!
じゃないんですよ!!!ブラウン君とフラジーさんにちゃんと
他の所も洗って!って言って下さい。
たっぷり石鹸が付いた手で
シルドラの胸を何の躊躇いも無しにソフトタッチ。
さっき言ったでしょー。
お胸ぱんぱん。これがシルドラ遊びだよ。
次はフラジーの番。宜しくー!
僕そんなにお胸自信無いんです!
レブロンさんみたいに鍛え上げられた
大胸筋じゃないんですよ。
それに、それに……
人の胸を叩いて笑ってるなんてどういう根性しているんだ、あ?
こちとらずっと痛みを堪えてるんだ。
見ただろ。僕もお前と一緒で病人なんだぞ。
もう土下座しても許してやんないからな。
あっ!!! 君のお胸
ブラウン君が洗ってる最中に触ったから
泡がたっぷり乗ってるんだけどー!
シルドラ君は豊胸ー。
豊かな胸は泡いっぱーい。なんちゃって!
何を思ったのか、ゆっくりと
大浴場の掃除用具入れの中にあった
バケツの中からスポンジ製のたわし……じゃなく
金属製のたわしを見ながら、目標を2人に見定める。
早まっちゃダメだよ!
シルドラ君はそんな事しないよね?
謝りたいんだけど、
さっきから足がガクガク震えちゃって……
ちょ、ちょっと
たわしを持ってこっちに来ないでくれー!!
何故かお尻だけ強調して洗う2人。
肌の質感も良く、常に綺麗でありたいと
石鹸をたっぷり染み込んだ泡立ちタオルで丁寧に磨く。
自分の両手にも、良い匂いが漬け込み
その状態でシルドラの胸を触る。
未だかつて人に胸を触られた事があるだろうか。
それも男に。
何でも許されると思い、
調子に乗ってしまったブラウンとフラジー。
怒りのボルテージを上げてしまい、たわしを持った
シルドラの魔の手から逃げ出そうと
更衣室にある服も着ずに "とある場所へ"。
ミルフさん、凄いですっ!
確か、筋肉って言う奴ですよね。
そうだ。
常にトレーニングしていてな
四六時中、身体を気遣っていれば
自分の理想な筋肉体質になれるんだぜ。
確か、
空大陸に居るって言ってたよな。
古代遺跡の調査をしてるかどうとか。
うん、そうなんだっ!
チームで動いてるんだけど、その
メンバーの中で体力担当を務めているんだ。
そう。凄いのは兄さんの底力ね。
何たって、塞がっている道の岩盤を
素手で壊す事が出来るんだから。
アイツらしいけど。
えっ、素手で!?どんな鍛え方したら壊せるようになるんだ?
シルリアお姉ちゃん、
ほら、後あれ何て言ったっけ? 良く
お兄ちゃんが成功した時に取る
ポーズの名称。モストなんとか。
その先が思い出せないんだよね……
モストマスキュラーの事かしら。
アイツの得意ポーズでね、上半身の筋肉を
強調したい時に使うらしいのよ。
もう何回、
ライガー兄さんのポーズを
見たか忘れちゃったわ。
よし。だったらあたいが
そのポーズを見せてやる。いつか会える
シルリアとプラムの兄である
ライガーに向けてな。
ミルフお姉ちゃん、助けてーーー!!!
シルドラ君がーーー!!!
うわあーい。
色とりどりのお胸がいっぱーい!!!
ブラウン君はどれにする?
ちょ、ちょっと貴方達!
下着も身に着けないで何で此処に居るの?
非常識過ぎるんだけど。
あっ!!!
フラジーさん、ボク達
パンツ穿かないで女風呂に来ちゃった。
見ての通りだ。
フルチンであたい等の目の前に現れるとは
良い度胸だな。覚悟は出来てるか?
あっ、いや……
僕は何にもしていませんよ。
ただ勝手にフラジーさんとブラウン君が。
なーんだ。
ミルフさんのお胸
良く見たらボクの好みじゃ無かった。
じゃあ、次は
シルリアさんで行こうっと!
バストは大きい方が良いもんね。
クリーム作りにミルクは
欠かせないから沢山飲んでるんでしょ。
ほらその証に……
手元にあった
手桶と
石鹸をブラウンとフラジーに投げ付け、追い出す。
何も悪い事してないでしょ?
逃げて来て女風呂に隠れようとしたのに!
つべこべ言わず
さっさと男風呂に戻れ、変態童心二人衆!!
シルドラにこっぴどく怒られて来い。
やっと、のんびりとお湯に
浸かる事が出来ます。アロイスさん
お騒がせして申し訳御座いません。
いえいえ。ただ僕は
里の皆さんをお纏めする長なだけです。
あっ。やっぱりな……
もしかしてフラジーって
シノヴァシアの出身じゃないのか?
良く分かりましたね。
正解です。元々坊主だった彼も
鋼翼を運転している際は、風を感じないと
いけないから、髪の毛を生やし続けたと
当人が言ってた覚えがあります。
フラジーさんの過去話を
話すと長くなるので、今ここでは
割愛させて貰います。いつか聞ける日が
来ると良いですね……
それも、そうだな。
今は庭の風景でも見ながら入浴を楽しもう。
その後、男性更衣室に戻り
堂々たる姿で女湯に行ってしまい
お騒がせしてしまった2人に対する
シルドラの1時間説教フルコースを味わってしまった。
赤茶けた文字が飛び交う光景を
見たくないだろう。彼の静かなる怒りが
もうすぐ訪れる夜の物寂しさと
相重なって度を増すだろう。これ以上、読者に
シルドラの闇がかった表情は見せたくない。
敢えて、割愛させて頂きます(笑)
****
それから更に30分後の出来事――。
台所から香ばしいナッツの匂いがする。
一目散に嗅ぎ付けたブラウンが
手前にあるカウンターに
ヒョコっと顔を出す。
おう。ようやく戻って来たな。
楽しそうな声が大浴場から聞こえてたぞ。
あ、あれ?
お湯に浸かって癒されて来たのかと
思ったけど、違うのか?
もうっ。大変だったんですよ!
ブラウン君とフラジーさんが僕の胸を
パンパンって叩いたり、羽目を外して
女風呂に逃げ込んでしまったんです。
怒る身にもなって欲しいんだけどな……
十分に怖かったよー!!!
あんなシルドラ君は見たくない!!
だって、タワシだよ!
あんな目で向けられたらおしっこ
チビっちゃうよー!!!
済まん。料理中に
そう言った言葉は控えて欲しいんだけどな。
でも、お前等みたいな愉快で
子供心を忘れない童心さ、俺は好きだ。
それで2人共、
コンフェクトフェスティバルの審査員と
来たもんだ。良い顔してるな。
シルヴェス特製、
焦がしクランブナッツ・クリームソース添えだ。
それと冷蔵庫の中にはティブルエイドで
栽培している野菜を使ったサラダも
作らさせて貰ったぞ。
フライパンの上にある
蓋を取り
弱火にし、もう少し焦げ目を付けた所で
冷蔵庫でほんのちょっと冷やして置いた、
先程フラジーが辛い思いをした削り状態の
レッダロスを入れる。
あっ、でも削られているから多少の辛さは
残っても、何とか大丈夫か……。
フラジーさん、安心してくれ。
ちょっぴり辛いだけで、後に
クリームソースを付けて食べて貰うから
味はいくらでも調節出来るように
工夫しているんだ。
匂い嗅いでみるか?
本当にツンと来る辛味だけなんだぜ。
あっー、フラジーさんだけズルいー!
ボクも嗅ぎたいっ!!!
良い!?
さすが、ブラウンだ。
さっきルミシー様から教えて貰ったけど
炒める前に少しクランブナッツを
溶かしたガファラムにくぐらせたんだ。
だから焦がしている部分から出汁が
染み込んでいる筈だぞ。
あの出汁の元をそんな
使い方する人、初めて見ました!!
よし、後は強火で一気に炒めるだけ。
ちょっと危ないぞ。
前屈みになり
肘をカウンターの上に置きながら
シルヴェスの調理工程を一部始終見ていたブラウン。
しかし、豪快な菜箸裁きを披露したと
同時にかき混ぜていた具材がフライパンの上から
転げ落ちてしまい……
ピタッとブラウンの額に見事な着地。
今度はブラウン君ですか!?
早く頭を冷やして下さいっ!!!
シルドラ君、違う違う!!
頭じゃなくて、額です!!
台所の水道の蛇口を
捻って
額の部分に冷水を当てて、処置をしていくブラウン。
もうっ! ボクの
可愛い額に痕が付いちゃうじゃん!!
ふうー。危うかったけど
これで何とか大丈夫です。何か怖いので
後にシャノンさんからお薬貰おうっと。
それが一番ですねっ。
あ、シルヴェス君。お皿並べましたよー。
その時、シルヴェスが作った料理の匂いに釣られて
女風呂からミルフ達、そして男風呂から
アロイスが更衣室から出て来る。
更には一区切りついて
作業机がある自室の扉から出て来るシャノン。
再びリフレッシュルームに一同集結。
あっ、ミルフさん。先程は
お2人が迷惑掛けてすみませんでした。
いや、もう良いんだ。
それに今ここでシルヴェスが作った
出来立ての料理を食べ損なったら
覚めてしまうぞ。せっかく湯気が
立ってるんだ。美味しいうちに食べようぜ!
ヴァンウッド、シノヴァシアの
領域に異常は無しだ。これでシルヴェスが
作った料理に有り付けたな、コレッタ。
ほら、ルミシーちゃん。
長なんだから好きな席選んで良いぞ。
あら。いつの間にルミシー
様から
ちゃんって呼ばれてるんですね。
俺達の為に作ってくれてありがとな。
快く堪能させて貰うよ。
もちろん!! 多めに
作ったからおかわりはいくらでもあるぞ。
皆、好きなだけ食ってくれ!!!
そうですね。皆さんも
席に着いておられますし。
準備は……、っと大丈夫そうですね。
皆が座っている前のテーブルに並ぶ豪華な夕食。
食べている時の幸せそうな横顔。
料理を提供した人からしたら
これは至福の時間。目の前には自分が作った
料理を美味しそうな表情で食べている人が沢山いる。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)