第112話:珍プレー・好プレー続出!?釣りビギナーズvs湖底に潜む主!!(後編)
文字数 9,951文字
※このお話は汚い描写があります。
前編のおさらい。
ピュアレイクにて2組に分かれて
釣りを心行くまで楽しむシルドラ達。
湖面も陽射しでキラキラと光り、
今日だけは何もかも忘れ、釣り師ラウルによる
指導を受けながら釣りを堪能していると、
ボート釣りをしているシルドラ・ミルフペアが
湖に沈んだボートのスクリュープロペラを釣ってしまう。
今語られる
三大暴君魚「オウズリウム」を巡る過去。
その背後には、
凶暴かつ残忍な性格である事を
身を持って知らされた1つの襲撃事件がそこにはあった。
****
あの荒くれ魚を今日こそ
ピュアレイクから追い出してやる!!
そうだ。今から数か月前
俺とユメトの父親は奴に遭遇した。
しかし、猛威を
揮われた
挙句乗船していたボートは壊されてしまい
投げ出された彼を担いで
必死に岸まで泳いだ。
ボクの父さんは
空大陸の地理に
詳しくてね。
この湖で起きていた事もずっと
ラウルさんと問題解決のために
ずっと策を練っていたんだ。
ただ、俺は黙ってられない。
ピュアレイクは皆の憩いの場でもある。
平和も
命も
失ったら二度と帰って来ないんだ。
空大陸を汚すようならこの身を晒そうが
維持でも守って見せる。
うぅぅ~、ラウルさんカッコいい~。
僕もその身体で守られたい!!
でも、その巨大魚は
いつからこの湖に居座ってるんだ?
ずっと湖底に潜んでた訳じゃないだろ。
先程、僕は店内でこの湖に
棲む魚は全部、淡水魚だと拝見しました。
だけど、可笑しい点がありまして……。
えっ、な、何!?
ボクにも分かるように教えてよー!!!
おう。要するにだ。
この店はラウル自慢の店だろ?
釣り師なんだからこのピュアレイクで
釣れる魚の知識、水質、環境を
隅々まで熟知しているはず。
おうよ!この湖はオレの庭だ。
1匹1匹の生態はノートに記載してる。
魚の事なら何なりと聞いてくれ。
"何故、オウズリウムの資料が何処にも保管されてないんですか?"
だとしたら、三大暴君魚って何だ!?
誰かが湖に放棄したのか?
頃合いを見計らったかのように
空賊 "デッドアッシュ" 頭領エドガーの息子
ヴァレッドが店内へと姿を現す。
おい、ヴァレッド!!!
お前、湖になんちゅう魚を放ったんだ!?
見れば分かるだろ。
手に負えなくなった暴れ魚だ。
この左頬の傷もコイツの歯に噛まれ
痕が残ってしまった。
だったら最後まで責任持って元の棲処に返してやったらどうだ!?
ここは繊細な水が売りのピュアレイクだ。
他所の魚を持ち込むなよ!!!
そのせいで、ユメトの
父親は魚に対する恐怖心が出来てしまった。
攻撃されてボートの外に投げ出された
過去とずっと戦っているんだぞ。
それがどうした?
身体が無事ならどうって事無いだろ。
ひ、ヒドい!!!
ユメト君の前で何て事言うんですか!?
今すぐ謝って下さい!!!
ヴァレッドさん!!!
ユメト君はまだ10才なんですよ。
そんな最低な事言わないであげて下さい。
オリバー、お前は黙ってろ。
用があるのは騎士団と現抜かすラウルだ。
そんで、オウズリウムはどうするんだ?
オレでさえ手を焼いたあの暴君、
お前等で制圧出来るとでも?
じゃあ、お前も手伝えよ!!!!今だけは冷戦を認めてやる。
飼ってた魚を湖に放すな、って
言う法律なんかこの世界には無ぇからな。
川や池、海にだって沢山の魚が存在する。
ふっ。きちんと生息地に返してあげたんだ。
オレって優しいだろ、シルドラ?
…………。
ヴァレッドさん、
それは優しさではありません。
あっ、出た!!!シルドラ君の秘技・同情改心術!!!!
悪いけど、そんな茶番に付き合う暇は無ぇ。
その間違いは後で聞かせて貰おう。
おい、1つ聞かせろ!!!
デッドアッシュは何を目論んでる!?
戴冠式か、それとも――
おやおや。
ライトフェザーであろう者が
フィルハート城の歴史を知らないとはな。
そんなんで姫の護衛が務まるのか?
ただ、デッドアッシュは
親父を筆頭に馬鹿でけぇ計画を遂行する。
指を銜えて待ってる事だな。
残りの2匹は何処だ!?
まさか、空大陸の何処かに捨てたのか!?
ふっ、安心しろ。
オレはオウズリウムを処分しただけだ。
残りの2匹の詳細はもちろん
居場所すら知らない。
今頃、どっかの大陸で
大いに暴れ狂ってるんだろうよ。
おい、ポイ捨て野郎!!!
あたい等がその魚をひっ捕まえたら
次はお前等だからな!!!
ああ、良いぜ。ポニーテールが似合わない頭にしてやる。
斯うして、ヴァレッドは
薄気味悪い笑みをこぼしながらも
ラウルが経営している釣具店 "フィスクブルー"を後にする。
だけど、今ここにいるのは
ピュアレイクの環境を守りたい
心優しい自分と頼れるメンバーです。
まずはオウズリウムを釣り上げて
この湖から悪者を退治しちゃいましょう!
僕も皆の力添えになるか
分からないけど、頑張るよ!!!!
水面下の悪意は
懲らしめるまで。
あたいに出来る事があれば言ってくれ。
あっ、ぼ、ボクも
最年少だけどやる気だけは十分にあるよ!
ホント、励まされてばかりだな。
何かみっともない姿を見せて済まん。
別に大丈夫ですよ。
焦ったら何も成果は得られませんですし。
色々と整えて万全に挑みましょう。
うわー、さすがティブルエイドの英雄だ。
褒め上手のシルドラ君だね!!
そう。そして可愛い男の子
代表のボクが英雄のマネージャーなんだ。
良いでしょー?
【問題発言③】
ブラウンを餌に巨大魚釣っても良かと?
えっと、あれだな。
デスク上にパソコンが見えるだろ?
それが、かなりの
優れ物でな
ビデオチャット機能が搭載されてんだ。
今の音は通話開始を知らせてくれる通知音。
えっ!!!そんな唐突に言われても心の準備が……。
Forchatと言うパソコン上のビデオチャット機能。
デスクトップ上搭載のカメラに向かって
まずはラウルが対応。
そこに映し出された人物は――
【グリア】
あっ、ちょっと!!!
今ボクが喋ってるんですから
少し位ラウルさんとお話させて下さいよ!
【リュート】
もうっ。グリアばっかりズルいぞー。
オウズリウムの途中経過を
聞きたかったのに!!
えーーーーっ!!!後10分、いや5分だけでも良いから
もう少しだけお話させて!!
め、目の前にフロストさんが映ってる。
僕に冒険の楽しさを教えてくれた
心の恩人でして……。
はいっ!!!空大陸はお日柄も良く
先程までラウルさん指導の釣りを
ピュアレイクで体験させて頂きました~。
すっかりと冒険者の顔になったな。
兄さんから聞いた通りだ。
え、えっ!!!な、何であたいの名前を知ってるんだ!?
そ、そうだよね!!
初対面だから会うのは初めてなのにー。
あっ、そうだ!
お、思い出しました。
確か彼もフロスト社長と同じ
クランチャードの社員、でしたよね。
覚えててくれて何より。
お前達も無事に空大陸に到着したんだな。
もちろんですよ~。
皆さんも元気で何よりです。
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん。
――成程。思った通り
あの魚の生息地は空大陸じゃ無かったか。
ええ。オウズリウムは
鮫の子供。
大人になるとオウズシャークと言う
鋭い歯と強い顎を持つ獰猛な
危険生物に成長します。
この世界の割とあらゆる
海洋に広く分布し、沿岸域では特に
目撃情報が絶えないと報告受けていますね。
リュートさん!!!
どうやったら退治出来るか、教えてー。
ボク達、この湖の平和を守りたいんだ!!!
ふふっ、ブラウン。
彼はピュアレイクを守る騎士団の1人。
そんなアイツが黙っている訳ないだろ?
おう。シルドラ達が釣り上げてくれた。
グリアの知恵のお陰だな。
えっと、リュート君と
オウズリウムの習性を調べてたら
その暴君は我楽多の油を好き好んでいてね。
以前、ユメト君の父が
襲撃されたボートのエンジン部分、
スクリューにこびり付いたオイルを餌に
湖底をずっと徘徊してるんだ。
いや、オウズリウムを
舐めないで下さい。
その危険生物の嗅覚数値は100。
数メートル離れた先でも
意図も容易く匂いを嗅ぎ取ってしまいます。
そうだ。お前等が
その最後のパーツを釣り上げてくれた。
何処に沈んだか分からなくてな
ずっとお手上げだったんだ。
じゃあじゃあ、
そのお魚さんも餌を取られて
今頃怒ってるんじゃないかな!?
良いか、ラウル。
オウズリウムの捕獲は投網しかない。
※
目合いとは……
投網の網目の大きさの事で、単位は節と表します。
26節が一番細い網となるので、
大きめの魚を釣り上げたい場合は6~5節を
選択する必要があります。
※ 4~3節は基本ありません。
この世界限定の巨大魚を釣る基準と覚えてくれると幸いです。
お前等!あのボートに乗ってくれ!!!
捕獲方法は船上で教える。
よーーーーし!!!
ボクもラウルさんに貢献しないとね!!
あっ、こりゃ参ったな。
これから本番なのにお腹鳴っちゃった。
よし!この一騒動が終わったら
この俺が夕食をたらふく振舞ってやる。
深呼吸を
整え、
ラウルとシルドラ達は巨大魚オウズリウムに挑む。
空賊デッドアッシュ "ヴァレッド" の手により
湖に捨てた怪魚を退治する為、そして
撃退の知恵をくれたクロスウッドの
海産業会社クランチャードに
良き報告が出来る事を。
****
エンジン付
リトルボート2台で水上走行中の2組。
ラウル・シルドラ・ユメト、
ミルフ・ブラウン・オリバーに分かれて現在、並行運転中。
ふん。間違い無い。
湖底にはもう餌が無いと興奮して
自然に浮いている木の残骸を丸齧りした
音がさっきの正体だ。
他にも
餌を狙う者が現れたと思い、
オウズリウムは勢い余って水上へ飛び出して来た。
突如の出来事にラウルは蛇行運転へと切り替える。
彼の後に付いて行くかのように
ミルフもそのまま運転をし続け、
跳躍力は想像の遥か斜めを行く
今まで姿を隠してきた暴れ魚の全貌を目の当たりにする。
"オウズリウム"。
この湖に解き放たれた暴れ魚……。
全長最大5m、体重約300kg。
それだけでも凄い詳細なのに、
物怖じともしない堂々たるその暴れ魚の歯や
そう簡単に近寄らせない独特の気配で
今まで釣り師や保護団体でさえ
手を焼かせていた。
怖くなんか無い!
怖くなんか無い!!
怖くなんか無いんだからっ!!!
その
隙を付いて、お前等は
急いであそこに見える小島へ向かってくれ。
ユメトとブラウンは支援。
ミルフ、お前が投網で奴を捕らえるんだ。
それに、この捕獲は
重さ・遠心力が必要になる方法。
この中で俺の次に力がありそうな奴は
ミルフしかいない。
よっしゃ!!!そんな大役任されたらやるしか無いだろ。
でも、お魚さんも
網に捕まったら必死に抵抗するよね!?
あっ、分かった!
それを支えるのがボク達なんだね!!
そ、そうか!!!
ボクとユメト君でミルフさんの
背中を力強く引っ張ってお魚さんを
陸に上がらせる。自由を奪えば良いのか!
安心してくれ。友人の釣りガールから
知識と投げ方を教わった事がある。
あっ、ラウルさん!!!
大変!ボートのエンジン部分が――
くっ!このままじゃ
不味い!!
お前等、急げ!!!
ここからオウズリウム戦は更に加速する。
ラウルサイド。
馬力船外機を搭載してまでも
圧倒的な泳ぎをしても疲れを見せない
三大暴君魚の1匹にラウル自身も焦り始め
アクセルレバーでスピード加減を調整しながら
暴れ魚との距離を少しずつ離していくけれど、
奴の方が一枚上手。
クソッ!この野郎
急旋回にも対応できるのかよ!!
どんだけ生命力に満ち溢れてるんだ!?
オウズリウムに
齧られた
船板から
湖水が侵入し始めてます!!!
あぁ、もう次から次へと!!!
シルドラ、オリバー、このバケツで
少しでも多く水を掬いあげてくれ!!!
あ、ありがとね!!!何とかしてボートが沈むのは避けないと!!
ミルフサイド。
ピュアレイクの真ん中に浮かぶ
小島に一足先に到着したミルフ、ブラウン、ユメト。
投網での漁を友人から教えて貰った通りに
三つ手取りの「手取り」と言うモノを
ステップ毎に準備し始める。
えっと、投げた網が流れないように
手首にこの輪を通し――
あっ!!!この木に何か
生ってるー。
美味しい果物に見えるんだけど
ユメト君何か知ってる?
って、お前等!!!
何、平和なやり取りしてるんだよ!!!
こっちはずっと緊張してるんだぞ!!!
だ、だって!!!怖いと思ったらおしっこチビっちゃうもん!
だから!!!あたいの
目の前で汚い発言するなってーの!!!
もうっ、そんな事言わないでよーー。
急いで戻って来るからさ!
そんな時、ミルフ達が居る
小島の10時の方向からラウル達が乗った
ボートが刻々と迫って来ていた。
何とか、シルドラとオリバーが
船板から侵入していた水をバケツを掬い上げ
リトルボートの沈没を回避しているけれど
浸水は継続していて、いつ沈没を果たすか分からない。
このままだと
協力してくれてる2人にも危害が及ぶ。
何とか早急に対処しようとミルフ達の元へと急ぐ。
投網の準備は出来てるよ!!
後はラウルさん達が追い込むだけ。
よし、分かった!!!今からこのボートごと小島へと突っ込む。
浸水したボートなんか後数秒の命だ。
わざと壊して船外機のオイルを流れさせる。
ザバンッ(3人の着水時の音)
そして、無人のリトルボートは
背後に迫るオウズリウムと共に一直線。
目の前にはミルフ達が待ち構えている小島。
ふぅー、スッキリしたー。
ミルフさーん、網の準備はどう――
ブラウン、
避けろ!!!
ボートが突っ込んで来るぞ!!!
リトルボートは船外機から煙を出し小島へと上陸。
地面に船床を擦りながら直線上の跡を残し
物凄い速度でブラウンの元に迫る。
ブラウンは
咄嗟に
でんぐり返しみたいな身軽な技を見せて回避。
その直後、果物が生っていた木に衝突し
何とか停止したのは良いけど、岩礁に当たった際に
タンクキャップ上のエアー抜きネジが外れてしまい
オウズリウムの餌 "オイル" が零れ出し
その凶暴な魚は大きな口を開け
体内へと取り込もうとする、その時――
ミルフは網を一目散に投げ、
身動きが取れないように行動を封じ込める。
しかし、やはり三大暴君魚。
ラウルにも言われた通り「出せ!出しやがれ!!」と
言わんばかりにオウズリウムは必死の抵抗を見せる。
投網を離さずに掴んでる
ミルフの背中をしっかりと引っ張りあげて
暴君魚の猛攻を阻止するけれど、
先程の泳ぎといい、齧る威力といい
モンスター級並みの生命力を誇る為、
どんなにブラウン達が頑張っても余裕綽々である事を
尾鰭を振って、ミルフを嘲笑っている。
もうっ!!!!お願いだからピョンピョンしないでよー!!
ヤバい、オイルを飲み干した……。
このままだと逃げられる。
ザザッ(投網を引き摺って湖へ逃げようとする音)
くそっ、ブラウン、ユメト!!!
あたいの背中から離れろ。
ダメですよ。ボク達が
全力でミルフさんを引っ張りますから!!
ふふっ。
あたいの事は心配すんな。
奴の怒りを鎮めるだけなんだから、さ。
オウズリウムの力強い
行動力に
ミルフの身体ごと、湖に力強くサブンと着水。
これでは、せっかく投網を使った漁が台無し。
意地でも逃がさない為にしっかりとしがみ付く。
自分の身を投げ打った結果、
何とか功を奏し、先にボートから着水したラウルが
力強い泳ぎを見せながら渾身の一撃を水中で繰り出す。
これでも喰らえ!!!オメガスマアアアアアアアッシュ!!
守る想いが強い時こそ
繰り出せるジョブ "ギャラクシー" の拳技。
本来は効果として赤髪になるらしいが
今はなりふり構ってる暇は無い。
しかし、暴君魚の身体には全く効果が無く
結果として鱗が少量取れただけ。
屁でも無い挑発ぶりに
ラウル達も遂にお手上げか、と思ったその時
オウズリウムが "何か" を嗅ぎ取り、その場で気絶してしまう。
打撃による攻撃手段が
無効だとしたら他の理由がある筈。
取り
敢えず
小島へ引き上げて口の中を調べるぞ!!!
ふぅー、何とか引き上げましたけど
やっぱり300kgは重いですね。
これは、
アンモニア臭だよな。
でも、発生源は何処だ?
こんな湖のど真ん中で匂うなんて、
何処かに獣が用を足した位しか心当たりが。
"何か" に気付いたブラウンは
先程ボートが衝突した木の物陰にひっそりと
隠れようとする所をオリバーに見つかってしまう。
あっ、いや……。
ちょっとこの辺を散歩しようかなっと!
そう言えば、ブラウン君も
さっき用を足しに少し席を外したよね!
…………。
オウズリウムの嗅覚数値は確か100。
アンモニア臭が湖水と混じって
飲んだ際どうなるんですか?
匂いの度数によるけど、
大体はどんなサイズの魚でも気絶――
じゃあ、ボクは
一足先にリトルボートで向こう岸に――
ひゃっ!!!もうっ、オウズリウム退治出来たんだから
良いじゃんかよーーーー!!!!
ああ。荒くれ魚退治の活躍は花丸だ。
仕留める所が気絶させる事が出来た。
その行動力は認めよう。只な――
湖水を汚した罰は重いぞ!!快適に過ごす魚の気持ちになってみろ!!!
斯うして、ブラウンの放尿により
三大暴君魚の1匹 "オウズリウム" との
凄絶なバトルは見事ラウル達に軍配が上がった。
大いに汚いオチに
着地してしまった事は謝罪させて下さい。
次の話はピュアレイクで釣れた淡水魚、そして
ユメト宅の庭に熟れている複数の実を使って
ラウルが腕によりを掛けて料理を振舞う話となります。
そして、物語は色彩の実の1つ
グリームバームを巡り、新たな展開を見せる。
****
空大陸の何処かにある "洞穴" 。
これが、
戴冠式に
献上される
色彩の実。
名前はグリームバーム……。
【セルヴァン】
ああ、安心するが良い。
城の書斎を三日三晩寝ずに調べ上げた。
そこから頂戴した情報だしな。
流石、名実共に
フィルハート城の執事第1人者の
地位を占めている逸材なだけの事はあるな。
滅相もございません。
私はかねてよりお世話になった
ハドリス様のご依頼を引き受けた迄です。
ティブルエイドで起きた
狼族襲撃事件により両親を亡き者にされた
1人息子の名に恥じない為にも、な。
彼の正体は、
過去にティブルエイドで起きた "狼族襲撃事件"。
8月20日、アレドシアの生誕祭に出席し、
他界してしまったシルディバート夫妻の
1人息子。
第113話へ続く。
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