第003話:リンクリングへ続く道!ティブルエイドでの邂逅!!(前編)
文字数 3,378文字
よっ。あたいはミルフだ、宜しくな!
前回のエピソードで紹介したっけ?
忘れっぽい性格なんだ。悪いな!
あっ、そう言えばリンクリングの
話をしようと思ってたんだ。
せっかくだったら色んな人に知って
貰いたいしな。えっと、この世界には……
ちょ、ちょっとミルフさん……。
それは本編のネタバレになってしまいます。
まだ本編前の軽い雑談なので、
お控えください!!
あ、そうだったな。済まない!
じゃあ、本編が始まりそうだから
あたいの事、皆宜しくな!
女流格闘家を目指して日々鍛錬、はっ!!!
ここは、ティブルエイドの港町、
そして海の玄関先でもある「ビューウェーブ」――。
海を行き来する豪華客船や様々な業者が乗る船が停泊、
更には現在シルドラがいる中央の
噴水広場から左右の道を行くと
マリンスポーツやアクティビティなど
様々なエンターテインメントが楽しめる浜辺エリア。
そして、この港町を抜けるルートにはこの町に住みながら様々な出店を経営している商売エリア。
合計2つのエリアが存在する。冒険者と言うモノ、
初めて訪れた場所に感動を覚える。
それはもちろんシルドラにも影響が出ていた……
す、凄いよー!
ここがティブルエイドかあ。
あ、看板があった。えっと、
港町「ビューウェーブ」って言うんだねー。
何か雰囲気が少し
ピュアブルーに似ているよー。
活気があって、結構人も多いな。
海の玄関先だからかなー!
でも楽しそうっ! まず
どこから行こうかなー!?
中央広場にある噴水がシルドラの歓迎を
祝福しているかのように高く噴き出る。本日は快晴、
雲1つ無い青空がどこまでも続いている。
そう、ここはティブルエイド――。
ただ、彼は遊びに来た訳ではない。
目標は世界地図を作る事……。その為には
この大陸をもっと知ったり、そして彼が一番
期待している色んな人との交流。
好奇心旺盛な彼の性格は、更にこのビューウェーブに
訪問した事で興奮がグンッ と跳ね上がった。
ただ、お腹だけは正直――。
こう見えてシルドラは美味しいモノに目が無い。
ピュアブルーに居た時は、両親の知り合いだった
漁師の人からお魚を貰って、教えて貰った方法で捌いて
自分なりに調理して食べていた。
出店から漂う良い匂いに誘われ
目を輝かせていた。ただ、何処か不安な表情もしていた。
僕、お魚には目が無いんだー。
美味しそうな匂いだな。
何処から匂って来るんだろー?
あっ、このお店だー。
御兄さん、このお魚は何て言うんですか?
おう、見慣れない服だから冒険者だな!
この魚は今朝採れたばっかりで
ティブルエイドでは有名な魚、
名前は「シャロモン」って言うんだ。
焼くと脂身からにじみ出る汁と
ご飯の組み合わせがベストマッチだ。
くぅ~、ご飯が欲しいぜ……!
(うっ、美味しそう…、
だけどお金がない……。
持ってるのはクロスウッドの通貨だけだ。
残念だけど丁重にお断りして、
何処か別の場所で時間を潰そうっと……)
御兄さん、教えてくれてありがとうっ!
実は今手持ちがないんで、
また別の機会にでも良いですか?
その時はまた訪れますので
宜しくお願いします!!
でも、君……
さっきからお腹が鳴ってるの聞こえてるぞ。
彼の目の前には網の上で綺麗な
焦げ目が付いているシャロモン。
見た目で美味しい事が分かる事から
シルドラの食欲は更に活性化し、挙句の果てに
お腹空いた時に不意になるグゥ と言う音が
店員さんにも伝わってしまう……
仕方ないな、お金持って無いんだろ?
今回だけは特別だ。せっかく
ビューウェーブまで来てくれたんだ。
そのお礼として1尾だけだぞ!!
えっ、悪いですよ……。
あっ、だったら違う大陸の通貨ですけど
それで宜しければお支払いしますよー!
あっ……
持参している鞄から取り出そうとした瞬間、
それに狙いを定めていたかのように
シルドラの所持金を横取りしようと
猛ダッシュして来た男の人に奪われてしまう。
ちょ、ちょっと……!
ぶつかって来たのはそっちなのに
何で謝らないんですかっ!?
へっへーだ。お前の話聞かせて貰ったぞ!
違う大陸のお金を持ってる
そうじゃないか……。
そういう代物は売れるんだ。
余所見していたお前が悪いんだぜ。
じゃあな!!!
そのまま泥棒はシルドラに捨てセリフを
言い残し逃げて行ってしまう……。
どの世界にも盗人は存在し、
ひたすら相手が持っているモノでも
平気に強奪してしまう。
それは大陸は違えど何処に行っても同じ……
それと同時刻、1人の女性、そして2人の男性が
シルドラが腹いせに言い放った「泥棒ー!」の声を聞きつけ
次々と姿を現していく……
ブルーノ殿ぉ、シルドラさんの
甲高い声が聞こえました。どうやらお財布が
何者かに奪われたようです……!
【ブルーノ】
勇敢で、誰にでも優しく
接してくれるシルドラさんなら
見事に財布を取り戻すと思います。
ただ、その泥棒を見逃す事は出来ません……
ですよね、フランバージュの用心棒、
赤髪の狼ことレブロンさん……
燃え滾るような赤い髪型、
身に着けている服装から
自分で強調している大胸筋、腹筋、そして
上腕二頭筋、上腕三頭筋の様子はオールパーフェクト。
全て極限まで鍛え抜いた身体を見せびらかすのように
路地裏を重低音のようなドシドシ と言う音で
ブルーノの前に現れ始める……
【レブロン】
ブルーノ、俺は忙しいんだぞ……
要件を言うなら手短に頼むぞ!!!
もちろんですよ……
私から言う事は、シルドラさんと必ず
リンクリングを交わすように。
その一言だけです……
もちろんどう言った意味か分かりますよね?
ああ、フェルマータ城の一件だろ?
こっちでも探りを入れている所だ……
ただ、俺が奴に会うのはまだ早い。
お前、何が目的だ?
貴方率いるフランバージュとの邂逅です。
彼は1人だけでほぼ不可能に近いこの世界の
地図を作り上げようとしています。
その為には多くの仲間を増やす
必要があるのは、レブロンさんも
重々承知していますよね?
そういう事なら、オレ等のリーダー
アレドシアに聞きな。
自分じゃ判断出来ねぇ……!
要するに今やるべき事は
彼の財布を奪った泥棒を
撃退すればいいんだな。御安い御用だ……
それ位、分かってる……!!
じゃあな、ブルーノ。
お前も体には気を付けるんだぞ……
彼の名前はレブロン。
ブルーノが言った通り、フランバージュと言うチームで
動いていて、役職としてリーダーである
アレドシアの用心棒を務めている。
どうやら皆の
知らない所で何かが動いている事は間違いない……
ただ、彼等とリンクリングを交わす事に成功すれば
シルドラの仲間として大きな戦力となり、
必ずやどんな苦境に立っても
皆の協力と共に成し遂げる事が
可能になるのは間違いない。
(フェルマータ城……ですか。
シルドラさんならヴァルさんの心の病を
回復してくれるでしょう。)
(ただ気を付けて下さい。
フランバージュはヴァルさんを
処刑するつもりです……。シルドラさんは
リンクリングを交わした仲間を引き連れて
アレドシア達に交渉を持ち込めば
必ず考えを改め直してくれる筈です。)
そう、このお話のタイトルである
「キズナ・ワンダーランド」……。
色んな人との出会いを経験して絆を深めて行き
決して争いが起きない体(てい)で
物語が進行するハートフル冒険物語でもある。
ただ、一筋縄ではいかない敵も
この世界の何処かに必ず存在する。
それとは裏腹に、フランバージュがヴァルを
処刑するのにも理由がある。
場所はフェルマータ城、シルドラが後に訪れる
ティブルエイドの中でも最古の建物……
お財布盗られると言う幸先悪いスタートを切った彼は
無事に取り戻す事が出来るのだろうか、それは次の後編で!
ちょ、ちょっと……
前編終わっちゃったじゃん!?
あたいの出番は後編なのかよ!!
でも、シルドラさん
お財布盗られちゃったから
取り戻すのはもちろん……
はーい、ミルフさんストップー!!!
それ以上は作者のボルトさんに
ネタバレは控えるようにって
言われているので……済まないな!
それにシルドラさんとちゃんと
リンクリング出来たか知りたいのにー。
じゃあ、あたいのこの鍛えられた足腰で
泥棒撃退出来たかそれだけでも……
ああー、勝手に終わらないでよー。
じゃあね、次はあたいの出番だぜ!
皆見てくれるよな!!
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