第025話:レブロンとエンディア!シルドラの涙が告げる決意表明!!
文字数 4,390文字
乗り越えてこそ男だ。
アイツもきっとシルドラの事を忘れてない筈。
そうじゃないと、俺は……
前回のあらすじ。
フリューウィングを操縦する
エアロブルー飛行場の伝説の操縦士フラジーと
決して忘れる事の出来ない別れ方をしてしまったシルドラ。
彼の気持ちも考える事なく、ミルフと
レブロンは言葉で突き放してしまい
彼が最も嫌いである "1人きり" にさせてしまう。
"アロイスが語った故郷 "クロスウッド" の過去"。
シルドラがそこまで絆と友情に拘っている理由。
ポイズリーフと言う凶暴モンスターに
襲われそうになった彼を助け出した
エンディア含むカインドフォースメンバーと共に今
紐解かれようとしていた……。
****
フリューウィングから無事に着陸し
シルドラと合流した場所――。
はぁ……、はぁ……。い、居ない。
シルドラ、何処にいるんだ?
茂み、近くの木々、石で出来たスツールが
置かれている休憩スペース周辺をくまなく探すレブロン。
何処を探してもシルドラの姿は……
急に足早になり、地面に落ちている物を拾う。
それは、冒険のリタイア宣言と共に彼が
フラジーとの一件で自分が不甲斐ない結果で
終わってしまった為、地面に叩きつけてしまった
友情や絆が詰め込まれたリンクリング。
……ったく、俺ってホント馬鹿だな。
アイツが笑っている姿、好きだったのに
自分から手放したんだから……
レブロン、フランバージュのリーダー
"アレドシア" の用心棒であり、世間を騒がしている
格闘家 "グランザ・エルフォード"の弟。
そんな彼の性格は
① 負けず嫌いでプライドの高い努力家。
② 落ち込むときにとことん落ち込む。
③ 涙脆く情に熱い人情家。
苦しんでいるシルドラに余計な事を言った
己の情けなさに痛感し、時に見せる涙が
これからもずっと友達で居たいとポツポツと
地面に零れ始めて行く。
それでも探さないと行けないと思い、彼は
クリアリッチパークへと向かう……。
****
ここはクリアリッチパーク。
アスレチック広場、キャンプ広場、
スポーツ広場、トレーニング広場と言った
色んなエリアに分かれている為、初めてティブルエイドに
訪れた冒険者はここで自分磨きをする
謂わば、鍾乳洞に引き続き
屈指の観光スポット――。
エンディア率いるカインドフォース、シルドラが
やって来たのは丘が高いキャンプ広場。
一番星が綺麗に見えるちょっとした場所に
設けられているベンチに腰掛けていた。
…………。
成程な。お前、今ティブルエイド含む
色んな大陸をその目で見て地図を作ろうと
してるのか。良いじゃないか!!!
それと同時に、リンクリングって言った
絆や友情が深まる時計持ってるんだろ。
見てみたいぜ!!!
シルドラはもう誰も失いたくないんだ……アイツだって天国で見ている筈だ。
お前の頑張りをずっと見て来た
ダチなんだから。だろ?
でも……、また間近でフラジーさんが
当機と一緒に半生を終わらせる光景を
見てしまって、止められなかった
自分が悔しいんです……。
それに、レブロンさんとミルフさんに
八つ当たりして、一緒に過ごした仲間を
傷付けたんです。冒険者失格ですよね……
必死に探して10分――。
まずは謝罪をしなければならない。
今はその事だけしか考えて居なかった。
自分とフレンドモンスター"グレント"との
過去を振り返った時に……
アクアヴェークの砂浜で見た燦然たる星々に
目を輝かせていたのを思い出し、シルドラももしかしたら
心を落ち着かせる為に自分の足で綺麗に星が
見える場所に移動したかもしれない。と思い
レブロンは一番最初にクリアリッチパーク内の
地図を見てここだ!と判断し彼の元に辿り着いた。
お前を迎えに来たんだよ!!!シルドラ、俺の方こそ済まない……
えっ……、何でレブロンさんが謝る必要が
あるんですか? 悪いことを
したのは自分なのに……
シルヴェスが教えてくれたんだ……
詳しくは知らないけど、最近まで
お前の故郷の治安が悪かったと。
お前がレブロンって言う奴だな……。
はじめまして。って言いたいけど今は
そんな場合じゃないんだ。
分かってるのか!?
シルドラは大切な存在を失ってる……。
両親が居ない間、ずっと頼りにしていた仲
だったんだ。そいつが亡くなって1ヶ月。
未だ苦しみと戦っている中、自分を
変えたくて、ようやく決心付いて
冒険始めたんだぞ……。
師匠? 俺、お前を弟子に取った
覚え無いぞ。さっきシルドラから聞いて
初めて知ったからな……。
舐めてない!!!お、俺は……エンディアさんの熱い心、
そして、誰とでも友達になりたい
心構えを尊敬してるんだ。
だったら、何でシルドラの気持ちに
気付いてあげられなかったんだよ!!!
ずっと冒険してるんだろ?
シルドラの口から喋ったかは知らないけど、
俺は一時的な仲間なんだ。普段は
フランバージュって言うチームで
動いてる。計画が全て終わったら直々に
リンクリングを交わそうと……
そうだ。でも、これだけは分かって
欲しいんだ。シルドラ……、お前の
望む冒険が上手く行かない時だってある。
それは、此処にいるエンディア達も
分かっている筈だ。
知った口が何言ってるんだ?
エンディア様、どう落とし前……
シルドラ……、これからお前は
どうしたいんだ? 男ならビシっと
決意する事が大事だぞ。
だ、誰も失いたくない……
別れが辛いのはイヤなんです……
分かってるんです。だけどいざ、そういう
場面に遭遇すると昔を思い出しちゃって……
僕はずっと友達だった
彼から
絆、友情の在り方を教えて貰ったんです。
それなのに、何で……!!!
だったらさ、シルドラ。
フラジーって言う奴どうだった?
好感触だったか聞かせてくれないか?
シルドラを笑わせてあげたいんだな!!!ほんの少しの時間でも一緒に過ごした
仲間との思い出は消えないからな。どうだ?
フラジー……さんは
飛行艇へ掛ける想いが強い。そして
人を笑わせたり、とんでもないテクニックで
空中飛行を楽しませてくれました……
怖かったですけど。
乗り越えてこそ男だ。
アイツもきっとシルドラの事を忘れてない筈。
そうじゃないと、俺は……
何言ってるんですか。
フラジーさんも此処にいる皆の笑顔僕……
大好きなんですっ!!!だからもう僕の元から離れないで下さい!!!
なんだ。愛の告白か?
もう皆遅いからつい来ちゃったけど……
これは断じて説教ではない。
シルドラが流した涙は、きっとこれからも
どんな瞬間でも忘れる事が出来ないモノとなる。
それは、どんな困難が壁となり
立ちはだかってもミルフとレブロン、そして
これから先リンクリングを通して繋がっていく仲間が
打ち壊して行くに違いない。
絆も友情も更に彼の冒険を
彩って行くモノとなり、それぞれが各個たる
成長を遂げ、後にシルドラと筆頭に
"とある大陸で世間を揺るがす" 事に
なるとは誰も思っても居ない……
焚火の前で待機していたものの、
ずっと落ち着きを隠せなかったミルフは
アロイス達を引き連れて
クリアリッチパークへとやって来た。
シルドラ、やっぱりあたいには
お前が必要だ。さっきは酷い事
言って済まなかった……
ほら、見てみなよ。
お前の周りにはこんなに素敵な笑顔が
出来る奴が沢山いるんだ!!!
きっとフラジーって言う奴も
お前にはずっと笑っていて欲しい筈だ。
お互い頑張ろうぜ!!!
シルドラ、お前の強い決意受け止めたぜ。
誰も失いたくないなら、とことん自分の
やり方で引き止めて見ろ。それが
リンクリングがある本当の意味
じゃないのか!?
ほら。リンクリング、拾っといてあげたぞ。
フランバージュとして全て終わったら
お前と契約だ。約束だからな!!!
ミルフさん、レブロンさん……
カインドフォースの皆さん……
こんな僕で良ければ今後とも
宜しくお願いしますっ!!
更にミルフとレブロンと
仲がより深く極まったシルドラ。
リンクリングを再び腕に装着し……
【朗報】
無事に涙を乗り越えて、冒険者として復活を果たす。
よし!! 此処には俺より
キレッキレのエンディア様が居るんだ。
本物のサイドチェストを聞かないとな。
おう!!!
よし、レブロン。お前も相当
鍛えられているから一緒にやるぞ。
準備は良いか!?
【レブロン/エンディア】
はいっ、サイドチェスト!!!
二人のマッチョが今ここに光解き放ち
広背筋、僧帽筋全体、三角筋、上腕二頭筋や三頭筋
大胸筋、腹筋、大腿四頭筋、大殿筋……
鍛え上げられた筋肉達が
シルドラの新たな冒険の幕開けを喜んでいた。
そして、エンディア様率いる
カインドフォースとの再会を経た
彼の冒険は更に濃厚なモノとなり
ホットソープ編へと近付く――。
****
ここは、一番ティブルエイド最北端にある港
ラズリアポート。
港町ビューウェーブ、
漁港アクアヴェークとは違い、セレブ御用達の
リゾートホテルやプライベートビーチ、ブティック等の
施設が並列されているエリア。
埠頭周辺に停泊している豪華客船から降りてきたのは
大陸“スティンゼア”からのお客様。
【????】
ほら、着いたぞ!
ここが自然豊富な大陸“ティブルエイド”だ。
俺等が住んでいる大陸とは違う風の匂いが
するじゃん。どうだ、感じるだろ?
【????】
もうっ、すぐ匂い嗅ぎたくなるんだからっ!
お兄ちゃんらしいねー。
でも、本当に空気が美味しいから
散歩しながら早く目的地に行きたいな。
だよね、レルナお姉ちゃんっ!
【レルナ】
えっと、ホットソープは……
そこからそんなに離れてないね。よし。
ランザー、ヒューナ。
ここからは私が地図見ながら
ガイドするわ。付いて来てくれる?
【ランザー】
レルナはいつも頼もしいな。
おう。宜しく頼むぞ。
耳が特徴的で、
尻尾が生えている。
そう……、シルドラ達が3番目に
訪れる事になる大陸の住民。
彼等は、狐族――。
第026話へ続く。
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