『水木しげるの娘に語るお父さんの戦記』

文字数 588文字

『水木しげるの娘に語るお父さんの戦記』/水木しげる

戦争の話が続きます。

説明不要な妖怪漫画家の水木しげるさんが、娘さんに語るというスタイルで書かれた(描かれた)お話。

元々は絵本だったんですね、水木しげるアートな挿絵がたくさん入っていて、すばらしいです。

(さすが絵がすごいのです。うわあ、これ全部点描だぁ。どんだけ時間かかったんだろう?ってつい思っちゃいますw)


語られるのは、最前線の落ちこぼれの兵隊さんだったお父さん(水木しげるさん)の昔話。

争い合う自称文明国同士の醜い戦争の現実と、その舞台とされてしまっている南の島の原住民(文明人と自称する人々からは土人と見下される人々)の平和な生き様。そして、まるで天国のような自然。セカセカと時間に追われ、人間同士で争う人々と、おおらかに自然の恵みを喰べのんびり生きる人々と、どっちが幸せで文化的なんだろうと悩む姿はとても印象的です。


断片的なエピソードは別のところでも聞いたり読んだりしたことありましたが、まとめて(娘に語るように)わかりやすく描かれていて、とてもよかったです。


衛生面は別として、南の島、憧れちゃいますね。衛生面は別としてw

(おまけのひとこと)

もともとの絵本版は1985年に「お父さんの戦記」として出版されていました。本書はそれを増補・改訂して文庫化したものとのことです。


Original Post:2017/03/03


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登場人物紹介

神楽坂らせん

読書の合間に本を読み、たまにご飯してお茶して、気が付けば寝ている人です。一度おやすみしてしまうと、たいていお昼ぐらいまで起きてきません。

愛読書は『バーナード嬢曰く。』

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