『ハイキング・ハンドブック』

文字数 858文字

『ハイキング・ハンドブック』 / 村上 宣寛

もっと知的にハイキング!!


すごいの一言!ハイキング好きな富山大学の教授が書かれたハイキングのハンドブックなんですけど、人体の歩行モデルの解析から運動エネルギーを割り出して、エネルギー効率よく最良の歩き方をするには・・・なんて、とっても科学的なアプローチで書かれています。


重い山靴より軽い靴のほうが怪我をしにくい。とか、荷物の重さを半分にすると、歩ける距離は倍になる。なんていういままでのハイキングの常識をバンバン科学で否定していく語りは痛快そのものw


あ、ハイキングと言っても、これ、日本で言うハイキングのイメージとはだいぶ違う、超ロングディスタンスな、何日も何ヶ月も歩くやつです。(ロングトレイル系ですね)


『遊歩大全』なんていう、その長ロングハイキング系の思想書(?)を紹介したこともありました。この本でも何度かその遊歩大全(バイブル)が参照されてますが、私自身こういう、主に経験則に基づいた本しか知らなかったので、こう科学的にせめられるとまさに目からうろこ。歩き方から変えなきゃと猛反省しきりです。


けっきょく、経験則第一で、私も昔ながらの考えの信奉者だった様です。この本が言うところの一般的ハイカー同様 確証性バイアス に陥っていたのでしょう。


確証性バイアスとは、最近良く聞くいちど信じたら疑いにくい傾向がある、というやつですね。それ以外にも二重盲検法やらEBM(根拠に基づく医療)やらランダム化比較試験やら数式やらでがっつり説明されちゃうと、もうバンザイしてすごいすごいと知的好奇心に突き動かされながらついつい一気読みしてしまいました。


知的にハイキングされたい方(いるのかな?w)は是非一読をオススメします。古典的な常識が破壊されてすんごい面白いですヨw

(おまけのひとこと)

宗教書(バイブル)からはじまった徒歩旅の本も、いつしかこうして科学のメスがはいるわけなのです。

でも、やってることはただのハイキングなんですけどねw


Original Post:2016/06/06


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

神楽坂らせん

読書の合間に本を読み、たまにご飯してお茶して、気が付けば寝ている人です。一度おやすみしてしまうと、たいていお昼ぐらいまで起きてきません。

愛読書は『バーナード嬢曰く。』

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色