『ペンギン・ハイウェイ』
文字数 1,024文字
いたいた、こういう子。
最初の感想はこんなかんじ。いわゆる「ハカセくん」系の小学4年生、アオヤマ君が、いかに自分は冷静で(実際5歳になってから怒らないと決めたそう。そして、それを実行している)いかに科学的であるか。日々の発見や記録をノートにつけ、毎日真面目にすくすく順調に育ち、毎日すこしづつえらくなっている。と、そんな独白からはじまります。「(このまま毎日着実に成長して、)大人になったらどんなにえらくなっているか見当もつかない。 ~ (その頃には)結婚して欲しいという女の人もたくさんいるかもしれない。けれどもぼくはもう相手を決めてしまったので結婚してあげるわけにはいかないのである。」
こんな子。いませんでした? で、鼻につくかなあとおもったけれど、そんなことはなく、彼の生真面目さが可愛いらしくて、ついついページをめくっちゃうのです。
そんなアオヤマ君の暮らす町に、ひょっこりペンギンが現れたあたりから物語がはじまります。
謎のペンギンと、ふしぎなお姉さん。みょうに達観してものに動じなさそうなお姉さんとの会話、二人の信頼と、噛み合わないようで噛み合っているテンションがとてもよいかんじ。
森見登美彦なのにらしくないなあ。っていう杞憂も、この二人の掛け合いを読んで、いや、そんなことはない、やっぱり森見登美彦だったわ。と安心しますw
そしてそして、ラストにむけてどんどん不思議展開がひろがっていき、ファンタジーのようなSFのような森見ワールドはやっぱりばっちり健在!と、嬉しくなりました。京都だけじゃなかったのね!w
それと、お父さんがすっごく良いです。こんなお父さん素敵だなあ。この親にしてこの子あり!アオヤマ君も良い子だし、めっちゃ良いです。
とくに京都にこだわりがない人、とってもオススメです。森見作品で初めて泣きましたわ><
アオヤマくんは泣かないと決めてましたが、ラストで私は泣いちゃいました。ごめんなさい><
※解説の萩尾望都(!)の文を読んでまた思い出し泣き!!(´;ω;`) あ、この解説はめっちゃネタバレしてるので本文読み終わるまでぜったい読まないで!><
いつもは京都が舞台の森見さんですが、この本の舞台は奈良のあたりだそう。それで関西弁がすこし違うかんじなのですね。それにしてもその地域の雰囲気を描くの、とてもうまい方です。よいわー☆