『主役じゃなかった彼に捧げるささやかな悪意の日記』

文字数 1,114文字

『主役じゃなかった彼に捧げるささやかな悪意の日記』/晴海まどか

読んじゃった!ぎゃー!!と、つい悲鳴あげちゃいましたよ><


こ、れ、は、ヤバイです。いろんな意味で。

ワタクシもちょろっと物書きっぽいことをさせていただいているもので、いままで、この著者の晴海まどか先生を「キャッキャウフフの師」と勝手に仰がせていただいておりました、が、とんでもない。

すいませんごめんなさいわたしがわるいございました! って裸足で逃げ出すレベル。

これからは「バイオレンスの匠」と呼ばなくては・・・なのですw


最初、女子高生がちょっと気になる男子の観察日記を書く。という、まあ、無くはないよね。という状況でスタート。

ただ、観察日記ってあれですよね、科学的な視点で見ると、観察対象に感情移入してはいけないわけです。そこはそれお話なので、観察者が対象にだんだんと感情移入してしまって最後には・・・(キャッキャウフフ?)なんてありがちな展開をいじわるく先読みしつつ読み始めたわけですよ。

が、そんなひねくれた読者(ワタクシ)の想定を遥かに超える冷徹な「悪意」が観察に込められていてびっくり!

うわこれどうなっちゃうんだろう。とドキドキしながら読み進めることになります。

前半は高校生活や人間関係描写が上手いなあ。さすがですわーと舌を巻きながらページをめくり、だんだんと高まる悪意の濃度に息が詰まりながら(でもドキドキしながら)、とうとうある衝撃的な1ページにたどり着いてしまいます。

そこの仕掛けに、え、あ? コイツ? もしかして!? なんて前のページに戻って確認したりしてw 

そして、今まですこしづつ与えられてきた悪意という毒がとうとう臨界点を超え、一気に暴走します。

もうページをめくる手はとまりません。

完全に著者の術中ですw

ほうほうのていでラストまでたどり着いて、ようやく、物語の根底にあるのはやっぱり少女漫画の文脈なのだということに最後の最後の行でハッと気が付きました。これを、これだけの悪意と毒で塗り固めるとは!!


うっわこりゃかないませんわ。と。完璧脱帽です。


すんごくドキドキしますけど(2重の意味で)、この悪意を消化できないと危険です、万民にはおすすめできません。

タイトルに付け加えるなら「毒入り危険。子供は読むな」です。

紹介しといてなんですが、ご利用は自己責任でおねがいします><

(おまけのひとこと)

晴海まどかさんは、セルフパブリッシングのパイオニア、と言っていいのかしら。かなり初期から電子書籍を書かれている方です。キャッキャウフフ系を得意にされているのかとばっかり思っていたので、この本はほんと衝撃でした><

Original Post:2015/10/11


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登場人物紹介

神楽坂らせん

読書の合間に本を読み、たまにご飯してお茶して、気が付けば寝ている人です。一度おやすみしてしまうと、たいていお昼ぐらいまで起きてきません。

愛読書は『バーナード嬢曰く。』

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