『虹の天象儀』
文字数 746文字
『虹の天象儀』 / 瀬名秀明
いまはもう取り壊されてしまった渋谷駅前の東急文化会館ビルの屋上に、かつて丸いドームがありました。
それが天文博物館五島プラネタリウムです。
そのプラネタリウムで44年間休まず星空を投影し続けた、カール・ツァイスⅣ型プラネタリウム投影機。
この名機もプラネタリウム閉館に伴い、解体される運命にありました。
最後の投影が終わった後、投影技師の前に一人の不思議な少年が現れます。
「宇宙船みたいだ……」そうつぶやく少年にせがまれ、つい思いを込めて投影機の説明をする技師。つい説明にも熱がこもります。
……この機械は、どんな時代の星空も再現することができるんだ。
宇宙船のようであり、タイムマシンのようでもある古い古い機械。
その機械と、不思議な少年に導かれ、いつしか技師は時を越えます。
星々を見上げる思いと共に。
そんな、ロマン溢れるお話でした。
実は、解体されたこの五島プラネタリウムの投影機、再び組み立てられて、今は渋谷区大和田図書館で展示されています。間近にカール・ツァイスⅣ型が見れちゃうんですよー☆
渋谷を訪れる際にはお散歩がてらぜひ大和田図書館までいってみてください。
ついでに、この本も借りられるといいですね♪
渋谷の街はいまも超大型の再開発がすすめられていて、どんどん様変わりしています。これはそうして変わっていく街の記憶と、星々を映し出す機械に魅せられたエンジニアの物語。すてきでした☆
おまけとして、この大和田図書館に置かれているカールツァイスⅣ型の写真をぺたっとしておきます。