『さよならアリアドネ』

文字数 768文字

『さよならアリアドネ』/宮地 昌幸

新婚ラブラブで幸せの絶頂にいたアニメーター氏の前に現れた謎の未来人アリアドネ邦子。彼女から「15年後、貴方は奥様や友人達に捨てられ、不幸のどん底に落ちるでしょう」と言われます。

それを救うには「15年後の8月23日を72回繰り返し、最良の結果を手繰り寄せるしかないんです」そしてそのヒントは飼い猫のコテツ。


真夏のタイムトラベル、猫、繰り返し、そして吉祥寺!?


SFファンとアニメファンが大好物なネタ満載。アニメ業界ネタと吉祥寺界隈の現実の風景情報が大盤振る舞いで、登場するほとんどのお店や路地が実在します。あのあたりがお散歩コースな私はけっこうにやにやしながら風景を思い浮かべてました。(最近、アニメの背景で現実の世界をそのまま映しているのがありますが、あの影響でしょうか?w)


ただ、そうしたギミックだけでなく、お話しのほうもこれがまたけっこうなかなか良いのです。

72回の繰り返し、単にちょっと文章を変えただけのコピペが繰り返されていたらどうしよう? なんて読み始めの杞憂は一瞬でなくなり、ハラハラしながらページをめくって、中盤でかなりウルウルしてしまいました。

そしていきなりの大展開! っと、そこからはネタバレになるので書きませんが、著者はアニメ監督さんだけあって引きがうまいですわー。早々にアニメ化はできないと思ったとあとがきで書いてますけど、ここで1クール目終わり、2クール目の引っ張りは・・・とかきっと考えてたんだろうなーと思いましたです。


アニメファン(というか業界ファン?)で、けっこう大人な男と女のモノガタリがお好きな方にはおすすめなSFですねん。

(おまけのひとこと)

吉祥寺や三鷹の周辺ってアニメスタジオが異様に多いんですよね~。なぜなんでしょ?

Original Post:2016/04/28


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登場人物紹介

神楽坂らせん

読書の合間に本を読み、たまにご飯してお茶して、気が付けば寝ている人です。一度おやすみしてしまうと、たいていお昼ぐらいまで起きてきません。

愛読書は『バーナード嬢曰く。』

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