『デューン 砂の惑星』
文字数 1,237文字
いやあ、ほんとすごい。以前にもどこかで書きましたけど、これ半世紀前の小説なんですよね。ずっとSFオールタイムベストの1位を独占してたって話も、力強くうなずけちゃいます。
今、ひっさしぶりに読み終えた私の感覚をひとことで言っちゃうと、「50年前のSF界にもエヴァンゲリオンがあったのね」って感じです。(まあ、エヴァももう20年前ですけどw)
下巻に収録されていた水鏡子さんの解説でこれまたびっくりしましたが、あのころのSFって、キャプテンフューチャーやレンズマン、せいぜいファウンデーションって時代だったそうで…(ちょっと偏見?)あ、もちろん、いま挙げたお話しがつまらないとか劣ってるってわけじゃないですよ、あれはあれで面白いと思うです。
それが普通って時代に、こんなお話が突然でてきたらそりゃあ業界びっくりするだろうなあ。というインパクトって意味。ですね。
そして、それ以後のSF界を塗り替えてしまった。そんなすごい話。というかんじです。
遥かな未来、灼熱の砂漠に覆われたとてつもなく異質な星を、その生態系からしっかりと練り上げて、かつ、その時代と宇宙の政治や哲学、支配者たちの力関係等も、今の地球とはまるで違うものを作り上げ、その中で生きる人々の考え方、生き方や宗教観を登場人物ごと、陣営ごとに描くすごさ。
将来を見渡せる未来視能力、優生学的神秘主義、人間だけでなく国家や社会や宗教までが、それぞれ一個の生物のように互いに影響を与え合って生態系を作っているかのような超越的な視点。(その系すらもまた一個の生物として描かれているような?)
作中の登場人物もよく口にする「謀略の中の謀略の中の謀略」「計画の中の計画の中の計画」そのままの、何重にも折り重なった陰謀。お互いに5手先6手先を読みあう権謀術数。
読者はそうした超越知性集団の陰謀に翻弄されながら、砂漠で力強く生きる人々に感情移入し、やがて宇宙全体を巻き込む
このDUNEシリーズ、著者のフランク・ハーバードが亡くなる直前まで書きつづけられ、物語のタイムスパンは6千年にも及ぶ一大叙事詩なのだそう。未完なのが悔しいところですが、息子さんが続きを書き、堂々完結させているとのこと。でも、日本語にはまだ未訳。
この新装版が売れに売れて、完結編もついでに邦訳してくれませんかねハヤカワさん!
これはもう、語り出したらひとことじゃすまなくなる大作ですねぇ。わたしは小さい頃にこの話のすごさを売れない作家さんから教わった覚えがあるのですが、内容のほうは当時は挫折してぜんぜん読めていませんでしたw
あれはふるい訳なので矢野 徹さんの翻訳のはず。表紙もなんと(新訳の表紙もかっこいいけど)石ノ森章太郎さんだったのですよね。探し出して再読してみようかなー?