『飛ぶ教室』

文字数 870文字

『飛ぶ教室』エーリヒ・ケストナー/池田香代子訳
ホワイトクリスマスの夜に、暖炉の前で読むのに最適な本はなにかしら。
と児童文学スキーの友人に聞いたら、速攻で紹介してもらった本です。
さすがにおすすめだけあってめっちゃ素敵な本でした♪

ドイツの寄宿学校、ギムナジウムで寝起きする仲良し五人組。詩人に臆病なおチビさん、マッチョなボクサー志望、クールなアウトサイダー、そして貧乏な秀才。彼らのやんちゃと友情と、ライバル学校との(有史以前から続いている?)壮絶だけれども厳格なルールに則った闘い。
訳者の池田香代子さんいわく、「思春期にある人々は、なまいきな子どもでも、不完全な大人でもありません」とのこと。そんな、人生のとても大切な時代がいきいきと描かれています。
そして、少年から青年に成長していく彼らを優しく見守る先生と、近所の払い下げ車両に住む世捨て人。この大人たちがとても良いのです。
みんなまっとうに正直に生きていて、全員がすてきなクリスマスを迎えます。
それぞれが受け取ったプレゼントは・・・? それは、ぜひ本を読んでみてください。ぐっときますよー☆

ところで、ケストナーさんの本は『ふたりのロッテ』しか知らなかったわたしなのですが、実はこの方、当時のドイツのナチス政権から迫害され、実際にこの本を書いているときにも、彼の本は集められ焚書されてしまっていたのだそうです。
一読目はいったいこのしあわせな本のどこが政府批判なのかさっぱりわかりませんでしたが、あらためて当時の時代背景などを考えながら読むと、まっとうなことをまっとうに、正しいことを正しいといえなかった頃、命がけでドイツの子どもたちに正義を語っていたのだなあと、作家の視点を想像してからもぐっときました。すごい人ですケストナーさん。
(もちろん、そんなきな臭いことを考えなくても、ふつうに良いお話でおもしろい本ですよー♪)
他にもいろいろ訳されているので、探して読んでみようとおもった年の瀬の夜でした♪
(クリスマスはちょっと過ぎちゃいましたけどね)
Original Post:2017/12/29

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登場人物紹介

神楽坂らせん

読書の合間に本を読み、たまにご飯してお茶して、気が付けば寝ている人です。一度おやすみしてしまうと、たいていお昼ぐらいまで起きてきません。

愛読書は『バーナード嬢曰く。』

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