『誰が音楽をタダにした?』巨大産業をぶっ潰した男たち
文字数 1,205文字
/スティーヴン ウィット (著), 関 美和 (翻訳)
今ではもう信じられないことですけれども、むかしむかし、音楽は有料でした。
CDに入った数曲が数千円って金額でCDショップに並んでいたわけです。さらにその昔はレコードなんてのもあったわけで。
誰もインターネットなんてしていないし(そもそもないし)、携帯音楽プレイヤーはカセットに録音したウォークマンで低音質のモノを聞くのが若者の流行り。なんて時代があったわけです。
そんな時代からちょっとだけ現代に近寄ったころ、ナップスターというネットサービスが表れ、音楽がいくらでも無料でネットからダウンロードできる時代がやってきます。
著者は、そんな、あらゆる音楽はネットから自由にダウンロードできるのがあたりまえ世代の真っただ中で、「そういえばこの音楽たちはいったいどこからやってくるんだろう?」と疑問を持ち、追跡を始めるのでした。
そもそも最初は有料だったはずの音楽は、誰かがCDを買ってデータ化してネットに流しているわけですが、いったいなぜ? 誰が? と疑問をもったのですね。
そして、探しつづけるうちにどんどんと深みにハマっていきますw
実をいうとナップスター以前から音楽データはネットに存在していました。ナップスターはそれをリストアップして普通の人が共有できる仕組みをつくっただけです。では、その元データはだれが?
追いかけていってみると、なんと、インターネットのなかに、まだ発売前のCDを次々と入手してリッピングする秘密組織が浮かび上がってきます。そして、さらには世界中の音楽データのほとんどはあるたった一人がリークしていたという事実にたどり着いてしまいます。
物語(ノンフィクションなんですけど)は、このリーク犯と、高度に組織化された秘密グループと、それを追う音楽権利団体、警察にFBI、そして、そもそも音楽をデータ化し圧縮する技術、mp3を開発したエンジニアたちのストーリーが交互にくみあわさり、インターネット技術の進歩もかぶさって、事実とは思えないほどドラマチックに、(ワクワクというのもちょっとアレですが、)けっこうハラハラドキドキに進行します。
音楽ファンはもちろん、著作権や、現代の版権・権利ビジネスに興味のある方にはちょーおすすめ。
読んでみて、ネット社会における価値ってそもそもなんでしょう? なんて、いろいろと考えさせられてしまうのです。
♪ほんとうですよ~ しんじないかも~ しれないー けーれーどー♪ ※
なんて、まるでひとみちゃんのように謎歌をついつい歌いたくなりますが、これホントなんですねえ。すごいですねえ。
(今は亡きナップスターには水木一郎アニキの歌とかもあったのかしらねえ?)