『バッタを倒しにアフリカへ』

文字数 945文字

『バッタを倒しにアフリカへ』 前野ウルド浩太郎

前から気になっていた本、読みました。めちゃくちゃおもしろかった!
ファーブルにあこがれて昆虫学者を夢見ていた著者の前野ウルド光太郎さんは、大学で博士号を取ることはできたものの、研究者として給料を貰えるようにはなかなかなれない、いわゆる貧乏ポスドク。

いつの日か研究だけで食べていける昆虫学者になりたいと、夢に掛けて向かう先は西アフリカのモーリタニア。

当時、日本人は12人しか居ない、『地球の歩き方』にも掲載されていなかったというその国は、しばしば最強の害虫【サバクトビバッタ】が大量発生して、農業に深刻な被害が出てしまっていたのだそうです。
さらにその国だけでなく他の国にも(バッタの大群は何百キロも移動するので平気で国をまたいで移動する)甚大な影響を及ぼし、大規模な飢饉の原因にもなっていたのだとか。

我々日本人にはなかなかピンとこないけれども、こうしたバッタの蝗害(こうがい)は聖書やコーランにも書かれていて、バッタの羽の文様はヘブライ語で「神の罰」と書かれている。なんて古代アラビア人には言い伝えられていたのだそう。
そんな、恐ろしいバッタの災害を食い止めるべく、モーリタニアを、アフリカを、ひいては人類を救うべく、貧乏ポスドクの日本人は単身、表紙写真のような格好で砂漠に向かうのでありました。

最初は、「ふーん、大群になるのってイナゴだと思ってたけどバッタのほうがなるのね」程度の薄い知識と、興味本位で開いた本です。語り口のおもしろさと主人公(著者本人ですw)のキャラの立ちっぷりで楽しく読みすすめていました。ら、気が付けば彼の状況は、過酷な環境、不運、挫折、そして財政難などの大人の事情が積み重なってとうとうどん底へ。

でも、そこでようやく覚悟を決めた主人公(本人ですw)は、周囲の助けや新たな武器、それに恩人となった現地の研究所所長からいただいた「ウルド」というセカンドネームを胸にして「神の罰」に戦いを挑むのです!

後半はもうそのまま最終回手前の少年漫画のような構成でめちゃ盛り上がり、教養本じゃなかったのこれ!? っていいながら手に汗握ってページめくってましたです。

いんやーおんもしろかったーw

Original Post: 2017/11/15

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登場人物紹介

神楽坂らせん

読書の合間に本を読み、たまにご飯してお茶して、気が付けば寝ている人です。一度おやすみしてしまうと、たいていお昼ぐらいまで起きてきません。

愛読書は『バーナード嬢曰く。』

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