『解体屋外伝』
文字数 699文字
『解体屋外伝』/いとうせいこう
いとうせいこうさんって、TVタレントじゃなくて、実は作家さんなんですよ(いやほんとにw)
時代をそのまま切り取って、文章にする才能はものすごいとおもっています。最近あんまり本職(だと思うのだけれど……?)の作家活動されていないのかしらん。本屋さんではあまりお見掛けしませんのでちょっと残念なのですが……。
と、いうわけで、そんな、いとうせいこうさんの出世作らしいこちら、読んでみたのです。
読み終わって(文庫版についていた)香山リカさんの解説を読んで、「え? これってオウム事件の前に書かれていたの!?」とめちゃくちゃ驚いて鳥肌でした。
読みながらずっと、てっきりあの事件を元に、想像を膨らませて書いた小説だとばっかりおもって読んでいたですよ。
私たちは「あの事件」を知っているので、「ああ、こういうのあるよなあ、わかるわかる」って言いながら読めるのですが、それを、事件がおこる前に書いちゃえるとは……。
本当にいとうせいこうという人は時代の描写の天才です。どうしたらこんなことできるんでしょう?w
(おまけのひとこと)
あ、内容についてなんにも書いてないですねw
タイトルの「解体屋」というのは、人の脳のプログラム(洗脳)を解体する、デプログラミング。つまり脱洗脳のようなものです。コンピュータのプログラムを消したり上書きしたりなんてことは自由にできるわけですが、それが人の脳に対して行えてしまったらどうでしょう。そして、それを体験した人はどうなるのか? なんて読みながら思考実験をついついしてしまう、ある意味でコワイ本だったりします。
Original Post:2017/07/05