『空色勾玉』
文字数 669文字
『空色勾玉』 / 荻原 規子
日本神話の神々がまさに国造りの真っ最中(?)の豊葦原が舞台。日本書紀や古事記を下敷きに描かれた国産のハイファンタジー!
光そのものである
世界は長く光と闇の戦いのはざまにゆれていたのだが、ただいまこの時は光につつまれた地上へ父神の光臨をと願う御子たちの戦いで光の力がつねになく強大となり、すべての暗闇を一掃してしまおうとしていた。
そんな時、この戦いのカギを握る一人の乙女、狭也が月代の王に見い出された。心から光の輝きに恋い焦がれる少女なのだったが、実は彼女は闇の氏族の巫女姫であり・・・。
とまあ、そんなお話ですw
リアルに不死である神様が居る世界で、彼らの観点からは不完全な死んでしまう生き物である人間たちとの断絶感が世界をよく表現しています。同じ言葉を交わしていてもバックグラウンドが違うので齟齬があるのですね。
神々の御業である光や闇のエネルギーの描写はたんたんと、上代文学のように出来事ありきでざっくりすすみます。
それに人間である乙女・狭也の視点がかぶさり、人や心、恋と成長の物語になっているところがこれまたすばらしい。
ジャパニーズ・ハイファンタジーの原点にして最高傑作です♪
Original Post:2016/10/04