
ルワンダ-赦しの丘
1994年4月6日夜、ルワンダ。大統領機撃墜直後に始まった武力衝突は集団虐殺、ジュノサイドへと一気にエスカレートする。それから逃れるように、200万人以上の大量のルワンダ難民が周辺各国へ巨大な波のように次々と押し寄せた。
各地に出現した巨大な難民キャンプで国連やNGOの支援団体のスタッフは難民の生命を救うために日夜奔走する。
だが、その実態は虐殺を逃れ、命からがら国境を超えた難民が暮らすキャンプではなく、虐殺を行った強硬派が暴力と恐怖により、同じルワンダ人難民を支配する「死のキャンプ」だった。
多くの難民が強硬派により殺され、援助関係者も犠牲になる恐怖にさらされながらも、その悪魔と手を組まなければ、大都市のような50万人の巨大難民キャンプを維持できない絶望的な矛盾した状況に援助関係者はもがき苦しむ。
インターン時代の事故を十字架として背負い、難民の女の子を救えなかったことで医師のキャリアを捨てる決意をしてアフリカをさすらう日本人青年、岡田研もその一人であった。
偶然出会ったケニア人医師ベンに導かれるように難民援助に関わる。その背景に驚くような、国を越え、時間を超えて織りなされた先人たちの強い友情と絆があった。
内戦下のルワンダ、混乱状態のザイールへの危険を冒しての潜行。各地で広がっていたのは言語に絶する虐殺の痕跡と難民の状態だった。
そして、キガリで出会った地獄の3か月の虐殺を生き延びたタンザニア外交官ポールの虐殺犯への激しい怒りと憎悪に戦き、援助団体のルワンダ難民支援への批判に狼狽する。
救っている難民によって自らの存在が肯定され、難民キャンプに安住の地を見つけたかと思う不条理さに戸惑いながらも、ベンらアフリカ人スタッフとの友情を深める。そして、アメリカ人女性スタッフ、ステイシーとの出会いにより何かが動き出す。
しかし、それもつかの間、血に飢えた憎悪と苦痛に満ちた難民キャンプでの悲劇は繰り返される。
作者の実体験に基づくアフリカ大陸を舞台にした日本人男性の青春を描いた現代冒険フィクション、長編第一作。
*注意* 残酷・暴力描写有り
目次
完結 全103話
2023年06月10日 01:24 更新
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関係地図と略語一覧
- アフリカ南部と大湖地域地図2023年05月02日
- ンガラ周辺と難民キャンプ群地図2023年05月02日
- 略語一覧2023年05月01日
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プロローグ:難民の丘
- 1. 急降下2023年05月24日
- 2.東京北部空襲2023年05月24日
- 3.難民キャンプの町2023年05月24日
- 4. ルワンダ新政権2023年05月26日
- 5. 増える虐殺犠牲者と予期せぬ再会2023年05月26日
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第1部 国境を越えて―ザンビア、タンザニア、ケニア
- 1. 深夜の訪問者2023年06月09日
- 2.失われた二つの命2023年05月24日
- 3.難民キャンプを後に2023年05月24日
- 4.インド洋の港町2023年05月24日
- 5.ダルエス・サラームの夕焼け2023年06月02日
- 6. 東京下町2023年06月02日
- 7. 再びアフリカへ2023年05月24日
- 8. ケニア人外科医、ベンとの出会い2023年05月24日
- 9. ACESナイロビ本部事務所2023年05月24日
- 10. タンザニアのブルンディ難民2023年05月24日
- 11. 早朝の強盗2023年05月26日
- 12. ダルエス・サラーム再び2023年05月26日
- 13.ナイロビからの電話2023年05月24日
- 14.深夜の告白I-エチオピアの飢餓2023年05月24日
- 15.深夜の告白II -ゲリラNGO2023年05月25日
- 16.ビルマでの戦い2023年06月10日
- 17.キリマンジャロの雪2023年05月26日
- 18.ルワンダ大統領機撃墜事件2023年05月26日
- 19.ルコレ・キャンプ2023年05月26日
- 20.難民キャンプのクリニック初日2023年05月26日
- 21.難民の暮らし2023年06月02日
- 22.国境を流れる死体2023年05月26日
- 23.ルワンダ国境での不気味な動き2023年05月26日
- 24.難民の奔流2023年05月27日
- 25.不眠不休の難民支援2023年06月02日
- 26.難民キャンプ新プロジェクト2023年05月27日
- 27. ジュノサイド疑惑2023年05月27日
- 28.消えるジャングルと難民組織の成立2023年05月27日
- 29.栄養不良の子ども2023年05月27日
- 30.余ったワクチンのなぞ2023年05月27日
- 31. 「ガテテ」、ムランビの屠殺人2023年05月27日
- 32.人質事件2023年05月27日
- 33.われわれが作り出したフランケンシュタイン2023年05月27日
- 34. 人道ストライキ2023年06月02日
- 35.ナイロビ・ホテル爆破事件2023年06月03日
- 36. 人道支援現場での日常2023年05月28日
- 37.RPF新政府樹立とジェノサイド2023年06月03日
- 38.小さな巨人-マダム・オガタ2023年05月28日
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第2部 ゴースト・カントリー:人が消えた国
- 1.ルワンダ国内視察準備2023年06月03日
- 2.ベンの盟友、小児科医チャールズの不満2023年06月03日
- 3.ルワンダへの同行者2023年06月03日
- 4.ルスモ国境I2023年05月28日
- 5. ルスモ国境II2023年05月28日
- 6.アフリカ・エイズ街道2023年05月28日
- 7.Enjoy Your Stay!-ルワンダ入国2023年05月28日
- 8.無人の街道2023年05月28日
- 9.ゴースト・カントリー2023年06月03日
- 10.キガリ2023年05月29日
- 11.メージャー・ローズ2023年06月03日
- 12.クリスティーンを探して2023年05月29日
- 13. キガリ、三日目2023年05月29日
- 14. 虐殺の傷跡2023年06月04日
- 15. ギセニ、無人の国境町2023年06月04日
- 16.ゴマ、難民に埋め尽くされた町2023年06月04日
- 17.ルワンダ難民経済圏2023年06月04日
- 18.キガリへの帰路2023年05月29日
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第3部 大きなアボカドの木の下で
- 1.ルワンダ復興社会再統合省にて2023年05月29日
- 2.国連の限界2023年06月10日
- 3.「人道か、正義か」― 突き付けられた疑念2023年06月08日
- 4.「罪と罰」-深夜の激論2023年06月05日
- 5.虐殺を生き延びた子犬たち2023年06月05日
- 6.フランス軍トルコ石作戦「保護地域」2023年06月05日
- 7.人道支援は免罪符なのか2023年06月05日
- 8.ンガラへの帰路-ルワンダ東部の無人地帯2023年05月30日
- 9.ルワンダ視察の影響2023年05月30日
- 10.カンボディア内戦との不気味な一致2023年06月06日
- 11.急激に悪化するキャンプの治安2023年06月06日
- 12.膨張を続ける難民キャンプ2023年06月06日
- 13.ザンビア人産婦人科医、ドクター・ダニエル2023年06月06日
- 14.開校式、爆破未遂事件2023年06月06日
- 15.イギリス軍からの銃2023年05月30日
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第4部 ステイシー
- 1.ステイシーの過去2023年06月07日
- 2. 1987年ブルンディ、ブジュンブラ2023年06月07日
- 3.「アンジェ」-私の天使2023年05月31日
- 4.RPFによるフツ人虐殺疑惑2023年05月31日
- 5.ンガラの丘の上2023年05月31日
- 6.難民キャンプ、恐怖の日々2023年05月31日
- 7.ルワンダ国際戦犯法廷の設置2023年05月31日
- 8.ザンジバル島での束の間の休息2023年05月31日
- 9.ポールの分析 内戦の黒幕 I- ウガンダ2023年06月08日
- 10.ポールの分析 内戦の黒幕II – フランス2023年06月08日
- 11.難民キャンプからの武力侵攻2023年06月08日
- 12.突然のキャンプからの撤退2023年06月08日
- 13.ベナコ・キャンプでの暴動2023年06月09日
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第5部 ルワンダ-赦しの丘
- 1.ステイシーの死2023年05月31日
- 2.銃撃事件、その後2023年06月08日
- 3. ルワンダ-赦しの丘2023年06月08日
- 4.難民キャンプでの年越し2023年06月09日
- 5.阪神・淡路大震災2023年06月01日
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エピローグ
- エマニュエル2023年06月01日
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作者より
- あとがき1 ルワンダ難民のその後2023年05月24日
- あとがき2 年月を経て明らかになっていった事実2023年05月24日
- あとがき3 マダム・オガタ、ジュノサイドの傷跡、その後のルワンダ2023年05月24日
- あとがき4 本書を執筆するにあたって2023年05月22日
- 本作品についてのお断り2023年04月29日
登場人物
登場人物が未設定です