1.ステイシーの過去
文字数 640文字
1994年9月25日日曜日、午後8時
ACESンガラ事務所
開校式の事件によほどショックを受けたのか、ステイシーは塞ぎがちだった。
彼女に責任はないにせよ、ずっと心血を注いでいたプロジェクトの晴れの日にテロ事件まがいのことが起きて叩き壊されたのだからたまったものではない。
「ステイシー、もう少し食べた方がいいわ。体に良くないわよ」
食事にほとんど手を付けない様子を心配したグレイスが声を掛けた。
あの事件から1週間経った夕食でのことだった。
「ママ、そしてみんな、ごめんなさい」
そう言ってステイシーが急に椅子から立ち上がり、涙ながらに話し始めた。
「私、みんなに謝らなくちゃいけないの。みんなを危険に陥れ、プロジェクトも滅茶苦茶にしてしまって。本当に……」 その後は言葉にならなかった。
「ハクナマタタ、ステイシー。気にするな。君が悪いわけじゃない。誰が仕掛けたかは分からないが、悪いのはそいつらだ」 ベンが慰めた。
「ベン、ありがとう。でも、そうじゃないの。自分のためにみんなを利用していたの。そんな自分が許せなくて……」 またステイシーは言葉に詰まった。
それを聞いて誰しも何を言っているのか理解出来ずにいた。
「何があったか分からないけど、気にしないで。来週、学校は再開する」
自分も言葉をかけた。
「ケン、みんな、実は私、自分の娘を探すためにここに来たの。そして、そのために難民支援を口実にプロジェクトをしていたの。ごめんなさい……」
そう言うと彼女は驚愕する過去を語り始めた。
ACESンガラ事務所
開校式の事件によほどショックを受けたのか、ステイシーは塞ぎがちだった。
彼女に責任はないにせよ、ずっと心血を注いでいたプロジェクトの晴れの日にテロ事件まがいのことが起きて叩き壊されたのだからたまったものではない。
「ステイシー、もう少し食べた方がいいわ。体に良くないわよ」
食事にほとんど手を付けない様子を心配したグレイスが声を掛けた。
あの事件から1週間経った夕食でのことだった。
「ママ、そしてみんな、ごめんなさい」
そう言ってステイシーが急に椅子から立ち上がり、涙ながらに話し始めた。
「私、みんなに謝らなくちゃいけないの。みんなを危険に陥れ、プロジェクトも滅茶苦茶にしてしまって。本当に……」 その後は言葉にならなかった。
「ハクナマタタ、ステイシー。気にするな。君が悪いわけじゃない。誰が仕掛けたかは分からないが、悪いのはそいつらだ」 ベンが慰めた。
「ベン、ありがとう。でも、そうじゃないの。自分のためにみんなを利用していたの。そんな自分が許せなくて……」 またステイシーは言葉に詰まった。
それを聞いて誰しも何を言っているのか理解出来ずにいた。
「何があったか分からないけど、気にしないで。来週、学校は再開する」
自分も言葉をかけた。
「ケン、みんな、実は私、自分の娘を探すためにここに来たの。そして、そのために難民支援を口実にプロジェクトをしていたの。ごめんなさい……」
そう言うと彼女は驚愕する過去を語り始めた。