少子高齢化なので、異世界からの移民を認めます
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文字数 1,121文字
二十四歳の独身女性で
ダメな男に心底惚れ込んでおり
絶望の日々を送っているようだ
僕からすれば、涎が出そうなくらいに、
かなりの良物件と言える
ネクロマンサー的な肉体操作術で
無理矢理、強制的に
彼女の心臓を動かし続け
その間に彼女の肉体のみを
時間逆行させて
体から流れ出た血液をすべて
逆流させて元の体内に戻したのだ
そしてそのまま
手首を切る前の状態まで
彼女の肉体を戻しておいた
回復魔法なんてものは使えないけど、
悪魔なりの蘇生術ぐらいはあるもんさ
こんな飄々とした態度ではあるが、
僕はそれなりに優秀な悪魔なんでね
自分のベッドで目覚めたリサは
開口一番そう言った
人間にはありがちなんだが
こういう場合、
記憶やら意識が混濁していて
正常な思考に戻るには少し時間が掛かる
ここは地獄なの?
いいや、死んでない、
僕が助けてしまったからね
……そう、
また死ねなかったのね……あたし
徐々に記憶が整理されて
正常な思考に戻りつつある彼女は
思惑通りに再び絶望してくれている
何故自分が絶望していたのか、
語りはじめる彼女
食事中に聞く、こうした身の上話は
最高のスパイスのようなもの
絶望の背景を知ることで、
奥行きが出て、味わいも深まる
いつもとは違った
唯一無二へと変質して行く
彼女が語った絶望を
簡単にまとめるとこうなる……
結婚を誓い合った彼氏と言うのが、
まぁまぁの人間の屑で
スイッチが入ると
手がつけられなくぐらい暴れて
一緒に居る時は
ほぼ毎回のようにDVを受けている
ギャンブルが大好きで
そっちこちに借金をつくっては
彼女が代わりに返済をさせられている
挙句の果てに女癖も悪くて、
しょっちゅう浮気ばかり
まぁ、人間達が絶望に至るには
よくあることだよ
居るんだよね、
ダメな男ばかりに惚れてしまう人間の女って
ありがとう、
あなたに話を聞いてもらったら
なんだか気分がスッキリしたわ
話しを聞いてもらったからじゃなくて、
僕が絶望を喰らったからなんだけどね
まぁ、本人がそう思っているなら、
別にそれでいいけど
なんだか、悩んでいたのが
すごく馬鹿らしく思えて来たわ……
後になれば、
なんであの時は死のうとしたのか、
みんな不思議に思うもんだよ
ただ、気づいた時には
すでに死んじゃってるから、
もう遅いんだけどね
★いいね!
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