渡来人の末裔
文字数 1,677文字
は
ニンジャマスターに緑茶を出すと、
テーブルを挟んだ向かいの席に腰掛けた。
異世界人である
ニンジャマスターと
ソードマスター。
彼等の遠い先祖は
この世界の日本人であり、
戦国時代の頃、人間世界から
異世界に召喚されて転移して行った
武士や忍者達の末裔。
何故そんな時代に日本人が
異世界に転移したのかは定かではないが、
そうやって他の世界から
渡来した者達が一定数おり、
そうした者達は
それが今回の異世界人の移民により、
渡来人の子孫が
今度は異世界から日本に戻って来ることになった。
いわば彼等の血筋からしたら
逆輸入のようなもの。
思わぬ展開に
驚きを隠せない。
深々と頭を下げたニンジャマスターは
勢い余って客席のテーブルに頭をぶつけた。
普段は情に厚い
今度ばかりは二の足を踏む。
ここでマフィアと関わったら、
今後マフィアと移民局の両方から
目を付けられるなんて事態は想像に難くない。
この世界で最も関わりたくないものが
ジャパニーズマフィアでもあった。
ニンジャマスターは今にも
ジャパニーズ土下座を全力で披露しそうな程に
頭を下げ続けている。
ニンジャマスターの頼みに
困り果てている
その場に居合わせ話を聞いていた
他のサキュバス達は
大いに浮かれて盛り上がっていた。
ニンジャマスターも
ここぞとばかりに責めて来る。
これでは一人真剣に思い悩んでいた
まるで馬鹿みたいではないか。
この集団ではいつものこと。
最年長サキュバス、
さらにニンジャマスターは
おもむろに床にうつ伏せになり
寝転んで頼み込む。
また、冗談を
嘘か本当か見抜けない被害者が
ここにも出てしまった。
しかもそれをドヤ顔で
広めてしまうという。
結局、周りの後押しもあって
ニンジャマスターの頼みを
断り切れなかった
マフィアの用心棒となった
ソードマスターを説得する羽目になる。